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自分が見ているものは自分が見たいもの

去年から今年の初めあたりにかけて、テレビでは「優しい笑い」というキーワードというかトレンドというか、そういう流れが持ち上げられていました。

人を傷つけない“優しい笑い”がトレンド『2020年 ネクストブレイクランキング~芸人編~』
2020/02/07
https://deview.co.jp/Article?am_interview_id=862&set_cookie=2

別にそれは個人の好き嫌いですし、流行り廃りをどうこう言うつもりもありませんが、笑いの本質には残酷さも含まれているはずなので、ことさら「優しい笑い」を取り上げるのもなんだかなあとは思いました。ただ、どぎつい笑いに対するカウンターとして、またニッチなブルーオーシャンとして「優しい笑い」というジャンルを切り開いた芸人さんたちは素晴らしいチャレンジをされたと思います。むしろ「優しい笑い」という現象を取り上げて、現代社会をアレコレ斬っていくっぽいう言論の方が個人的には受け付けません。

さて、それから数ヶ月。新型コロナウイルスの感染による被害と、感染防止のための自粛などによって、社会は協調や連帯よりも非難や罵倒が目立ってきたのではないでしょうか?

あまり外に出ないことや他人と直接会話しないことにより、精神的に不安定になってきているのかも知れませんが、それ以上に自宅でネットメディアを見続けていることもその原因ではないかと思っています。

TwitterなどのSNSやSmartNewsなどのキュレーションメディアでは、登録時や随時、自分が読んだもの、いいと思ったものの情報を収集して、その趣味嗜好に合わせた情報を表示してくれます。それによってそのサービスの利用時間を増やして、そのついでに広告を見てもらってサービス提供者の利益になるというビジネスモデルです。

それらのサービスではユーザーは当然ながら自分の趣味嗜好に合った情報が真っ先に、かつ、たくさん表示されますから、不快な思いもすることなく、時間もかけず手軽に好きな情報を大量に得ることが出来るわけです。

つまり、そういったSNSやニュースメディアを通して得ている情報は、自分が見たいと潜在的に思っている情報とも言えます。

自分が見ているものは自分が見たいものなのです。

いわばそういったメディアの情報を見ることによって、自分の感情をひたすら肯定し続けます。言い換えると、感情が増幅され続けます。

そのこと自体を悪いとは言いませんが、世の中にはポジティブな情報ばかり流れているわけではありません。ネガティブな情報だって大量に存在します。
そういった、自分が日頃から批判的に見ている対象などがSNSやニュースで批判されている情報も、SNSやニュースでたくさん目にすることになります。すると・・・、ネガティブな感情が自分の中で増幅されてしまいます。

自分の感情を自分でコントロールすることは結構難しいものです。新型コロナウイルス対策によって生活が一変してしまった後、自分の感情がイライラしたりキツくなったりしていると気がついた人は、いっそのことネットでの情報収集を止めた方が良いかもしれません。完全にネット断ちは出来なくても、リアルタイム性の高い情報はあえて見ないようにすれば、感情はある程度平静を保てるのではないかと思います。

冒頭に書いた「優しい笑い」の流行は、ネットメディアからネガティブな情報ばかり受け取りその感情が増幅される状態からの救いを求めるSOSなのかも知れません。

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