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BtoB SaaS 営業担当が金額交渉時に絶対に理解しておかなければいけないポイントについて

本NOTEの目的

今回BtoB SaaS事業を推進していると、顧客と必ず発生すると言っても過言ではない金額交渉時の理解しておかなければいけないポイントというテーマについてNOTEとしてまとめたいと思います。企業によって金額交渉(値引きを許容するか)についての考え方はそれぞれだと思いますが、BtoBSaaSの事業において、最低限フロントにたつ営業が理解をしておくべき項目をまとめたいと思います。このNOTEでは値引きをしても良い、悪いの話ではなく、何をフロントラインが事業を成長させるために考慮し交渉をすべきなのか。何を理解していなければいけないのかという視点の話ができればと思います。

よくある(ググるとこういうの出てきます)「ブランドの品質が落ちるから」「値下げは企業努力ではないから」などの意見ではなく、事業評価の観点から整理ができればと思います。
お金の話はあまり好きではないのですが、上記のような抽象度の高い情報が多く、以外と情報整理が少ない印象だったのでこちらのタイトルであえて情報を整理させてください。

またフロントの担当者が「なぜ定価がこの金額になっているのか」ここをクリアに説明ができるようになるだけでも事業活動はよりスムーズになると思いますし、逆にフロントラインで何故この定価なのか。が明確に伝えることができない場合は値下げ交渉時におそらく「上司に確認をしますね。」と持って帰ってきてしまうケースが多いと思うのでその点も改めて整理したいと思います。
細かい話なのですが、意外と言語化されていないことが多いテーマなので整理をしてみたいと思います。(個人としてもクリアにしたい、そしてお客様にもクリアに開示できると尚嬉しい)

※追加項目として検討ポイントが出てきた場合は追記をしていければと思いますので気づいた点などあればご意見を頂けると幸いです。

最終更新日:2020年6月6日

そもそもの値引と割引と割戻の違い

値引、割戻、割引は、どれも「モノ・サービスの代金を安くする」という共通点があります。値引、割戻、割引の何が違うのかというと、モノ・サービスの代金を安くする理由が違います。会計上の処理の方法も違いますがこの辺は詳細はリンクを設定しておきますので本NOTEの趣旨とは外れますので興味がある人は見てもらえると助かります。
本NOTEでは「サービスの代金を安くする」ということを値引きという表現を使い進行していきます。

値引きとは
会計上の値引とは、モノ・サービスの「質」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「質」とは、例えば季節外れ商品、不良品、破損品などが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。
スーパーにて賞味期限が近い生鮮食品の価格を下げる
商品の中身は問題ないけどパッケージの箱が破けてしまったため価格を下げる
割引とは
会計上の割引とは、モノ・サービスの代金の支払いについて、支払期限よりも早く支払うことを理由にして、モノ・サービスの代金を安くすることをいいます。早く支払ってくれたのだから、早く支払ってくれた期間に応じてその利息相当分を割り引くのです。

割引の例としては下記のようなものがあります。
通常の支払いは月末締めの翌月末払いになっているが、納入時即現金払いの場合は、商品代金から1%割り引く。
割戻とは
会計上の割戻とは、モノ・サービスの「量」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「量」とは、いわゆるボリュームディスカウントのことで、たくさん買う、まとめて買うことで、価格を安くすることが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。
洋服屋さんのセールで、1着だけ買う場合は4,000円のカットソーが3着まとめて買うと10,000円に値下げされる。
学習塾で、週1回授業の場合の月謝は5,000円のところ、週2回授業にすると月謝が9,000円になる。

※引用:下記リンクを参照しておりますので詳細はこちらでご確認ください。

BtoB SaaS 事業では事業優位性をどのように評価しているのか?

まず大前提として事業に携わるビジネスマンは顧客の成功を通して、自社の事業の拡大を目指していると思います。こちらを前提とした時に自社の事業がどうやって他企業と比較した際に優位性が証明されるのか。を理解をしておく必要があります。フロントである営業の一挙手一投足が事業の優位性を証明するにあたってのどの部分に起因をしているのか。正しい理解をしておくべきだと思います。
詳細の各KPIの推奨値などは下記のNOTEにまとまっておりますので後ほど参考に頂ければと思います。まずは抑えておいて頂きたいKPIを参照後に記載をします。

