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No.26 居場所を求めて

将来はパパのような人と結ばれて
ママのように幸せな家庭を築きたいの
私が大事にされてきたように
彼を愛で満たしてあげたい
部屋を居心地よく整えて
お茶を淹れる頃合いも計り
うたた寝の背にそっと毛布をかける
その隣で趣味のキルトを編むの
どれくらい時がたったかしら
もぞもぞと起き出すあなたは
私のことなどなかったように
ついと向こうに行ってしまった

私が愛するのと同じ分だけ
あなたに愛されたいのに
当たり前の日常がそれを無にする
美しく仕上がった砂の城が
さらさらと風に梳かされていくよう
砂上に落ちる涙と同じ
尽くしても尽くしても
すぐに乾き去ってしまう

それでも私は愛をやめずに
今日も静かにキルトを編む


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