mita

パッケージメーカー勤務/1児の母/おチビ👶♡2歳半。 ⁡2022 文芸春秋SDGsエッ…

mita

パッケージメーカー勤務/1児の母/おチビ👶♡2歳半。 ⁡2022 文芸春秋SDGsエッセイ大賞 優秀賞受賞🙌

最近の記事

ある日、父が金髪に

中学1年くらいの時だったと思う。学校から帰ると父の頭が思いっきり金髪になっていた。生まれつきクルクルの天パに悩む父が初めて髪色を変えた日。白髪が増えてきたからという理由だった。斬新過ぎてその時は笑ってしまった。 父は農家で、盆と正月と雨の日以外、毎日仕事をしている。畑を長く放っておくことはできないので、田舎から出ることはほぼない。 その代わり、昔から、サーフィン、ゴルフ、釣り、仲間とのバーベキューなどなど…田舎に居ながらにして楽しめる趣味はたくさんあったけど、金髪のおじさ

    • 思い出にはいつもパスタ

      『美味しいもの食べてる時はね、口を閉じていないと美味しさが逃げちゃう気がするんだよね。』 親友のIはいつもそう言って、口の両端をキュッ!と閉めてはにんまり顔でご飯を食べていた。 ***** 大学の入学式の次の日、オリエンの会場でグラニフのTシャツにポーターの鞄を下げた小柄なIを初めて見た時、直感的に『この子とは仲良くなれそう』と思った。オリエンの後は身体測定だったので勇気を出して『あの、体重一緒に計りに行きませんか?』と話しかけて、その日から卒業まで、大学の思い出にはい

      • こだわらないカレーが好き

        カレーほど、季節を問わず、割と何入れても美味しく食べれる万能な料理は無いと思う。 うちの実家は農家だったので『カレーにこれ入れる』は、“その時たくさん穫れたものをドーン!”で、手間をかけずに作る。タマネギは飴色になるまで炒めるとか、お肉は絶対牛肉!とか、ルーはこれ!とか、母のカレーにはそういう定番的な“こだわり”は一切なかった。 夏野菜がとれたら、トマトを煮込んでグリルした野菜をのせたり、寒い時期には根菜と擦った生姜を入れても美味しい。お肉もあんまりこだわらず、冷凍庫に残

        • 生き残った特攻隊。

          10年前に亡くなった祖父は、缶詰が大好きだった。押入れを開けると缶詰がたくさんあって、わたしが遊びに行くといつも、好きなの持っていきな。と両手にいっぱい缶詰をくれた。わたしはいつもみかんとかパイナップルとか甘いものばかり貰って帰った。 若い頃からずっと理容師として働いていた祖父は、亡くなる1週間前までお店に立っていた。明るくて穏やかで私のことを『モリモリ(名字に森がつくから)』と呼び、人を笑わせるのが大好きだった。 毎日の楽しみは、夕食後に安いウイスキーをチビチビと飲むこと

        ある日、父が金髪に