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雑記「焦燥と涙」

いつもは私の心をずんと重くする不安や悲しみが、今日はやけに煩く、急かすように怒鳴ってくる。
不快感に無理やり蓋をして、
私は私でそれを見ないふりしている。
なにかに掻き立てられるように勢いだけで生きているというような日が、ときどき、不定期的にやってくる。
苦しくて、怖い。


最後に泣いたのはいつだっただろうか。
中学の頃、風呂場で毎日泣いていた。
誰にも見られぬように、知られぬように、
いっぱいいっぱいの感情を胸につかえさせながら
声を殺して泣いていた。
その間ずっと脳みその隅っこで、
すらすらと言葉にして声を出さずに喋り続けている。
誰に届くわけもないのに、
まるで誰かに訴えるように。
あの頃よりずっと悩みも増えたし、
嫌な記憶が蘇って苦しくなったり、
理由もない寂しさや不安に蝕まれる時間も増えた。
なのに涙はでない。
心が強くなった、と思えば前向きだが、
そんなものよりずっと複雑で
グロテスクな変化だという気づきを
無視することはできない。

映画館で私が泣くのは、その場の雰囲気だとかに感化されて、何となく涙が流れているだけだと思う。
私の涙はそんな安いものではない。
隣の席のまったく見ず知らずの人につられたりだとか、感情的な音楽だとかで、
反射的に涙が出るなんてことはありたくない。
簡単で一般的なもので私を泣かせないで、
といつも思っている。



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