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「新緑の中の紅葉」に学ぶ

飛騨高山の櫻山八幡宮の境内で、サクラの樹の新緑の中に紅葉を見つけた(口絵)。何故だろうか?

樹は万の葉を天空の光を求めて拡げる。
光合成で得た稼ぎは、細かい枝を流れる。
それ等の稼ぎは、世に生存するため、太い幹や根を構成し、貯えられていく。

地方の若者たちは、眩いものを求めて、人やモノが集まる都会を目指す。

数ある地方の集落を葉に例えれば、幹や根はまさに我が国の根幹を成す大都会とみなされる。

さて、新緑のサクラの葉の中に見出された紅葉であるが、よく見ると枯れ枝についていた葉であった。枯れる前に、葉緑素を分解して窒素やマグネシウムを幹に引き上げ、光に耐える赤い色素を最後の砦(防御物質)として残している。この姿は、昨今の廃校となって消えていく小中学校のようである(飛騨高山カーボンサイクル誕生秘話)。居た堪れない。

どうして無限の光を求めて、地方で展葉しないのか?社会の根幹になることはもちろん重要な志であるが、そればかりが人生の目標ではなかろう。樹木の姿を社会の姿に擬えれば、自ずと見えてくることもある。地方に出向いて(あるいは故郷に戻って)自らが社会に果たすべき役割で暮らし、それに誇りを持って生きる人生もある。

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