【Sample Theme 6】街について
仙台の朝を歩く。
よく出身をきかれたときに
「宮城県です」
とこたえると
「ああ、九州のほうのご出身で」
といわれ、あわてて
「仙台です」
と言いなおすと
「東北じゃないですか」
なんてやりとりをすることがあります。
県名よりも県庁所在地のほうが知名度の高い街、それが仙台。
高い人口密度と商工業が集積した東北の中核都市であり、空港や新幹線のアクセスも充実していることから、関東以西から見ればまさに東北の玄関のような街です。
歴史をたどれば坂上田村麻呂の奥州征伐から始まり、『前九年の役』や『後九年の役』と辛酸を舐めた東北の地。
戦国時代には伊達政宗という傑物を輩出しながらも時の運は豊臣そして徳川に味方することに。
「あと10年生まれるのが早ければ」
と歴史家は悔しがるかもしれませんが、そんな伊達政宗が土着の文化復興と上方に負けない文化の育成に尽力したのが『仙台』という街なのです。
「蝦夷者、田舎侍」と関東上方からさげすまれながらも、藩のため、戦のない平和な生活を守るために、その死に際まで徳川に恭順の礼を尽くした政宗の心意気は、まさに『伊達者』と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。
さて、そんな仙台の観光スポット、ネットで調べればすぐにわかります。
国分町?お好きな方はどうぞごゆっくりと。
そうではなく、ここではあえて誰も紹介しない『朝』の仙台をご紹介したいと思います。
ガイドブックやネットにはないもう一つの仙台の『顔』をぜひ見てください。
まずは愛宕神社からの遠景です。
朝とは言いながらだいぶ日が昇ってから撮影してしまいました。
愛宕神社は仙台駅から見ると東に位置し、広瀬川沿いの小高い山の上に鎮座する由緒ある神社です。
春になると境内の桜がとてもきれいに咲き誇ります。
愛宕神社を少し北西へ進んだ山の上の住宅街から撮影した一枚です。
街の作りがとても伸びやかですね。
愛宕神社を下り広瀬川を渡ると途端に『街』っぽくなってきます。
午前5時頃に撮影したもので、交通量は少なめですが、日中は車が途切れることがない大通りです。
ビルにはさまれひっそりとたたずむ詩人、土井晩翠の生家です。
ここも日中は交通量の多いにぎやかなところです。
昼間は『荒城の月』は歌えませんね。
仙台の私立大学ときかれて『東北学院大学』を連想する方は多いのではないでしょうか?
五橋に新校舎を建設中です。
稼働していない重機にどこかロマンを感じませんか?
人がいないサンモール商店街。
あと30分もすると、人が徐々に増えてきます。
某アウトドアショップのある通り。
まるで自分以外の人間がいなくなってしまったかのようにさえ感じますね。
朝日がようやく顔をだしたくらいの時刻です。
見えづらいですがこの先に仙台駅があります。
いかがでしょうか?
コロナで人との接触を避けないといけない時節柄。
人のいない仙台の街を歩いてみると、新しい魅力を発見できるかもしれません。
※製作時間50分、文字数1182字(タイトル含む)
写真はCanon EOS Rで撮影しております。
愛宕神社境内の撮影に関しては本記事が商用目的でないことを予めご承知おきいただきたくお願いいたします。
今回は『街』というテーマで仙台を題材にライティングいたしました。
しかし、名品物産や名所旧跡紹介の類はガイドブックから個人ブログまで情報で溢れております。
そこで、国分町で深夜まで飲み食いした観光客が絶対にみることがないであろう『朝の仙台』というモチーフで構成しております。
サンプルライティングは基本1000文字前後という制約で制作しているため、写真も含めてボリュームが希薄に感じられるかもしれません。
例えば、観光名所は昼間に見ることが多いため、早朝に撮影して対比させてみる、というような見せ方もあるとは思います。
それはそれで良いアイデアだとは思いますが、ここでの主題は『街』であるため、ありふれた仙台の景観をご紹介することといたしました。
文字数に対して制作時間が多少長くなっておりますが、これは写真の選定に多少戸惑ったためです。
日時、季節、天候、それぞれバラバラに撮影したもので統一性がないことをどのように説明できるか、という不安がありますが、さまざまな顔で『魅せる』という点では、これはこれで有りなのでは?と個人的に思っております。
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