正解は分からなくても大まかな指針があった方が良かった

新型コロナウイルスによる混乱と被害は日々世界中に広がっています。現在の感染拡大の中心地はヨーロッパに移り、ほとんどの国が外出禁止、国境制限を行っています。

このウイルスの毒性や感染力、中国や韓国での新規感染者数の増加数の低下を見るに、ある程度のところで収まりそうには思えてきましたが、逆に言うとある程度のところまではどの国でも広がることは確実だとも言えます。

そうなると、重要なのは感染拡大のピークを遅らせて、かつ短期間での急激な感染者数の増加を防ぐことであり、どの国でも限られる医療資源を最も被害者が少ない形で振り分けることしか出来ません。

1月からこれまで、日本政府の取ってきた対応には多くの失敗もあったと思いますが、国家レベルでの大きな枠組みで見たときにはそれほど悪くない対応だったとも思います。もちろん、被害に遭った方、亡くなった方やその遺族には納得出来ないでしょう。

ただ、日本よりも遅れて結局は他国でも同様の対処をしているのであれば、明らかに間違っていたとはいえないのではないでしょうか?

ニュージーランドもクルーズ船からの下船は一律拒否しているそうです。
アメリカもそうみたいですが、ぼろくそに叩かれていた日本政府が最初に取ったクルーズ船対応は本当に失敗だったのでしょうか?

もちろん、アメリカもニュージーランドも、日本の対応を先例としてそのまま流用している可能性もあります。ただ、その場合はどの国も間違っていることになり、結局正解は誰にも分からない難問だったということになります。

一斉休校要請にしても、教育を破壊するとか保護者に対する負担が大きいとか散々に批判されていました。日本は島国だから感染症対策がなっていない、何度も感染症と戦ってきたヨーロッパの国々ではこんな対応はしない、という自称専門家のもっともらしい意見をいくつも目にしましたが、今現在ヨーロッパで起きているのはどうなるのでしょうか?

多くの国が休校のみならずあらゆる集会を禁じたり、飲食店の営業を停止したり、長距離移動や外出そのものを禁じたりしています。感染が広がってから強硬措置を取っているわけですが、本当に感染症との戦いの歴史がある国であれば、感染が広がる前に対応が取れたのではないでしょうか?

中国が欧米を批判していることに批判が集まっていますが、一部は言っていることは分かります。中国で感染が広がっていることが1月下旬には分かっていたのに、欧米各国が具体的に対応し始めたのは3月に入ってからでした。もちろん、そもそもの中国政府の対応が遅れたこととWHOが甘く見ていたことが根本の原因ではありますが、欧米諸国も大したことはないと高をくくって対応が遅れたことは間違いありません。

結局何が正解だったのでしょうか? どうすれば良かったのでしょうか?

第一、21世紀になってからSARSやMERSの脅威があったにもかかわらず、未だに未知の感染症が発生したときにどのように対処するかの国家レベルのマニュアルが無いのも不思議です。

マニュアルを作るとすればWHOでしょう。

感染症が広がり始めたときにはその国との出入国制限、ビザ発給停止や移動してきた人の隔離措置などを一般的なマニュアルがあり、WHO加盟国はそれを基に行動するルールとしておけば、外交的な問題にもならないはずです。

21世紀に入ってから、コロナウイルスによるSARS、MERSそして今回の新型コロナウイルスの流行がありました。感染症に関する研究が進んで発見されたインフルエンザが20世紀の感染症とするなら、コロナウイルスは21世紀の感染症となるかも知れず、今回の流行がひとまず収束しても、またいずれ何かのウイルスが流行することは間違いありません。その時に人類は賢明な対応を取れるでしょうか?

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