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VR動画出演の衝撃(または神をも恐れぬ謎の脱出ゲーム)

 2023年、名古屋文理大学アプリ開発プロジェクト(参照:https://note.com/hsgwsts/n/ndee2c202205d )は新たな局面を迎えた。
 アプリ開発プロジェクトの前身といえる「iPhone道場」の初代メンバーでもありHOPTER TECH SCHOOL( https://hopterschool.or.jp/ )の教頭でカリスマITエンジニアのIゴウ氏(仮名)の指導を得て、同スクールとの共同プロジェクトに参加する機会を得て、大いなるX(トランスフォーメーション)を果たしたのである。
 一方、私(大学教授H)は?と言えば、学生プロジェクトの活動もすっかり学生まかせで、今や大学の研究室もクマやらシャチやらダイオウグソクムシやらに占領され、研究室の壁ぎわで細々とメダカにエサをやっているような状況に甘んじていた。そこに、ある日の夕刻、あの「お尻デバイス」の開発で一世を風靡した大学4年生Kカミ氏(仮名)が現れ、「先生ちょっと来てください」ときたのであった。
 「出演依頼です」という謎の誘い文句に騙されて、約束の時間に少し遅れて本館1階の小部屋を訪れると、前述のHOPTER+アプリ開発メンバーとみられる数人が徒党を組み意味深な笑みを浮かべつつ何かを準備していた。取調室のような寒々とした部屋には、変哲のない会議机が周到に位置を確認して置かれ、その上には不自然に書籍が積まれていた。部屋の壁のホワイトボードは、授業の後の消し忘れにも見えるが実際には無意味で不完全ないくつもの数式で埋め尽くされていた。
 嬉々として360度カメラを設置したKカミ氏から伝えられたのは「机上のPCに文字を入力してほしい」という極めて意味不明な謎のミッションだった。キツネにつままれたまま椅子に腰をかけると、そこにいた全員が示し合わせたようにそそくさと室外に出て、即座に扉が閉められた。ひとり部屋に残された私が、指示された通りキーボードから「ISHIGOU」と入力すると、ノートPCの画面には不釣り合いな大きな文字で「いしごう」と表示された。不審に思い、室外にいるKカミ氏に「これでいいの?川上くん?」と問い直すと、すこし考えて間をおいてから、「やっぱり『あいつだ!』と言ってからもう1回お願いします」とのこと。極めて断片的な謎の指示を、その時の私はなすすべもなく無批判に受け入れ、セリフを追加して同じ動作を繰り返したのだった。
 撮影された360度映像は、後日、名古屋文理大学稲友祭の当日に、撮影現場と同じ部屋で実施された来場者参加イベント「リアル脱出ゲーム(名古屋文理大学×HOPTER TECH SCHOOL)」(参照: https://hopterschool.or.jp/toyusai20231029/ )の中の謎解きキーワード入手企画の1つになっていた。謎解き企画は、映像のリアルタイム制御とAIによる画像認識、サーバとの通信アプリ、ライン・トレース・ロボットカー、パズルアプリなど、どれもIT技術の粋を凝らしたもので、絶妙の設定でストーリーが展開するリアル脱出ゲームであった。このイベントの中に用意された謎解き企画のひとつが360度VR空間でのキーワードの発見であった。
 あの「取調室」は「教授の研究室」であり、リアル空間に置かれた怪しいゴーグルを覗くと、私がVR空間で「教授」を演じていた。『あいつだ・・・』の声は室内に低い声で反響し、脱出すべき空間の怪しい雰囲気を演出する効果を発揮していた。密室の「研究室」からの脱出に必要なキーワードのひとつが「いしごう」であったのは言うまでもない。
 騙された事とはいえ、この素晴らしいイベントを成功に導いたIゴウ先生を「あいつ」呼ばわりした挙句、AIイラストも出色で人気を博したイベントのVR映像に偉そうに主演して、無限に繰り返されるVR映像で来場者の皆様と毎回毎回バーチャル空間を共有する重要な役を果たすこととなってしまった。厚顔無恥で神をも恐れぬ所業である。
 こうなった以上、この素晴らしいイベントを成功させた HOPTER TECH SCHOOL+名古屋文理大学アプリ開発プロジェクトの皆さんと、指導された「あいつ」に敬意を表しながら、これからは、「大学教授」を脱して「VR主演俳優」として生きていこうと思います。


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