不完全さについて
かなり久しぶりのnoteの更新になります。RoomClipの高橋(@ht6030)です。
年末に金継ぎというものをしたのですが、それを通じて思うところがあったので、このnoteを書こうと思います。
(そもそも「金継ぎとは?」については下記をご参照ください。)
金継ぎ(きんつぎ)は、割れや欠け、ヒビなどの陶磁器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法である。
2020年4月、ドリッパーが欠けた
この時期ご多分に漏れず在宅時間が増え、コーヒーを淹れる時間が増えました。色んな産地の豆を買って挽いて、ハンドドリップで淹れるということをやっていました。
抽出に使っていたのは、以前から持っていた大谷哲也さんのコーヒードリッパー。2015年に、某展示で在廊していた作家さん本人とも話した結果購入したもので、これをヘビーユースしておりました。
が、ある日このドリッパーを不注意で落として、欠けさせてしまうという事態が発生・・・
2015年に購入してから、5年ほど使ってきたドリッパーだったのでとても悲しい😭
金継ぎを思い立つ
そこで、以前会社のワークショップでやったことのある金継ぎで修繕しようと思い立ちました。
※ルームクリップ社では、定期的に下記のような社内ワークショップをやっております(金継ぎの回の記事が見つからなかったので、別の回の記事を引用)
すぐにネットで調べて金継ぎキットを購入し…
(ほかに東急ハンズさんの金継ぎセットなどがありましたが、パッケージの雰囲気などから下記の金継ぎラウンジさんのものにしました)
と、ここまではよかったのですが、そこから時間が取れず、腰を上げられないままなんと8ヶ月が経過しました笑。長期休みがあるときにやろうと思いつつ、時が過ぎていった形です。
年末、はたと思う
そうこうしているうちに年末はやってきて、気づけば12月30日。頭の片隅では「ああ、そういえば金継ぎできてないな。年明けたら月次の数値更新&休み明けの準備しないとだからこれはできないまま終わるな」と思っていました。
しかしその日の夜、風呂に入りながら、はたと思い立ちました。「いや明日やればいいじゃん」と。
そして翌日大晦日。いつものように朝6時半に起きて朝食を摂り、コーヒーを飲んで、机に敷く用の新聞紙を買いにコンビニに行きました。
8時半から作業を開始。欠けた部分にパテを埋め込んで、やすりで削って形を整えて10時。
そこで休憩がてらもう一度コーヒーを飲んで、10時半から今度は塗り作業で再開。
真鍮粉とテレビン油と樹脂を混ぜて、埋め込んだパテの部分に塗って・・・という作業を経て、12時に完成。
正直、形や色むらがあって、全然完璧とは言えない出来ではありました。(写真はそれっぽく見えているかもですが)
自分はもともと完璧主義的傾向があって、このようにむらがある状態で終えていいのだろうか、と自問しました。しかしそのとき、「元々のこの器も実際壊れたし、たとえここで完璧に出来たとしても、いつかはまたそれも壊れるかもしれない。だからそれはそれでいいのではないか」という思いが訪れました。
これはワークショップをやったときの先生が仰っていたことが脳裏にあったからかもしれません(出来上がりには様々な形があり、唯一の完成形があるわけではない旨)
ああ、そもそもが不完全なんだ。それでもいいんだ。自分はこれまで不完全であることを恐れすぎていた。不完全な中で、心を尽くして手を入れることに意味があるということなのかもしれない。と思って筆を置きました。
2021年
金継ぎしたドリッパーで元日からガンガンコーヒーを淹れています笑
使っているうちに色が剥げたりポロッと落ちたり、また別の部分が欠けたりするかもしれない。でもそうしたらまた、心を尽くしてそこに手を入れればいい。
どうあっても横たわる日常の不完全さの中で、いかに振る舞うかでしかない、と思い日常使いをしていきます。
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