複雑なAppleに「Simple」はあるか?

Appleが先日発表した新型の第10世代iPadとそれにつなげるApplePencilに関して、誰か止めなかったのか、という疑問は誰もが思ったことだと思います。遂にUSB-C接続になったのにPencilはLightning接続の第一世代しか使えず、使用するには別途アダプタが必要という、スティーブ・ジョブズがいた頃の「Simple」さの欠片も無い仕様となっています。

iPad Pro、iPad Air、iPad miniとこのiPadで、全て側面がフラットになってUSB-C接続になったのですから、今後は全てのiPadは第二世代ApplePencilのみ対応です、ということにすれば良かったのですが、そうしなかったのはコスト面なのか差別化のためか。

性能向上、半導体不足、ドル高を反映してか、かなりの値上がりになったことを考えると、よく分からないコンセプトのiPadとなってしまいました。多分、過渡期なのでしょうけれど、無印iPadはいずれラインナップから消えるのではないですかね。あんまり儲からないのでしょうし。

iPhoneはまだLightning接続ですが、これも来年にはEU規制もあってUSB-C接続になるという憶測もあります。それよりもポートレス・ケーブルレスにして全て無線にするのではとも言われていますが、Appleがすんなり独自規格を捨てることは無さそうです。

別件ですが、iMessageにおいて、AppleはiPhoneからのメッセージは青色、それ以外からのメッセージ(実質Android)は緑色にしていることにより、ユーザーにAndroidへの不快感を与えている、というニュースがありました。

わざとそうしているかどうかは怪しいところで、ウォールストリートジャーナルでAppleの元エンジニアへのインタビューがあり、ただ単に見分けるためだけに色を変えただけで特別な意味は無かった、という証言もあります。

現実はどうなのか分かりませんが、日本人はLINEが緑色(緑地に黒文字)のメッセージに慣れているので、緑色のメッセージに不快感は持っていないのではないでしょうか。

Appleならやりかねないと思われているが故の記事かも知れません。逆にGoogleがやっていても同様に「Googleならやりかねない」と思われると思いますけれどね。

長く日本ではiPhoneが優勢で、アメリカではAndroidが優勢でしたが、最近では上記WSJの記事にあるようにアメリカでは若者世代のiPhone所有率が圧倒的になってきました。その代わり、日本ではAndroidの方が多くなってきて日米で逆転現象が起きています。

Appleの戦略上の勝利もあるのでしょうが、歴史的なドル高・円安も影響しているはずです。日本人にとって9月10月に発表されたiPhoneもiPadもかなり高額に感じられますが、日本だけの話ではありません。世界中に起きているインフレと、ドル高が相まってアメリカ人(特に最近自分のお金で買えるようになった若者世代)はそれほど高く感じないかも知れません。

ただ、AppleはMagSafe3のように未だに新たなケーブル・規格を作っていますし、本当にiPhoneがUSB-C対応になるかどうかも分かりません。

Appleのエコシステムは圏内に入っている人間にとっては素晴らしいシステムですし、Appleに巨額の利益をもたらしてきました。ただ、Appleとそれ以外に世界が分かれてしまうと、いずれはApple離れを招きかねない気もします。

ジョブズ復帰後のAppleが復活しIT業界で覇権を握ることが出来た端緒は、MicrosoftのExcel含むMS OfficeをMacに対応してもらうことと、電源とUSBケーブルだけで使えるiMacでした。

規格もソフトも標準に合わせてこその、「Simple」であるはずですが、今のAppleは「Simple」でしょうか?

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