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月記(2021.01)

いつになくぬめっ、とした年越しだった。普段ろくに連絡しないくせに、年越しを実家で過ごさなかったことは数えるほどしかない。年末に冬コミに行き、そのまま夜に帰省するのが恒例だった。変な感じだった。

「今年はどんな年にするの?」と聞かれたとき、僕は2020年代だとか令和だとか、そういう変わり目みたいなものを意識しないままだった。この質問で、はじめてそういう変わり目を突き付けられた気がした。僕は反射的に、「なんか、突き抜けたいっすね」と答えた。たいした答えではないが、後になって思い返すほど、素直な答えだったと思う。

2020年、流行り病に関係あるなしに、自分の生活環境が大きく変わり続ける年だった。そのせいもあって、まだなにか落ち着かないままなのだろう。あれやこれやとやってきたが、どこかしらの領域でしっかり地盤を固めて基礎をつくって、ある程度の高さのモノを残したい、そういう欲があるのだろう。おみくじにざっくり「焦ったらやらかすから、大人しくしとけ」と書いてあった。今年は基礎工事までで留めておくことにする。

新しいカメラを買った。中古でお安い一眼レフ。ミラーレスから入った身として、ファインダーからレンズ越しの景色が見えるのが新鮮だった。はじめて持ち出して撮った外の景色は、緊急事態宣言初日の渋谷だった。たくさんのカメラマンの中に、僕もこっそり混ざらせてもらった。

手持ち楽器の調整を進めている。ちょっとした違和感や、もっとこうならいいな、を自分の手で実現していく。思うように仕上がったときの満足感。それを味わうことによって、my new gear...の誘惑を振り切るのだ。

正しさには振り回されなくなっても、現実のスピードが速すぎて酔う。

疲れたときはトリプルファイヤーを聴くといい。あれはヒーリングミュージックだ。


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