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夢日記

・みなさんは寝てるときに夢を見るタイプですか?自分はガッツリ見るし内容もわりと覚えているし、夢の中で「あ~これ夢だわ」って気づくことも多い。おかげで自分の都合のいいように行動できたりもするけど、怖い夢とかだと何故かそれができなかったりするから「これ夢だから!!起きたら終わるから!!早く起きて~~~~~~!!おい!!起きろ!!!カス!!!!」と強く念じて無理やり起きたりする。


・この前みた夢が2週間以上経っても鮮明に覚えているくらい印象的な夢だった。文章でどこまで伝わるかわからないけれど、せっかくなので記録しておこうと思う。俗に言う夢日記ってやつですか!?湿度高い暗めの映像で、サスペンスホラー映画を観ているような臨場感だった。少なくとも夢の中の自分目線では。




薄暗い10畳ほどの和室にいた。誰かの家なのか、はたまた旅館などの施設なのかはわからない。その謎の部屋の恐らく北側、最も光の当たらない壁一面に、赤い液体が入った小瓶が大量に敷き詰められていた。
どうやら壁がまるまる大きな棚になっているようだ。まるで標本箱みたいだな、と思いながら近づいてみると、ガラス製の小瓶には『●●の血液』とラベリングされており、これを口にすると呪われる旨の文言が小さな文字で書いてあった。ふと、スマホが鳴る。知らない番号からの着信だった。


どうやらここは旅館の一室らしい。堂本光一を名乗る謎の男に電話越しにそう教えられた。男によると、その棚には仕掛けがあり隠し通路があるんだとか。話半分に聞きながら部屋の中をぐるぐる歩き回っていると、旅館の従業員だろうか、いつの間にか見知らぬ女性が一人棚の前に立っていた。
こちらの存在を気にも留めず、おもむろに棚の左端に手をかける。ガコン、と鈍い金属音が響いたのち、ゆっくりと棚の真ん中が内開きの扉のように分かれて隠し通路が現れた。蝋燭で照らされる通路の奥へと女性が消えていく。


一連の流れを電話口で実況していたところ、隠し通路の奥から女性の絶叫がこだました。心臓の音がいやに大きく聞こえる。見に行くべきか?逡巡していると、それを断ち切るかのように勢いよく背後の襖が開いた。そこにいたのはまさに今電話口で話していた男だった。…堂本光一ではなかった。誰だおまえは。男の視線は真っ直ぐ隠し通路を捉えていた。そのまま通路の奥へと進んでいく。



何だか部屋の外が騒がしい。出てみると、いつの間にか人が集まっていた。さっきの叫び声はなんだ、何があったんだと口々に騒いでいる。その完全な野次馬たちの中に一人、明らかに場違いな女性がいた。バイオハザードヴィレッジに出てくるドミトレスク夫人のような出で立ち。不気味な人だなと思った。
マダム─便宜上マダムと呼ばせてもらう─が「戻ってきたようよ」と声をあげる。振り返ると、隠し通路から戻ってきた男が部屋の真ん中に立ち尽くしていた。血塗れの包丁を手に。そういえば最初に入った女性はどこへいったんだ?突き動かされるように隠し通路を進む。突き当たりを左に曲がると、六畳ほどの広さのコンクリート打ちっぱなしの無機質な部屋に繋がっていた。そこに女性は仰向けの状態で倒れていた、全身血塗れの状態で。


「人殺しだ!」誰かがそう叫んだのを皮切りに、男は野次馬たちに罵声を浴びせられていた。違う、と言いかける男の言葉も全て掻き消されていく。確かに状況的には男が犯人に見えるだろう。被害者がいつ殺されたのかにもよるが、少なくとも女性の叫び声が聞こえた時点では男は現場にはいなかったし、そもそもずっと彼は自分と電話していたではないか。


「すみません。この人を庇い立てする義理はないんですけど、叫び声が聞こえた時に被害者が襲われたんだとしたら、その時この場にいなかった彼には無理だと思うんですよね。そもそも自分らずっと電話してたんで。通話の記録も残ってます」
「じゃあその通話の記録が無かったら彼が犯人になり得るのよね?」
そう言うやいなやマダムがスマホを奪わんと手を伸ばしてきた。異様に伸びた鋭い爪がスマホを持つ腕に当たり皮膚を裂く。その勢いに気圧され一瞬足がすくむも、野次馬たちの隙間を掻い潜ってなんとか廊下へ逃げ出すことができた。ただ走って逃げてたんじゃ追い付かれてしまう。そう直感し、わたしは飛んだ。そうここは夢の中、空だって飛べるはず。


予想通り飛ぶことはできたが屋内であるのとスピードが思ったように出ず、すぐ近くまでマダムが迫っていた。耳元まで裂けた口を隠すこともせず恐ろしい形相で追いかけてくる。おかしい。最初はミステリー・サスペンスっぽい展開だったのにホラーになっている。そもそも何で自分が追われる羽目になってんだ、スマホなら男のだってあるだろ。理不尽さに悪態をついていると急に天井が開けた。階段だ。踊り場にある大きな窓に向かって勢いよく飛び込む。明らかに人外であるマダムだが、さすがに窓から飛び降りてまでは追ってこないようだった。だが油断はできない。できるだけ旅館から遠く遠く離れたところまで飛んでいき、マダムが近くにいないことを確認して緑の多い住宅街へ降り立った。


降り立ったはいいが、相手は人外だ。そこの曲がり角でいきなり鉢合わせ…なんてこともあり得なくはない。どうしたものかと頭を悩ませつつほっつき歩いていると前方に人影が見えた。連れ添って歩く男女二人の姿。何の変哲もない光景にふと、違和感を覚えた。距離が近づくにつれ、その違和感の正体を知ることになる。デカい。二人とも3メートルはゆうに超えるデカさだった。しかしここは夢の中。3メートル級の巨人が出てきたくらいでビビってはいけない。人見知りをしている場合でもない。意を決して声をかけ端的に事情を説明すると、一時的に匿ってもらえることになった。さすがのマダムも偶然出会った巨人の家に逃げ隠れてるとは思うまい。


カップルだと思っていた巨人二人は兄妹だった。道端では込み入った話が出来なかったため、改めて状況を説明する。その過程で証拠の音声を再生していると玄関の方で物音がした。
「お父さんが帰ってきたんだわ」
お帰りなさい、と妹が父親を出迎えに玄関へ向かう。漏れ聞こえる会話によると、父親は客人を連れて帰宅したらしい。嫌な予感がした。音声の再生を急いで止め、ソファーの陰に身を潜める。妹と父親と、そしてもう一人─聞き覚えのある女性の声がした。

「ねえ、いるんでしょう?」

5/16に見た悪夢


・ここで目が覚めた。覚めてよかった本当に。


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