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日米におけるハンバーガーショップの差

1980年代に私がまだ大学生だったころ、ある友人が「なあ、知ってるか?外国のハンバーガーショップって店員が無愛想でニコリともしないんだぜ」と言ってきたことがありました。
彼の言う通り、そのあと卒業旅行でニューヨークに行った時も社会人になってから海外出張やアメリカ駐在した時もハンバーガーショップで店員にニコニコ接客されたことはなく、ぶっきらぼうに注文を聞かれた記憶しかありませんでした。
一方で日本のハンバーガーショップはいつ行っても店員がニコニコ明るく接してくれて、某ハンバーガーチェーン店にはメニューに「スマイル0円」なる表記までしてありました。

ここ十数年は海外へ行く機会自体もめっぽう少なくなっていて、行ったとしてもファストフード店で食事をすることはなかったのですが、今年の1月に久しぶりにラスベガスへ出張した際、あるイベントが終わるのが思いのほか遅い時間になり、夜食としてハンバーガーでも食べようかという話になりました。
ホテルの近くの大谷翔平さんも行くというハンバーガチェーン店へ日付も変わろうかという時間に入ってみたところ、ちょっとした違和感を感じました。店員は若い黒人の男性でしたが、なんとなくフレンドリーな感じをかもしだし笑みをたずさえていました。ハンバーガーを作っている厨房は店内から見えるところにあり、ここは若いアメリカ人が列になって流れ作業をしており、一生懸命な作業が見て取れてこれについても好感が持てました。(ハンバーガー自体は予想していたアメリカアメリカしたものとは違い、ヘルシーな感じのもので、ある意味期待外れでした。)
食事を終えて食べ終わったトレーをもって店の出口の近くのトレー置き場でゴミを片付けていると、驚いたことにカウンターの中から店員が、「Hey, you guys have a good night!」といってこちらに向かって手を振っています。一瞬違う人に声をかけたのかと思ったのですが、その辺りには私たちしかいません。戸惑いながら「You, too.」と手を振って店を後にしました。
アメリカのハンバーガーショップも随分変わったなという小さなサプライズでした。(たまたまこのお店だけそうだったのかもしれませんが。)

一方、日本です。ことしの正月にとある某有名ハンバーガーチェーン店で昼食をテイクアウト(To-Go)しました。ちょっと前までは店員はアジア系の外国人が多かったのですが、その日、カウンターで商品を手渡していたのは70歳は超えていると思われる日本人の男性でした。彼は一生懸命自分の職務を果たそうするのですが、なにせ手際が良くない。商品を入れた紙袋の口をまく作業さえ円滑に進みません。その様子を40歳ぐらいのマネージャーと思われる社員が、冷たい目線でじっと睨みつけていました。そこには「スマイル0円」のおおらかさはかけらも残っていませんでした。

物価上昇に悩まされながらも働くことに意義を感じて将来に夢を持てる国と、年金払えばバラ色の老後が送れるという戯言で国民を欺き、いまや70,75歳,いや、死ぬまで働くのが望ましいなどと言い放つご都合主義の国との差を垣間見た気がします。

本題から外れてしまうのですが、ラスベガスへ行ったときの話をもう一つ。ラスベガス国際空港からホテルまで一人で移動したのですが、ちょっと不安でした。私が昔アメリカ駐在していたころは、地域によってはタクシーは危険で、あらぬところにつれていかれて「Hold up!」と言われることもあり、できるだけ使わないように言われていたからです。(私の住んでいたアトランタも危険と言われる場所の一つでした。)とはいえタクシーしか移動手段はありません。何も起こらないように、無事にホテルに着けるようにと祈る気持ちでタクシー乗り場に向かい、一台のタクシーに乗り込むと運転手は大柄な黒人男性でした。何か起きた時には腕力では絶対勝てないし、有り金全部渡すしかないと思いつつ、行き先を告げました。悪い妄想は増大するばかりでしたが、結局は何事もなく目的のホテルにつきました。
安堵しつつ、カードで運賃を払おうとしましたが、支払い方が良くわかりません。運転手におっかなビックリ支払い方を聞くと目の前の機械の使い方をこの上なく丁寧に教えてくれました。最後にチップの%を選択するのですが一般的には20%程度と言われているので、彼に「20% is OK?(20%でいい?)」と聞くと若干、間があって「30%?(30%は?)」との答え。荷物もおろしてもらったので「OK, 30%!(OK。30%にしよう!)」と答えると、二人で大爆笑。他愛のないやり取りですが、緊張から解かれたこともあって、何かとても幸せな気分になりました。

ちなみに私は日本ではできるだけタクシーには乗らないようにしています。タクシー運転手のせいで嫌な思いをしたことが一度や二度ではないからです。シェアライドが緩和されてアメリカのように利用者が乗った車や運転手の評価を入力できるようになったら、そういった運転手は淘汰されていくと思っていたのですが、どうも日本ではタクシー会社が主導の制度になるらしく、これも期待薄ですね。

問題を抱えつつも、働くことに意義をもって解決に向けて前に進んでいこうとする国。日本も過去にはそうだった時期があったのは確かですが、もうその時は二度と戻ってこないように思います。


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