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唯一の日本人、日本食レストランをクビになる

私がスコットランドへ来てはじめて勤めた職場は、ポーランド人が経営されている日本食レストランでした。

そのレストランは日本人がほとんどいないスコットランドのPerthという小さな街にあります。Perthでは珍しい日本人ということもあり興味を持ってもらった私は、巻き寿司がつくれる!(家で手巻き寿司パーティしたことあるレベル)という理由でなんとか寿司セクションのシェフとしての職を手にすることができたんです🍣

だけど私には不安がありました。
だって寿司を握るなんて日本人の私からするととてもハードルの高いこと。日本であれば弟子入りをして何年も修行をし、やっとの思いで板前さんになるというのがセオリーじゃないですか。それを手巻き寿司パーティレベルの私が踏み入れていい場所なの?!って。これは即クビになるかもしれない...という覚悟で私はその世界に飛び込むことを決意。

私は初出勤までスコットランドでの生活の存続と日本人代表という重役を背負い巻き寿司や握りのhow to動画を見てはイメトレを繰り返しました。

そして迎えた初日。
握りと巻き寿司を試しに作ってくれとオーダーされた私。まずは巻き寿司。練習動画とイメトレの甲斐があり少々不恰好ながらも無事完成させることができました。ひと安心。

そして問題の握り。私は練習動画を思い出しながら寿司を握ってみせました。すると寿司シェフは「not bad」と一言、そして有難いことに手本を見せてくれたんです。

「そうだよな、動画で少し勉強して成せる技じゃないよな。学ばせてください寿司の握り方を!」

と食い入るように寿司シェフの技術に注目する私。

するとびっくり。
寿司シェフは、シャリを手でつかむなりクルクル〜と粘土のように両手で酢飯をこねはじめたのです。

!!!!!!?
こねてる!!

正直驚きました。そして「いける」
とどこからともなく自信が湧いてきたんです。

それから私は寿司セクション担当のシェフとしてお仕事をいただき、これまでにないほど日本食と向き合う日々を過ごしました。時には自らみたらし団子を同僚に振る舞うなどして積極性も見せたりなんかもして。

だけど寿司の道はやっぱり甘くはないですね。悲しいことに、トライアル期間終了とともに私はクビになってしまったんです。

理由はさまざま...。
ドラゴンロールやトロピカルロールと言った難易度高の巻き寿司に苦戦してしまったり、やっぱりコミニュケーションが取れないことで仕事のの見込みがうんっと遅くなってしまったことなどなど...
明日から来なくていいから。とメールで一言宣告されてしまったのでした。

こっちへ来て初めて味わう人生の厳しさレベル1。人生初のクビ、結構落ち込みました笑
(今は新しい職場も見つかりクビになることもなく、楽しく過ごしています🌈)
人生山あり谷ありですね。

最後に、私の働いていた日本食レストランは本格的な日本食というよりは”日本食風”と言う方が適切かもしれません。だけど、凝ったお料理ばかりでなかなか美味しいんです!従業員もフレンドリーでいいひとばかり。クビになったことはすごく残念で悲しかったけど私はこのレストランが大好きです!

Perthへ行くことがあれば是非足を運んでみてください☺️Perth唯一の日本食レストランなのですぐ見つかると思います!

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