司法書士試験記述配点変更と、行政書士試験の今後について

昨年12月に、法務省から司法書士試験の記述問題の配点が変更になり、従来の70点から140点となることが発表されました。

色々その件についての見解などをネットで見ましたが、記述問題での採点の柔軟性を付けることで、より適切な合格者を選抜することが目的なのかと思われます。

たいていの資格試験、特に国家資格に関しては、参考書や過去問題集などのテキストは充実していますし、各種資格試験予備校も配信中心になった現在、激しい競争を行っています。そのため、ほとんどの試験では合格率が上がるか、合格率を上げないために問題を難しくしているかどちらかの対策を取っています。

そうなると、あまりに難しい問題で合否が決まるようになってしまいますので、それは試験の主旨とも異なります。特に択一式と呼ばれる、4つ5つの選択肢から正答を選ぶ問題では、試験範囲(出題元の法令)が決まっている以上、過去問対策を十分に行うことで点数を稼ぐことが可能です。後は難易度と他の受験者との相対比較になりますが、他の受験者も同様に勉強していれば、難易度調整において難しくしていくしか、試験の主催者の対策はありません。

司法書士試験で言えば、択一式の問題を難しくしていって合格基準点の調整をするよりも、受験者の回答の幅の大きい記述式問題の方で採点基準を調整する方が楽なのは間違いありません。

択一問題の配点について変わらないのであれば、記述の重要性が2倍になるということで、次年度以降の司法書士試験受験者にとってはなおさら、記述対策が重要になってきます。記述問題の対象である商業登記も不動産登記も司法書士なら当然必要なので、そのことに否定的な人はまずいないでしょうけれど。

まあ、2年連続で社労士試験を受ける予定の私にとっては関係の無い話なのですけれどね。社労士試験も記述問題復活して良いから、選択式を易化させるか足切りを無くしてくれませんかね。

そう言えば、行政書士試験も次の令和6年度から一部の問題が変わります。そのことについては以前にnoteに書いたこともありましたが、一般知識の問題で内容が変わるようです(ただし、行政書士試験研究センターの正式な発表では、「試験の内容及び出題範囲を変更するものではありません」と明記されていて、あくまで試験範囲は変わらないが、問題の出題について詳細に書きましたよ、ということらしいです)。

私自身は合格した令和4年度試験で、一般知識の14問中13問(52点)で正解して、合計184点のうち3割弱を一般知識が占めることになり、法令科目の得点がかなり少ない合格者になってしまい、自慢できる試験結果ではありませんでした。

行政書士試験にも記述問題はあり、300満点中60点を占めています。行政書士試験でも記述問題で採点基準を色々アレコレして、合格率の調整をしているのではないかという見方はずっと前からありました。行政書士試験は300点中180点以上で合格という、他の受験者との相対評価が無いため、なおさら難易度調整は難しくなっています。

いっそのこと、行政書士試験でも記述問題の配点を増やしちゃえば、択一式の問題の難易度調整に苦しまないでしょうに。

ただ、司法書士試験は法務省が実施している試験ですが、行政書士試験は総務大臣の指定を受けた一般財団法人行政書士試験研究センターが、各都道府県知事の委任の元に実施しているものですので、そう単純な話でもないかも。

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