見出し画像

東海道新幹線の大雨運休に巻き込まれてしまった話

※注意
この豪雨によって被害に遭われました皆様には、心からお見舞い申し上げます。
このnoteは大雨などを始め、災害が発生している際に移動するノウハウをお伝えするものではなく、あくまで記録として共有するものです。災害発生時は予定をキャンセル・延期するのが最も有効です。このnoteを見て、被害を受けた場合でも一切の責任を負いません。
また、安全第一に運行してくださった各交通機関さんに改めてお礼を申し上げます。


0.はじめに

2023年8月16日。静岡県富士市に活発な雨雲がかかり、時間雨量92mmを観測した。この大雨で家屋等に被害が見られた。

★静岡県:台風第7号による被害状況について【最終報】,2023.8.21.
★静岡県:台風第7号による被害状況について【最終報】,2023.8.21.

特に今回の大雨で印象的であったのは東海道新幹線の遅延だろう。大雨によって静岡県内の一部区間で運行できない状態になっていた。この遅延は結果的に東海道新幹線だけではなく山陽新幹線でも影響が広がり、大きな混乱を招くことになってしまった。
(新幹線の遅延が広範囲かつ長時間続いた理由はここでは触れない。)

私も2023年8月16日に東海道を移動していたため、そのときのことをまとめていきたい。

1.私の行動

8月17日に神戸市で用事があるため、8/16に青春18きっぷを用いて大阪まで移動しようとしていた。
当初、首都圏~大阪駅を普通列車で9時間かけて移動し、大阪駅に20:00ごろ到着する予定だった。しかし、東海道線で倒木があったため、静岡駅~沼津駅で運転見合わせしていることが発覚。
当面の方針としてはとりあえず沼津駅まで進み、17時ごろまでに運転再開されなければ東京方面に引き返そうと考えていた。

12:57:沼津駅まで移動。

12時過ぎに熱海駅まで到達。ここから一旦、沼津駅まで進むことに。
列車は30分ほど遅れているようだった。
13時前には沼津駅に到達。カメラにはっきり映るくらい、大粒の雨が降っていた。
13時ごろの運行状況。富士市に鉄道で入ることは出来ない状況になっていた。
駅の前で運転再開をずっと待つのは得策ではないので
一旦外に出て昼食を食べることにする。
全く止む気配のない雨。
何も知らずに富士市に突入していたら、自分も被災者として巻き込まれていたかもしれない。

15:00:静岡駅移動作戦開始。

適当に沼津駅周辺で過ごしていたところ、14:10に東海道新幹線が運転再開したことが分かった。一方で東海道線は16:00ごろ運転再開するようだった。
そこで一旦三島駅に戻った後、新幹線で静岡駅まで進むことにした。運転再開直後は普通列車が非常に混雑すると考えたからだ。

静岡駅に向かう列車。車内で多くの人が運転再開を待っていたようだ。
三島駅に到着。ここからは東海道新幹線で西に進む。
まだまだ大雨が降っているようだった。

16:30:静岡駅到着

新幹線のデッキスペースに乗ってなんとか静岡駅に到達した。
ここからは当初の行程通り、東海道線で進むことにした。

雲間に青空が見えた静岡駅。
ここからは在来線で進む。この時点で6時間以上経過していた。

ここからはかなり順調。
16:40 静岡駅→17:28 掛川駅 17:38→18:43 豊橋駅 18:46→19:38 名古屋駅
という形で進んだ。

掛川駅 東京方面は2時間、名古屋方面は6時間以上遅延していた。
特に何事もなかったように快調に飛ばしていた。
豊橋駅に着いた頃には真っ暗になっていた。
名古屋駅到着!

19:50:ここからが正念場だった…

ここで名古屋→京都を新幹線で移動することを決意した。
20:00近くなっていたことから流石に疲れていたため新幹線に乗って快適に進もうという狙いだ。

名古屋駅で夕食どうしようと考えていたが
お弁当を半額で売ってくれるそうだ。本当にありがたい。
5時間30分以上の遅延。この後も列車が次々にやってくるようだ。
自由席が多く比較的空いているひかり号をチョイス。

新幹線は快調に飛ばし始めた。
しかし、岐阜羽島駅発車後、車掌さんから不穏なアナウンスが…

大阪方面へお急ぎの方はJR京都駅で東海道線(JR京都線)にお乗り換え下さい。

このアナウンスがどういうことかこの当日はあまり気にしていなかった。しかし、これがJR東海さんの必死のアナウンスだったとは、当時の私には知る由もなかった。

新幹線は順調に京都駅の一つ前、米原駅に到着した。しかし、30分以上経過しても発車する様子がない。
最初はのぞみ号の追い越しを待つため米原駅に長時間停車していると思っていたが、何かしら別の理由があるかもしれない。
スマホにあらかじめダウンロードした動画を見終えた後、念のため列車走行位置を確認するサイトを開いた。

すると、自分の乗っている列車の前に10~15本ほどが新大阪駅到着待ちをしていたことが発覚。新幹線の渋滞が新大阪駅の二つ手前、米原駅まで続いていたのだ。京都駅~新大阪駅の移動が相当かかることから車掌さんから在来線でも移動できることを案内していたようだ。それならアナウンスにも納得がいく。

