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【海外HR事情】HR業務におけるAI活用の現状

人事部はChat GPTに代表されるAI技術をどのように利用しているのであろうか。

ガートナーが米国のCHRO132名を対象に2023年6月に実施した調査によると、AIの業務採用を検討したり、実際に活用してみたことのあるCHROは全体の38%であった。また、今後1~2年の間にAIを採用しない場合、他社比で遅れを取ってしまうと考えているCHROは76%いた。

AIを実務に使う際の正確性や冗長性、プライバシーに懸念を持つHRリーダーも多い(77%)ものの、HR業務でのAIの利活用のあり方を見定めることは企業にとって急務であるとの認識が広がっていることが見て取れる。

今後1年以内で、生成AIをどのようなことに活用したいですか、という問いに対しては、HR業務の効率化(53%)、リクルーティング(職務内容記述、スキルデータ)(52%)。社員向けチャットボット(51%)が上位3回答だった(次グラフ)。

では実際に活用されているHR向けのAIツールにはどのようなものがあるのだろうか。米国のコンサルティング会社Flex.OSが、『The World's 40 Most Popular HR Tools』という調査結果を発表している。結果は次のとおりだ。

ランキングは、サイトトラフィック(SimliarWebを活用した推定値)とブランド検索件数(会社名、サービス名、製品名が含まれているオーガニック検索)に基づいて算出されている。トップ40に入ったHR AIプラットフォームには、合計で月間で1600万人がアクセスしており、ブランド検索回数は月間40万件、企業価値は合計で122億ドルに達しているという。(とはいえHR Tech全体の中で占める割合はまだ低い。例えばWorkdayの評価額は700億ドル、Ripplingは110億ドルである)

上位ツールの顔ぶれを見ると、リクルーティング関係が多いが、これは応募者もアクセスするから、という特殊要因が大きい。

上位ツールの概略は次のとおりだ。

Eightfold AI


仕事とヒトのマッチングをAIで行うリクルーティングツール。さらに、様々なキャリアとスキルの関連性についてのデータをベースに、キャリアプランの作成、パーソナライズされた学習計画、DEIの推進など、タレントマネジメント全般にも活用できる。PayPal、American Express、Modernaなどが採用。

HireVue


動画とテキストによる面接およびスクリーニングのためのツール。職歴ではなくスキルで人と仕事のマッチングを行う機能もリリース。


Paradox


AIがテキストで面接を実施。動画ソリューションもローンチ。FedEx、McDonald's、Amazonなどが採用。


Axonify

「フロントライン向けLMS」として、小売、ホスピタリティ業界のフロントラインスタッフなど、ゆっくり研修を受ける時間のない人に向けた継続学習を支援し、カスタマーエクスペリエンスの向上を目指す。Walmartなどが採用。


Beamery


独自の「タレントGPT」を通じて、スキルベースのマッチング、社内異動、メンターとのマッチング、職務記述書の作成、ワークフォース計画など、「タレント・ライフサイクル・マネジメント」全般を合理化。

次回の記事では、AIを活用したHR業務の最新事例や動向を紹介する。

(出所)
[Report] The World's 40 Most Popular HR AI Tools, Flex OS, Mar 8, 2024

How to Evaluate Use Cases for Generative AI in HR, Gartner, Nov/Dec 2023 (Downloaded PDF)


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