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参照:SaaS経営のキモ!経営レベルで見るべきオススメのSaaS KPI 9選
https://twitter.com/Masayuki_Minato
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【上記のKPIの中でもフロント営業の影響力が大きいKPI】
#1 MRR(ARR)+成長率
#4 ユニット・エコノミクス(LTV/CAC)
#5 CAC Payback Periods

※継続的な顧客の成功をサポートしていくことが前提なのでこちらの指標以外ももちろんフロントの影響もあるのですが、新規獲得に紐付くKPIとして最低限の理解という観点では整理としてこちらを抽出させて頂きます。

なぜこちらの指標をフロント側で正しく理解をしておく必要があるのか。というとバトンを受けて最後の一手の営業の判断で全て崩れてしまう可能性がこのKPIにはあるからです。次項にてなぜ営業の判断でこの事業評価が崩れるのか、という点と合わせて事例をを記載します。

BtoB SaaS 事業における営業の立ち位置

多くの企業が「The model」を参考にしながら、事業体制の構築を行なっているかと思いますが、営業は最後の砦であり、リレーのアンカーでもあると個人としては考えております。何故かというとご契約に至るまでの投資COSTの変更は営業までバトンが渡ったあとではできず、一度受注というステージに移行したタイミングで回収見込み評価は集計整理がなされてしまうからです。(CAC、pay back periodがこちらにあたります。)

数式にて上記の文章を解説
 「 CAC = 販管費 / 新規契約社数 
 「 payback  period = CAC / 平均顧客単価 
※太字部分が営業の判断、交渉により変動値となるため事業評価のKPIに影響をする理由となります。

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BtoB SaaS 事業における営業の判断が誤ることで起こり得る事業評価への影響

まず下記に先ほど記載をしたKPIごとの判断が誤るケースをシミュレーションさせて頂きますが、大前提としてフロントが理解をしておかなければいけないのは、こちら指標が「どれか一つ」推奨値になっていることが望ましいのではなく、「全て」推奨値になっていなければならない。というのが前提となります。
事業をやる上ですごく厳しい条件ではありますが、今まで繋いできた仲間のバトンを最後必ずいい形で着地させる。これを実行するには正しい理解と知識が必要です。このあとは営業の誤判断によってでる事業評価への悪影響のケースをまとめさせて頂きます。

#BADケース1
値引きを行うことでMRR成長率が推奨値に到達せず事業の評価が低下する可能性がある

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#BADケース2
値引きを行わなず意固地に定価販売を行い、失注が相次ぎCACが高騰しユニットエコノミクスが崩れ自社の収益回収のエコノミクスを外部へ説明ができない

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#BADケース3
値引きを行うことでpayback periodが長期化しキャッシュポジションへの悪影響を及ぼし、投資活動が停滞する可能性がある

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ここまでで読み進めて頂く中で、一部の矛盾が発生していると気づいたかと思います。それはCAC改善のために「量(新規社数)」を意識すべきなのか回収期間を高速化させるために「質(顧客単価)」を重視すべきなのか。という点です。結論としては大変恐縮なのですがバランスであり、自社の事業の状況に合わせて考える必要があるのでそれは一概には決めつけることができません。
ただ本NOTEでご理解を頂きたいポイントとしては、金額交渉(値引きを行うか否か)という判断だけでも事業評価という点を抑えて判断ができる人員がフロントにいる企業と、お客様が●●円にしたら即決してくれると言われました。という人員がフロントに立つ企業では明らかに成果の再現性が違うということです。

最適な事業評価から考える定価の定め方

前項で事業評価の観点から様々なことを記載させて頂きましたが、結局自社が事業評価における推奨値を満たそうとした場合はどの程度の金額で販売を行なっていく必要があるのか。また色々言っていてよくわからないと思われた方。
定価をいくらとして想定すると自社において有益な販売となるのか計算ができるようシミュレーションシートも作成を致しましたのでこちらも参考にして頂けると嬉しいです。

最後に

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僕は営業という仕事は責任感も必要で、大変な仕事であり、更には多様な知識が求められる仕事だとも思っております。だからこそ尊い職種であり、企業の成長は営業フロントがいなければ成り立たないと本当に思っています。
だからこそそんな方々の役に立つ情報が少しでもあればと思い(あと勝手に自分の整理と、社内向け)NOTEを少しずつ書いて、言語化できればと思います。あと結果的に有耶無耶にしないフロントが増えることでコミュニケーションも綺麗になって世の中が少しでもクリアになるといいなとも思っています。

最近ではTwitterもやっておりますのでもしよければフォローをお願いします!

https://twitter.com/harasawa_y






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