週刊オールライター第103号 「『渋沢栄一の新札をご祝儀に使ってはいけない』は嘘‼︎」
近頃、Xで以下のような話題で論争が起きていることをご存知ですか?
「ご祝儀に渋沢栄一札を使うのはマナー違反」
(間に受けた掲示板の一例)
https://togetter.com/li/2443969
私は最初この話題を聞いた時、こう思いました。
「なぜ渋沢栄一のお札がダメなの?というより、10000円札はこれから福沢諭吉から渋沢になっていくわけだし、その時にそう言っちゃうってどういう神経してるの?」
この怒りが収まらないまま数日経ち、私がお世話になっている栗原景さんがこの件についてXで以下のように苦言を呈しました。
「これはジョークを本気にしているだけ」
私にはショックでした。この時になってようやく私自身がこの嘘を間に受けてしまっていたと分かったのですから。
今回は、「ご祝儀に渋沢栄一札を使うのはマナー違反」ということが嘘であることとその根拠を述べるとともに、間に受けてしまった理由、その対策を述べて間に受けてしまった皆さんの誤解を解こうと思います。
1. 渋沢栄一に女性問題があったのか
調べてみると、確かに現代であれば大ごとになる女性関係がありました。渋沢は公式上では11人の子どもを授かっていますが、実はそれよりも7人多いとされています。その理由は最初の妻、最初の妻に先立たれた後に再婚した後妻だけでなく妾がいたからです。渋沢の最初の妻は当時15歳だった自身の従姉妹・千代でした。彼女との間に2男3女を設けました。千代は渋沢が45歳の時に亡くなりますが、彼はその翌年に当時31歳の兼子と再婚し、5男1女を授かります。この時点で渋沢家は子供が11人もいる大家族になりましたが、実は子供たちはこれだけではないそうです。妾とも子供を作っていたというのです(その子供の中に、渋沢が設立に尽力して自身が初代頭取だった日本初の銀行・第一国立銀行の頭取がいることは有名だそうです)。今であれば妾は許されないですね。
2. ジョークの火種は何か
そもそもの火種はなんだったのでしょうか。私は栗原さんに、マナー違反とする話が嘘だと分かった理由を聞きました。その結果、以下のような投稿を見せてくれました(文章を一部改変しています)。
「渋沢札が出るのなら、マナー講師たちに『渋沢札をご祝儀に使うのはダメ』みたいなダメ投稿をしてもらいたい」
おそらく、ここで述べられている「マナー講師」というのは、自称マナー講師のことでしょう。この投稿を知ってか知らずかは分かりませんが、やはりその自称マナー講師たちが続々と
「渋沢札はご祝儀に使っちゃダメ」
という趣旨の投稿をしており、栗原さんもその投稿を教えてくれました。そのような出鱈目が投稿され始めた時期は新札解禁の1ヶ月前くらいからでした。ご祝儀にまつわるマナーとして今あるものは
「ご祝儀は新札を使うこと(新しい門出や前もって準備していたことを意味するから)」
「ご祝儀で渡す金額は先頭の数字を1・3・5・7にすること(2・偶数は2で割り切れるので「分かれる」を連想、9は「苦しむ」を連想するから)」
ですが、これまでに特定の人物の肖像がある紙幣をご祝儀に使用してはいけないというものはありませんでした。栗原さんはこの事実を調べる以前に知っていた、または調べていたので肌感覚で
「これはジョークを間に受けている」
と突き放して苦言を呈していたわけです。
3. なぜ間に受けたのか 私は何度も失敗した身です
ここで、なぜ私は間に受けてしまったのかを言います。その理由は単純です。私は冗談が通じないからです。私はその「冗談が通じない人」の中でも、真面目にまっすぐ考えすぎてしまうタイプです。かなり揶揄われやすいタイプです。
4. 対策は 栗原景さんに聞いた
私のように、冗談が通じない人がSNSで情報を見聞きする場合、「何ごとも『本当にそうなのか?』と疑って客観的事実を調べるクセをつけること」をしないとSNS運営は難しいでしょう。これは、栗原さんからのアドバイスです。真面目にまっすぐ考える人は、客観視することができません。ですので、その傾向を掴むための訓練をする必要があります。私の場合は、スマートフォンゲームをやっているので、それ専用のアカウントを作り、あえて私の普段使いのアカウントを相互フォロー状態にして、見た人がどう思われるかを確認するようにしています。
むすびにかえて
今回は、「ご祝儀に渋沢栄一札を使うのはマナー違反」ということが嘘であることとその根拠を述べるとともに、間に受けてしまった理由、その対策を述べました。今後、世の中に出ていく上で冗談に流されないように少しずつではありますが、訓練の成果を発揮できるようになりたいと思います。
ではまた。
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