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地方と都市のデジタル格差データ編②

今回は、パンデミックを例に誰がどのようにデータ作っているのか調べてみました。

FAX→紙・PDF

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パンデミックが始まった当初の感染者数発表までのフローです。医療機関から保健所へは手書きでFAX、保健所でデータ入力をしたものが最終的には紙に出力され記者発表などで配られ、PDFがWEB公開されるというプロセスでした。

PDF→データ

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自治体から発表された紙やPDFを、デジタルデータへと変換するプレイヤーは主に3つ。

1つ目は報道機関。ニュースを始め、WEBでの特設サイト。さらに、NHKのように報道用に収集したデータをオープンデータにする試みも生まれました。

2つ目はシビックテック。愛知県ではCodeForNagoyaが印刷に向いたPDFをデータとして扱いやすいCSVに形式に変換し、オープンソースで公開していました。

パンデミック初期の混沌期に最も必要なのは機動力。彼らの活躍により全国の状況が瞬く間に見える化しました。ただし、情報の粒度は県単位。パンデミックから1年経った今も市町村レベルの粒度では情報がほぼないのが現状でした。

最後は、自治体によるオープンデータ。平成28年に法整備され国及び地方公共団体はオープンデータに取り組むことが義務付けられました。静岡、岐阜県は20年04月にパンデミックのデータを公開していました。オープンデータのメリットは、全国でフォーマットが統一されていること、その県の全市町村のデータがある網羅性です。ただし、愛知県は公開しておらず県によって対応状況はまちまちのようです。オープンデータが各県の全市町村の状況が作りやすくなります。

データが一元管理されていない大変さ

感染情報を一次集約する機関が保健所です、全国に469。そこから下記の管轄ごとに公表されます。

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これらをデータに変換するのは労力がとてつもなくかかります。さきほどのNHKの記事からも現場の大変さが垣間見えます。

データのファイルが「エクセル」だったり「PDF」だったり、ファイルではなく「サイトに公開するだけ」だったり。PDFの場合はデータをファイルから抽出したあとで文字化けなどがないか確認したり、サイトに掲載されているデータは手動や自動で取得したりなど、いずれも手間がかかります。
実際、コロナのオープンデータへのニーズは高いものがあります。地方自治体からも、ほかの地域の最新の感染状況を確認して、次の対策を立てたいという声も寄せられていましたが、地方自治体や研究者など人手の少ないところは、「余計な」集計作業には手間をかけていられない悩みがありました。

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データ的には理想のHER-SYSだが

感染情報を最初から分析しやすい形に整ったデータで収集できるよう生まれたのがHER-SYSです。HER-SYSは、1回目の緊急事態宣言の最中に開発が進められ、5月には一部自治体で導入されはじめました。このシステムがワークしだすと、1度だけの入力で、全国の全市町村のデータが、分析しやすい形で一元管理される。デジタル化的には理想です。しかし、一番負荷のかかっていた病院や保健所の業務がさらに増えたという話もあり…運用の課題はまだまだ山積みのようです。

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まとめ

オープンデータ化は、都市と地方の格差以前にまだ整備されきっておらず、このパンデミックを期にFAXから急速に進化しはじめた状況のようです。

報道やシビックテックの機動力と発信力は素晴らしいものの、どうしても需要大きい都市部や県単位の粒度に留まりがちです。都市と地方の格差が残ります。

HER-SYSのような国主導でシステムを組むメリットは、都市地方関係なく全市町村にデータが整備されることです。しかし機動力がありません。システムが巨大になるほど開発にも運用にも費用もかかります。

また、国主体ですべての全市町村を対象に整備する意義と意思がある、道路のようなデータがどれだけあるかも疑問です。マイナンバーは該当しそうですが、他に何があるでしょう?それ以外は自治体ごとに対応することになると、細かい需要になるほど都市と地方で格差が生まれてしまいそうです。

次回はデータ・ヒト・カネの財源となるカネについてです。


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