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筋力トレーニングをする意味Ⅲ

皆さんこんにちは。ジムトレーニング担当の鈴木です。
本日は筋トレをする意味Ⅲということで「身体感覚の向上」をテーマに一緒に考えてみましょう。
Ⅰは「ケガの防止、重症化軽減」、Ⅱは「基礎筋力、パワー、スピード向上」でした。
まだ読まれていない方、忘れてしまった方はもしよければ上記のURLからご覧下さい。

さて、「身体感覚の向上」という抽象的な言葉ではありますが、どんなにスポーツ科学が進んでも、運動やスポーツを行う上で本人の感覚は非常に大切で、最後はそこが変化しているかがパフォーマンスとして現れます。
筋力トレに限らず、運動する際には、自分の重心の位置、力が入る時と抜ける時(以後、緊張解緊)、または力の入れ具合入り具合、を感じ取る、意識することが非常に大切になります(最終的には無意識でできることが望ましいですが)。筋トレ中でもこれらの感覚を研ぎ澄ませながら行うことがとても大切で、また、筋トレでこれらを養うことができ、今回のテーマである「身体感覚の向上」に繋がるのです。

これまで、選手を指導している中でこんなやり取りもありました。
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スクワットで少し重心が高い選手がいたため、私がお手本を見せながら「この位置まで下がってみて」と伝えました。それに対し選手の返答は「え、僕その位置まで下がっていなかったですか?」
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この後、選手に動画を見せて、そこで初めて選手は自分の重心の位置に気がつきました。その選手は特に体が硬い選手ではなく、筋力も十分な選手であるため、スクワットを指定している位置まで下げることは十分可能です。
つまり、その選手は今の自分の動作に対しどのように動いているのかのイメージがついていない状態であると言えます。この場合、重心の上下移動に対し選手自身の感覚にずれが生じています。そこで、サポートをしながら本来下げるべきポイントまで誘導し、感覚を少しずつ修正していきました。

筋トレをしている方は分かるかと思いますが、スクワットも臀部をどの位置まで下げるのかで力発揮の感覚が違ってきます。つまり、重心の位置によって、体のどこにどれぐらい力が入るのか、入れる必要があるのが変わってきます。さらに言えば、力を発揮するタイミングも非常に大切です。スクワットでも、下降局面で体幹部に徐々に力が入りながら押す準備をし、下から上に切り替わるタイミングで一気に地面を押しますが、最初から力み過ぎていると押し返すタイミングをうまくつかめません

特に球技では状況に応じて様々な姿勢からスタートやステップを切らなければなりません。筋トレの中で(今回はスクワット)それに対応する為には、あらゆる角度のスクワットにより、どのポジションからでも力発揮できる感覚を養う必要があるのです。

私は現在サッカーチームにも所属しているのでサッカーで言うと、守備的な状況では比較的深く姿勢をとることが多くなりますが、攻撃的な状況では重心の位置は比較的高い状態でプレーすることが多いです。ただ、ポジションによって経験する状況の多い少ないはあるにしろ、攻守入り乱れるスポーツである以上、どんな状況でも対応する能力を養っておく必要があります。もちろん、ポジションの特性上、得手不得手もありますが、特にピンチの時は特にそんなことを言っている場合ではないので、攻撃的選手であっても守備をしなければなりません。

筋トレのようなシンプルな動作のトレーニングでその感覚を積むことで、あらゆる姿勢から力発揮をすることの質を高めていけます。自分の動作に集中できる時間ですので、動作改善や修正を繰り返し、少しずつ身体感覚を向上していけるのです。

筋トレは単に筋力やパワーを身に着けるだけではなく、感覚そのものを改善していく一つの手段にもなり得ます。ただ力をだすという目的だけではなく、もう一人の自分が筋トレをしている自分を見ているイメージ、第3の目があるような客観的な感覚も養いながら行うと、より高い効果も期待でき、トレーニングも楽しくなるかもしれません。

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