ふるさと納税は本当に行うべきだったのか

ふるさと納税を巡る、総務省と泉佐野市の攻防は裁判では後者の勝利となりました。

私は以前、

このnoteで泉佐野市の方が分が悪いと書いたのですが、裁判の結果的には間違っていました。おそらく考え方も間違っていたのでしょうけれど、総務省の反撃はあるのでしょうか。

先のnoteにも書きましたが、そもそもの「ふるさと納税」では地場産品を購入してくれる納税者に見返りとして事実上の減税措置を与え、その地場産品を提供する自治体に税金が納められるという理念だったはずです。しかし現実は、ただひたすら顧客獲得競争になってしまいました。ふるさとに関係なく、納税者が得をする(と思う)商品を安く提供している自治体に税金が集まるという消耗戦になりました。レッドオーシャンもいいところです。

本来、自治体毎の税収格差を少しでも是正するためであり、従来の地方交付税交付金などではなく、地場産品の売り込みに努力をした自治体が報われる仕組みとして考え出された仕組みのはずでした。

結局、一番楽して大もうけしているのは自治体に取り入っているコンサルなどの企業ではないでしょうか。

このように元々の理念を実現出来ない制度・法律であれば、大幅に縮小するかいったん取り止めにしてもいいくらいなのではないかとも思ってしまいます。

そんなザル法を作った総務省がそもそも悪いのですが、そのザル法を本来の趣旨に沿うように改正したら文句を言うのも筋違いな気がします。

本音で言えば、地場産品だけで多額のふるさと納税を受け取れる自治体なんてほとんどありません。

第一、地場産品といっても例えば讃岐うどんや仙台の牛タンだって大半は輸入原料です。オーストラリア産の牛タンを輸入して調理して出しても仙台の名産品になります。輸入小麦から作られる讃岐うどんも名産品です。

全国各地ほとんどのお土産として売られているような和菓子なんかは砂糖・小麦・大豆で作られていて結局は大半は輸入しています。それでも加工することで各地の名産品になっているわけです。

そもそもの地場産品というのはどこまで地場産であればいいのでしょうか。

例としてはかなり異なりますが、AppleのiPhoneは原料を世界各地から、また構成される小さな部品は日本を始めとしてこれも世界各地から集めてきて、組み立ては中国で行い、アメリカでやっているのはデザイン・設計のみです。そしてAppleブランドで売り出すので、アメリカ製品という認識が消費者には生まれます。

長崎のチャンポンなんて、入っている具材全てが長崎産だと思っている人なんてそもそもいないでしょう。でもチャンポンは紛れもなく長崎名物です。

原材料が必ずしもその地域のものでなくてもいいわけです。ではどこから産地として認められるのか。明確な指針を出すのは無理でしょうし、どんな指針を出しても不利益を被る人達から批判されるのは目に見えています。

結局のところ、「ふるさと納税」という概念自体が無理があったのかも知れません。自治体毎の税収格差の是正を図るには、別の方策を考えた方がいいのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?