見出し画像

カスタマーヘルススコアを運用した振り返り #SaaSLovers DAY7

#SaaSLovers リレーブログ企画について

本日も #SaaSLovers 企画でNOTEを久しぶりに書いております。
#SaaSLovers とは、有志で "SaaSに関する"ブログを日替わりで書く企画です。現在は累計で90記事くらい上げており、以外と多くなっておりびっくりしております!

自己紹介

オープンエイトの原沢です。(Video BRAINというサービスを運営しております)ここ2021年後半~2022年前半は、カスタマーサクセスの管掌役員として従事しているため、この1年間でCS活動をする上で特に重要であると感じたヘルススコアについて寄稿しようと思います。
どの企業でも活用頂くことが多いフレームだと思いますので、参考情報の一つとして見て頂ければ幸いです。

そもそもカスタマーヘルススコアとは?

ヘルススコアとは「顧客の健康状態を示し、アクションを変更する為の組織の共通化されたものさし」と個人的には思っております。(色々な意見があると思いますが)
一般的には解約阻止、予測の観点で用いて利用されていると思いますが、企業が”何を健康”と定義するかによって、役割が変わるので広義な意味を持たせております。

色々な記事がありますので参考までに

自社ではどのような役割として、ヘルススコアを利用しているか?

私たちはヘルススコアを「現時点で、解約となる可能性の高い顧客の抽出」のために利用しております。(裏返しとして値が高ければ更新可能性が高い)

またヘルススコアが一定数値以下になると弊社では、お客様に対して、導入の目的から整理を、マネジメントメンバー同席のもと、アクションを起こすように活動規定をしております。

このヘルススコアの役割を組織的に何とするのかが最も運営において重要だと考えており、ここを曖昧にすることで歪んだ運用になる可能性が高いため気をつけてください!(”ヘルススコアは顧客の健康状態を示し、アクションを変更する為の組織の共通化されたものさし”なので高ければ何でもできるわけではないです)

例えば、共通認識を図れていないことで、下記のような意見が組織内で出ますので、せっかく組織の目線を合わせるためのスコアを作るので目的まで定めたいですね。
ここが設定されていないと、振り返りをする時に何を満たせていることが今回のヘルススコアを設計して良かったことなのか。がブレてきます。
(これは僕が正しく共通認識を組織で持たせながら推進しなければいけなかったです、、)

例:「ヘルススコアが高い顧客に対してアップセルが狙えないか」など

ヘルススコアを導入して感じたメリット

導入のメリットは大きく2つあると思います。
1つ目は、ヘルススコアを用いて、アクションの判断を共通認識化することができるので、組織のアクションの精度が高まり、結果として顧客の状態が目指すべき方向性へ改善することです。

2つ目は、CS組織運営のための共通となる改善基盤ができることです。組織として大事にすべき指標が定まるので、最終KPIの「更新率/NRR/アップセル/クロスセル」が改善をしても、しなかった場合でも、今大事にしているヘルススコアの因子を分解し、取りこぼしのある変数は何になるのか。議論の土台が存在するためPDCAが正しく回るようになります。

組織運営の中でもやってて良かったと思う実感が多く、導入したことは本当に良かったと思っております。

カスタマーヘルススコアの導入のステップ

ヘルススコアをまだ導入していない企業の方々に向けてですが簡易ではありますが整理の手順を記載しておきます。(もっと詳細が必要な場合はお声がけください、自社の事例であれば考え方は共有できると思います。)
また僕らも日々試行錯誤しておりますので、色々意見をください!

1.健康状態を定義する
今回は「顧客の更新予測/解約予備軍の抽出」を目的にヘルススコアを設定するとします。
特定の目的が定まった場合、その状態をどうやったら把握できるのかを組織で一度ブレストしてみるのも良いと思いますし、更新・解約した企業を一覧化した上で共通の因子は何になるのか。を分析するのが良いと思います。

例えば「ログインしていない、している」など、極端なケースからでも良いので一覧化してくことで顧客の状態を定義していきます。

2.因果関係のある指標を整理する
「顧客の状態」を定義したら、ヘルススコアを算出するため必要な指標を決めていきます。ヘルススコアを算出するために利用する要素には以下のフレームワークがよく使われ我々も参考にさせて頂きました。
まずは計測可能な指標がどのようなものなのか見てみるといいと思います。

引用 https://blog.allstarsaas.com/posts/saascs-health-score

DEAR framework
米Gainsight社がまとめたヘルススコアを設計する際に用いるフレームワーク。Deployment(最適な利用条件の充足度)、Engagement(顧客との関係値)、Adoption(プロダクト・サービスの利用率)、ROI(費用対効果)から構成される。この4つの観点を用いると解約理由が反映され、対策を講じやすいヘルススコアを構築できる。

引用:https://customer-success.virtualex.co.jp/words/2022/03/dear-framework.html

3.指標の計測定義を行う
ここからは細かい作業になるのですが、結局どれくらい使っていたらいいのか?そもそもどうやってその使ったという事実を計測するのか?など指標を計測するための定義を行なっていきます。ここはデータチームやプロダクトチームとも連携しながら、そもそもどうやって計測可能にしていくのか、から進めていくことで運用可能なヘルススコアが設計できるかと思います

参考
ログイン数 xx回 (期間内の 中央値 or 平均値 or 最大値 etc)
機能利用回数 xx回 (期間内の 中央値 or 平均値 or 最大値 etc)
打ち合わせ回数 xx回 (期間内の 中央値 or 平均値 or 最大値 etc)
アンケート満足度 xx回 (期間内の満足度 x点以上 etc)
※こちらは各企業、プロダクトによって最適なものが変わると思います。

4.運用時期
ここまでくればあとは想定のヘルススコアに基づく期待する更新率/解約率を掛け合わせて、実績と比較しながらモニタリングを行います。
モニタリングしながら想定数値に差分が出た場合に、再度ヘルススコアの設計を見直し、重要な因子として組み込んでいきます。

実際に運用してみて、すごく大事だなと個人的に思うのは、初期設計をなるべく時間をかけて丁寧にCSとお客様と擦り合わせて進行した方が良いということです。

何故かというと基本的に更新・解約など遅行指標であることが多いので、このヘルススコアの再現性レベルを把握するのに初期設計を行なってから半年は少なくとも時間がかかると思います。

そのため初期の精度には拘りを持って進行して頂くと良いと思います。

最後に

カスタマーサクセス領域を1年間弱取り組んでみて、テクニカルな指標や運営設計などは非常に色々あるなと思い、今回は寄稿しておりますが、なんだかんだ一番大切だなと思うことは、自分たちのサービスを利用しているお客様を成功させたいなと心の底から思うことで、それに勝るものはないと思っております。

ただ、ここの熱意だけあっても、上手くいくわけではなく、力なき愛は無力とならないように、日々様々なインプットをしながらコツコツ頑張っていこうと思います!!そんな人の参考情報にこのNOTEがなれたら嬉しいです。CSやられている方がおりましたら、色々情報交換をさせてください〜!

明日の記事は大坪さんになります!
カンマネを勤める大坪さんの記事は必見です!!

ぜひ読んでみてください!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?