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寡黙な同僚

現場までの移動中、
車の中で寡黙な同僚がかなりメタルな音楽を流し始めたので、少しの間大人しく聴いていた。

あまり触れてこなかったジャンルの曲だったのと音の大きさに耐えかねて「割と激しめな曲聴くんですね」と言ってみた。

同僚は「ん?」と言って一度曲を止め、わたしの言葉を聞き返した後「まあそうか…」と言うような事を言った。
同僚なはこう言う律儀さがある。

同僚は自身の中に確固たる何かを持っている、と言う感じがする。
わたしの同僚にはそう言う人が多い。でも決して身勝手なわけではない。
人としてしっかり芯があって優しく、大人として敬える人たちだ。

寡黙な同僚は頭がいい。それに飲み会などの集まりなどはハッキリといかない、と答えるし、でも助けを求められると必要以上に相手に手を貸す。
自分が好むものを人にどう感じられるかなどは気にしておらず、その曲も"流したいから流した"と言う感じだった。

会話は終わりかと思っていたら同僚は珍しく話を続けた。
「そもそも音楽に対する意識が違うかもね、音楽が好きな人は多いけど自分はほとんどテンションを上げる時しか聞かない」
「ピアノとかは聴く事ある、自分で弾けないから」

同僚がかけていたその曲でわたしのテンションは1ミリも上がらなかったけれど、同僚のテンションは結構上がったらしい。
面白い。

同じ人間なのに不思議だと思った。
みんな違うから良い。

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