これはさすがに当日中に大阪にたどり着けないと思い、荷物をまとめてさらに計画変更。
米原駅で新幹線を降り、在来線で先に進むことに。

滋賀県の入り口まで連れて行ってくれてありがとう。
あと一駅で京都駅だけどここはガマン。

米原駅から大阪方面にはJR西日本ご自慢の快速列車「新快速」が走っており、これに乗って先に進むことにした。大阪駅到着23:00になってしまうが仕方がない。

21:34発 新快速 姫路行に乗車する。
改めて調べてみたところ米原駅を発車する最後の新快速だった。
(これ以降は普通列車で野洲駅まで進んでから新快速に乗り換える必要がある。)
最後の希望がやってきた。
23:00に大阪駅に到着した。

ちなみに私が乗っていた新幹線はやっと京都駅に到着しようとしていたところだった。結果的には米原駅で新幹線を乗り捨てて正解だった。その後、ホテルのある新今宮駅に移動した。(ホテルの方にかなり到着が遅れることはあらかじめ連絡しました。到着が大幅に遅れたにも関わらず、ホテルスタッフの方は丁寧に対応してくださいました。ありがとうございました。)

私が乗っていたひかり645号だが、大阪駅に到着後スマホを確認した際、
いまだ京都駅に到着していなかった。
結果的に米原駅で新幹線を降りたのは大正解だった。

2.今回の教訓

今回の移動に関して、色々と反省しなければいけない点があった。
少しまとめてみようと思う。

1.大雨のときに移動してはならない

そもそもの話になるが新幹線が大幅に遅れている際は、予定をキャンセル・延期することをまず第一に考えたほうがよい。
確かに行程を強行することによってほんの少しの時間的メリットは得られるかもしれない。しかし、『1.私の行動』において、一部区間で新幹線に乗っていることや行程変更が複数あったことからも分かるように金銭的・精神的メリットはほとんどない。目的地に到達できなかった場合は、新幹線の中で一夜を過ごすか、追加でホテルを手配する必要がある。特に旅行に慣れていない・交通に詳しくない方にとって、今回の方法で移動することは全くおすすめできない。

大雨など災害によって移動できなくなった場合は後日、払い戻しが出来る場合があるので色々と確認してみるといいだろう。

2.長距離移動する場合は到着時間を早める。

旅行する際に事前の対策として有効なのは、目的地への到着時間を早めることだ。長距離を移動すればするほど、多くの交通機関が絡むため、遅れ・運休に巻き込まれやすくなる。旅行を考える際は深夜到着の便は避けたほうがよい。逆に深夜に移動する場合は途中駅までしか進めないこともあることを理解したほうがよいだろう。

実際、9/15にも広島から新幹線で首都圏へ戻る際も
新横浜~小田原間が大雨で遅れてしまい、到着が22:00→23:20になってしまった。なんとか家にたどり着くことは出来たものの1時間遅い新幹線に乗っていたら新幹線で一夜を過ごすことになっていただろう。

3.列車走行位置を確認しよう。

各鉄道会社では列車走行位置を確認できるサイト・アプリを公開している。
このサイトでは各列車がどこを何分遅れで走行しているのか確認することが出来る。

自分が乗る列車が何分遅れているのか確認することも重要だが、より重要となるのが東京駅・新大阪駅・博多駅など運行上重要な拠点(ここでは「拠点駅」と呼ぶ。)周辺における遅れである。この周辺では各列車が詰まることで遅延が広がる可能性がある。

・拠点駅とその直前の駅で5本以上列車がいる場合
・拠点駅到着直前の列車が2~3駅手前を走行している列車と比較して明らかに遅延が大きくなっているとき

あくまで目安となるが、以上のことが見られたときには拠点駅到着直前で時間がかかることがある。この時は、拠点駅よりも手前で降りて、残りを在来線で移動するとスムーズに進めることがある。

今回の私の事例では新大阪駅周辺で明らかに詰まっていたので2つ手前の米原駅で降りる決断をした。

4.別ルートでの迂回も考えよう。

『東海道新幹線が運休した場合には東京→大阪を金沢駅経由で移動するといいよ』というのはよく言われる話である。

今回の移動を通じて、東海道線など新幹線と並走する在来線での移動も一考に入れてもいいと感じた。

新幹線は、在来線と比較して土木構造物がしっかりしており、早めに運転再開できることが多い一方で遅れが広範囲に及び、災害の影響を直接受けていない場所でも影響を受ける可能性がある。

一方で在来線は運転再開は遅いものの、短距離を移動する列車が多いため、遅れの影響が広範囲にならないというメリットもある。今回の場合も、静岡~沼津駅間では運休が長引いたものの、それ以外の区間ではほとんど影響がなかった。大雨が降っていない場所のみを移動する場合は検討に入れてもよいかもしれない。ただし、台風など広範囲で災害の危険が差し迫っている場合は推奨できない。

5.休憩をしっかり取る。

意外と忘れがちなのが休憩をしっかり取ること。列車が大幅に遅れると運行情報を一生懸命調べてしまうあまり、食事・お手洗いをおろそかにしがちである。しかし、上記で述べた通り、現在はスマホ等で最新情報を手に入れられるようになっている。
具体的にはある程度現在の情報が集まってきたら、駅から一旦離れてファミレスやカフェなどで休憩し、運行再開までしばらく待ってみるのがいいだろう。体力を温存しておくと翌日も元気に活動できる可能性が高まる。

3.まとめ

今回は8/16の大雨のときの私の行動をまとめてみた。災害に対して交通機関がどのように向き合うのか色々と考えさせられた一日だった。今後、災害の激甚化によって、似たようなケースに遭遇する確率はかなり上がるのではないかと思われる。余裕を持った行程を組むことを心掛けたい。



この記事が参加している募集

旅の準備

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?