符亀の「喰べたもの」 20220206~20220212

今週インプットしたものをまとめるnote、第七十三回です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

レディメイドヒロイン」(2巻) うめだ悠

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アパレルデザイナーのヒロインが、苦難をともにするうちに営業の同僚(多田くん、書影左)に恋をするラブコメ。1巻は第四十五回で紹介しました。

主人公であるヒロイン視点だと多田くんの内心がわからず、それもあって彼が表情の変化に乏しい分、感情を爆発させて百面相を披露するヒロインのかわいさが際立っています。多田くんが落ち着いているために、作品全体のテンションが上ずりすぎ社内恋愛ものとして破綻するまでには至らず、突飛な設定もありながらただの空虚なギャグには感じにくいです。その理性ラインの存在を感じられるからこそ、ヒロインのかわいさを純粋に楽しめ、多田くんがふと見せる可愛さの破壊力も上がっています。

多田くんの女装についても、彼の好意に対するヒロインの鈍感さや彼からヒロインに向ける憧れなど関係性の理由付けにうまく組み込まれており、ただの1話で惹きつけるためのフック以上に働き出しています。もう完全に二人のかわいさでやっていけるゾーンに入ったと思うので、これからが楽しみです。


初恋」 ハルミチヒロ

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恋する2人の関係を描いた、短編集です。

試し読みの「終天」がフェチの塊すぎて笑いました。ぱっとあげられるだけで「幼馴染、近親(いとこ)、睡〇、足、SM、伝承、ひと夏の思い出」あたりが見て取れましたし、有識者(?)はもっと見つけられそうです。短編集の試し読み枠として、これだけの濃い性癖をそれをまとめあげる手腕を見せられれば、それは作者さんへの信頼も確固たるものになりますし買いますよそれは。

そしてなんだかんだでイチャイチャしてる系の作品が続いたうえでの表題作ですよ。このオチの衝撃はもう、すさまじかったですね。同作者さんの短編集全部買います。


SANDA」(2巻) 板垣巴留

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絶滅したサンタクロースに変身できる少年が、行方不明になったクラスメイトを探してほしいという少女の願いをかなえようと奮闘する物語。1巻は第六十四回で紹介しました。

テクニカルな設定や「転」の多い展開にも関わらず、読みやすいのが上手いなと思います。設定こそ特殊ですが、話の中心は常に「子どもの成長」と「思春期の恋愛」であり、その王道ど真ん中のテーマを斬新な設定で描くバランス感覚は「BEASTARS」の作者であることを感じさせてくれます。まあそっち未読なんですけれども。


いい作品を読めて、とても充実した一週間を過ごせました。しかしその言語化はいつもにましておぼつかない状態であり、リハビリの必要性を思い知らされています。がんばらなくては。


一般書籍

読破はできていないものの、数十ページぐらいは読めました。こちらもリハビリ期間ということでひとつ。


Web記事

ゼロから学ぶ! 麻雀漫画を楽しむため”だけ”の麻雀講座

麻雀漫画内で何が起きているのかを理解するために覚えるべき内容にしぼった、麻雀講座です。

麻雀の中で「麻雀のゲーム内容を『物語』化させている」要素として対人戦用ルールが挙げられていることは、ボードゲーム制作の観点から見ても重要な指摘だと感じました。


ここにきて『コロコロコミック』の勢いが凄いことになっていた…! 久々の“100万部突破”を達成したワケ

コロコロコミックが2018年以来の100万部を突破したことを受け、その現状について取材した記事です。

現状も面白いですが、今コロコロから離れている人間的には、「『本誌』と各種の『商品』とその大会など『イベント』と」というこれまでのムーブメントの構造を改めて言語化された部分に一番心を動かされました。昔自分が味わった楽しさの構造を提示してもらったのを、今どういう構造を作れるのかを考える糧にしたいところです。


そのテンポ感はどこから?Pokémon LEGENDS アルセウスから学ぶ『モードレス』なゲームUI

Pokémon LEGENDS アルセウス」のテンポ感のよさを、「モードレス」という観点から解説したnoteです。

他にもテンポ感のよさに触れている記事は多かったですが、やはりその理由に名前を付けて説明してくれると「わかった感」が違うなと思いました。もちろん、記事の内容自体も勉強になりました。


今週は、本やWeb記事だけでなく、ゲーム(「アルセウス」)や映画(「ドライブ・マイ・カー」、「呪術廻戦0」)といった時間のかかるものも「喰べる」ことができ、幅広いインプットが得られたかなと思います。また新作のほうも、ついに情報公開を終え、制作も佳境に入っています。最後までクオリティを上げていこうと思いますので、応援よろしくお願いいたします。


というか予想以上の拡散をいただき、本当にありがとうございました。


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