グローバルチームのデザイナーが、freee人事労務 iOSアプリの英語対応をリリースした話
グローバルデザインチームでマネージャーをしているHalです。普段はグローバル開発チームと一緒に英語で税理士さん向けの新規プロダクト開発を担当しています。今日は最近リリースしたfreee人事労務アプリの英語対応について話します。
この記事では、僕がなぜfreee人事労務という別チームのモバイルアプリの多言語対応機能を企画し、自ら実装し、リリースするまで至ったか、その道のりについて紹介していこうと思います。
記事のサマリ
freeeのミッション実現とグローバル開発チームの未来のために多言語対応の企画をした
多言語ムーブメントの発起人、中国出身の事業企画のViviさんとともに1年間の草の根活動の末、開発合宿という社内イベントで実装できることになった
2023年5月18日、iOSの英語版の機能をリリースした
freee人事労務の多言語対応とは?
機能の詳細に関してはヘルプページをご確認ください。
https://support.freee.co.jp/hc/ja/articles/18392419076633
なぜこの多言語対応を始めようと思ったのか?
僕が多言語対応に興味をもったきっかけは、今働いているグローバルチームです。今のグローバルチームで、外国籍の方と働く中でたくさんの刺激を得て、一緒に働くことの楽しさを感じています。
一方で外国籍であるがゆえに、日本での働きづらさを感じるシーンが多いと聞きます。例えば、在留資格をとるまでのプロセスで苦戦したり、金融機関の手続き、賃貸に入居する時の手続き、様々なところで苦戦しているという話を聞きます。
そして、私達が提供するfreee人事労務では、勤怠を登録したり給与を確認する時に、日本語しか書かれていないので毎回機械翻訳を使って利用しているということも聞きました。
使えない人が身近にいるサービスを作り手として出したくないですし、freeeのビジョンは「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」。より幅広い人にfreeeを使ってもらいたい。
話している言語に関わらずfreeeが利用できる状態を目指していくために、多言語をやっていきたいという想いが強くなり、自身が外国籍(中国出身)の従業員であり、先に多言語対応ムーブメントとして活動を始めていたViviさんと一緒に進めることにしました。
freee人事労務の英語対応実装が決まるまで
多言語対応をviviさんと一緒にやろうと決めたものの、具体的に何をして良いかわからずに最初は模索する日々でした。当時の議事録を振り返ると、社内での多言語対応のニーズを調査したり、実際に外国籍従業員を抱える企業へユーザーインタビューを実施してみたり。社内で多言語対応にトライした事例を調べたり。
気づけば半年近く2人で活動を続けていました。何度もめげそうになることはありましたが2週間に一回の定例だけは続けて、時には雑談で終わることもありましたが、どうすればfreeeを多言語対応できるか?を議論し続けていました。
そんな状況が好転したのは、社外取締役で普段はサンフランシスコに在住のYumiさんが来日したタイミング。freeeのオフィスで話す機会があったので、何となく相談を持ちかけてみました。
Hal「実はfreeeで多言語対応をやりたいと思うんですが、既存のプロダクトは大きすぎてどう計画していけば良いかわからないんです。」
Yumi「アプリから始めてみることは考えた?例えばiOSってLocalizationしやすい作りになってるはず」
Yumi「まずは小さく始めて検証してみることも大事よ。そこで検証して実績を作れば会社としてプロジェクト化することもやりやすいはず」
これまで全ての機能が揃っているWeb版freee人事労務やfreee会計で多言語対応した方がインパクトも出やすいだろうと考えていたので、モバイルアプリの多言語対応は全く頭にありませんでした。まずは実装コストが比較的少なくすむであろうモバイルアプリから取り組んでみるのはありかもしれない。そう思った我々は、HRのモバイルアプリで多言語対応をするための活動を開始しました。
幸い、(僕と同じ所属の)グローバルチームのエンジニアリーダーが、元々モバイルチームでエンジニアのリーダーをしていたので、iOSの作りに詳しく、多言語対応をする場合のコストをざっくり見積もってくれました。Yumiさんの予想通り、そこまで大規模な開発をしなくても対応できそうなことがわかりました。
それらの情報を元にモバイルチームのプロダクト責任者に多言語対応を開発できないか?という頭出しをしたところ、多言語対応をやることに関してはポジティブな意見をもらったものの、直近の開発計画の中で対応することは難しい...という意見をもらいました。
やはり急なお願いで、開発計画に差し込むのは難しかったです。ただ、freeeには「普段の業務(OKRなど)から離れて自分のやりたい開発ができる期間」が存在します。
それは、開発合宿です。
freeeの制度を活かし、開発合宿でfreee人事労務アプリの多言語対応を取り組むことにしました!
開発合宿での実装とリリースまで
開発合宿は何をやるかを宣言し、仲間を集めるところから始まります。僕は普段グローバル開発に関わるメンバーを中心に声をかけ、多言語対応をやりたいと言ったところ、フィリピン支社から2名、日本のグローバルチームから僕を含めて4名が参加することになりました.そして、iOSチームとAndroidチームに分かれて開発をしました。
僕自身、普段はデザイナーですが、エンジニアのサポートを受けてiOSの開発に取り組みました。以前、多言語対応の開発コストを見積もってくれたグローバルチームのエンジニアリーダーもこのプロジェクトに参加してくださったので、基本的な開発方針や多言語対応の実装方法は彼に教わってもらいながら進めることができました(大感謝)
残念ながら、期間内に全ての対応は終わらなかったものの、開発合宿では多言語対応のプロジェクトが表彰されました!
開発合宿が終わった時には僕1人で多言語対応を進められる知識を身につけていたので、暇な時に細々と実装し、ようやくiOSの全ての機能の実装が完了しました。最終的にはほとんど全てiOSの実装を自分でやってしまったので、SwiftやXcodeとも仲良くなることができました。
機能の実装が終わってからは一緒に多言語対応ムーブメントを推進していたViviさんが、開発以外の関係部署(営業、マーケ、カスタマーサポート、広報等)との調整を担当。
一方、僕はモバイル開発チームと今後の翻訳方針やメンテナンス方針について議論したり、ヘルプページの下書き作成を担当しました。いつもこのような調整は、担当チームのプロダクトマネージャーに任せることが多かったので、リリースする時にどういうことを考慮すべきか?ということを知る良い機会になりました。
そして、2023年5月18日、iOSの英語版の機能をリリースすることができました。
※Android版も現在対応中で、近日公開予定です
おわりに
このようにボトムアップで進めてきた多言語対応ですが、今後は正式なプロジェクト化をして、他の機能の多言語対応も進めていきたいと目論んでいます。
Viviさんと初めて多言語対応に関する打ち合わせをしてから、1年1ヶ月。ようやく最初のリリースができました。freeeのような規模で、プロダクトのロードマップにない機能を0から企画し、リリースまでやりきるという中々できない経験ができたので、その取り組みについても近々記事を書こうと思います!
また、これらの記事では書き足りないこともたくさんあります。
もし、freeeのグローバル開発や多言語対応の取り組みについてもっと聞いてみたい、freeeのデザイン組織について聞いてみたい、コーヒー飲みながら私と話してみたい、そんな方はお気軽にTwitterもしくはLinkedinでメッセージください!
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