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最近の鑑賞

※ネタバレを気にせず書いてしまったので、気になる方はご注意下さい。

1122 いいふうふ

『光る君へ』の中宮定子、『虎に翼』の航一さんを演じたお二人が主演ということで見てみた。高畑充希演じる一子が家を売りたくない、と言ったところが一番印象に残っている。二人は「離婚」という決断をしたけれど、積み上げてきた全てを終わらせようとしたわけではない、と分かって自然と涙が出てきた。

おとやんが剣山でやられるところは驚いたが、困り果てる岡田将生の表情が可愛くて思わず笑ってしまった。不倫側の家庭も色々問題あったけれど、育児の本を買ったところで急にお父さんになったように見えて、まずは一歩を踏み出せて良かったと不思議な気持ちになった。

カルテット

音楽を題材にした作品はもうそれだけで好きになることが多い。『カルテット』は音楽のみならず、サスペンス味もあって、最後まで飽きることがなかった。これは共感してくれる人もいると思うけれど、満島ひかりがチェロって良いですよね。

このドラマの魅力は四人の会話劇だと聞いていたので、唐揚げの話のときは来たぞとにやにやしていた。会話しているときの四人の声が好きだった。松たか子の心を開いた人には声が大きくなったり、高橋一生の息継ぎをしないで話しきるところなど、会話の内容よりも声(というか話し方?)に耳がいくことが多かった。

四人は音楽で食えるほど上手ではないし、才能もない。でもまあ、奏でる人自身が自虐しながらでも楽しんだ結果に出てくる音、ああいうのが音楽だよな、とプロでもない高校生のホルンに感動したときのことを思い出した。椎名林檎が提供した「おとなの掟」も、演じた俳優が歌うというアニソンみたいな試みが自分には珍しくて面白かった。

大豆田とわ子と三人の元夫

『カルテット』に続いてまたまた坂本裕二脚本。このドラマで語りたいのは、かごめの死の回だ。かごめのキャラクターに惹きつけられたところで訪れる突然の死。いや、今考えてみれば、最後の晩餐がどうの〜とか話していたからフラグが全くなかったわけでもないけれど、それにしてもこのドラマに死が出てくるなんて思わないじゃないか。かごめが霊柩車に乗せられ、松たか子が「かごめー!」と叫ぶところで、それまで気配を見せなかった涙がだばーっと流れたよ。本当に、涙腺が決壊したという表現が似合う瞬間だった。

叫んだときに「All The Same」というお洒落な洋楽が流れる。この曲のイントロだけでも聞いて欲しいなあ、ピアノの捉えきれない拍子が聞いていてとても楽しいから。そして同時に切なさも感じるから。

川っぺりムコリッタ

予告で見たときは温かいとか、ほのぼのとした印象があったのに、本編は「茹る」という感じがした。ほっこりではなくて、醜く汗をかいてでも生きていかなくては、と思わせる強さを作品から感じた。

どのキャラクターも際立っていて、思わず仲間入りしたくなる。川を横目にリコーダーを吹きたいし、高いお肉を大勢で食べたい。人との繋がりは時に鬱陶しく、焦れったく、面倒と感じる。でも、一人きりではどうしても生きてはいけないという事実に救われることもある。それを実感させる映画だった。

振り返ってみると、好きな場面が沢山あるなあ。もちろんご飯を食べるシーンは好きだけど、子供たちががらくたの上で奏でるところも良いし、元花火師の急な「ドーン!」も、骨を砕くところも、ムロツヨシが地面を這って「連れてって」と言うところも、どれも滑稽と愛しさが混ざっていて何度でも見たくなる。

1秒先の彼

台湾映画『1秒先の彼女』の日本版リメイク『1秒先の彼』。不思議なことが起こる場所として、京都を舞台にしたのが良かった。俳優さんたちも自ずと京都弁を話すことになるのだけど、それが聞いていて気持ち良く、やはり方言は映画に華を添えるなと感じた。

見ている間、ずっと穏やかな時間が流れていた。恋愛とも取れるし、友情とも取れる二人の関係を応援したくなる。とくにヒロインが主人公を引っ張ってでもツーショットを撮ろうとする姿は健気で可愛らしかった。ラストでヒロインがホワイトソーダ味のパピコを主人公に渡すときも、画としては何気ないはずなのに、すごくときめいた。

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