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KIRINが考える採用戦略のあるべき姿 ~全社採用を実現するための、0→1での採用体制立ち上げ~|ハーモスラボイベントレポート

こんにちは!ハーモスラボ運営チームです😄
今回のイベントでは、キリンホールディングス株式会社の土屋さんにトークセッションという形式で事例をシェアしていただきました。

キリンホールディングスは、2019年に従来の採用体制を見直し、経営戦略と採用戦略を連動させるべく、全社を巻き込んだ戦略的なキャリア採用体制を0→1で立ち上げました。

なぜ採用体制の見直しが必要だったのか、どのようにして新しい体制を築いたのかについて、人事総務部 人事担当 採用チームリーダー 土屋洋平氏がイベントで語った内容をお届けします。

トークセッション 「KIRINが考える採用戦略のあるべき姿」

▼Speaker
キリンホールディングス株式会社人事総務部人事担当採用チームリーダー 土屋洋平

▼Moderator
株式会社JMDC 人事 山東あみ (twitter)

新たな経営戦略を実現するために、採用体制を大きく変革

土屋:私は、現在キリンホールディングスの採用チームリーダーとして、新卒採用、キャリア採用、キャリアリターン、副業受け入れといった戦略実現に必要な人材供給ライン全ての取りまとめをしています。そのなかでも今回は、キャリア採用の変革についてお話ししたいと思います。

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キリンでは、2019年から「新・採用戦略」を策定し、これまでの新卒一括採用主体の体制から、「多様な採用ルートから多様な人材の獲得」を目指す新体制を敷き、活動の1つとして“攻め”のキャリア採用への変革をスタートさせました。きっかけは、同年に制定された長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」です。

KV2027は、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指す戦略。既存事業である「食領域(酒類・飲料など)」と「医領域(医薬)」をつなぐ領域として、新たにヘルスサイエンス事業を立ち上げ、次世代の成長の柱とすべく挑戦しています。

一方で、このような事業ポートフォリオ変革に伴い、人材や組織に求められる能力が変わってきました。必要な組織能力を高め、2027年までにビジョンを実現するためには、従来の新卒一括採用のみでは、”時間軸”が合わずタイムラグが発生しかねない。また、内部の人材育成だけではリードタイムがかかってしまう。

そこで、内部の人材育成と採用改革が大きなテーマとなり、新卒一括採用中心の単一採用ルートから、事業に必要な人材を多様なルートから採用するための「キャリア採用変革」に大きく舵を切ったのです。

同時に、これまでの経営や現場から巻き込まれる形でスタートしていた採用活動体制から、経営と現場を主体的に巻き込んだ形での全社採用体制を構築するために、“攻め”の採用にシフトしました。

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経営と現場、双方を理解するための「対話」が変革のトリガー

土屋:“攻め”のキャリア採用を実現するために、まず取り組んだのは「採用と経営戦略の連動性を高める」ことです。

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各部門との”対話”によって、採用背景や組織課題を理解したうえで、人材要件の解像度を上げるプロセスを組み込みました。そのうえで、多様な採用ルートからの候補者を一元管理するオペレーションを設計しました。

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変革にあたって注力したのは「採用計画マネジメント」です。
採用を実行する部門それぞれと、キャリア採用計画MTGを実行し、「いつ・どのような成果を出したいのか」「そのために必要な組織能力および要員計画に対して、現時点の組織はどの程度ギャップがあるのか」などを明確にするための対話を徹底して行いました。
求める人材の解像度を高めたうえで、部門の採用実行計画と人材ターゲットを固め、経営の環境変化を捉えるために経営企画とも適宜共有しながら、採用活動を進めていきました。

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事業ポートフォリオが変化すると、採用担当はこれまで以上に事業環境や戦略、必要な組織能力と人材の理解が求められます。だから、経営と現場の両方と対話し、“知る”ことが重要。理解を深めるための対話を怠らないことが、採用変革には欠かせませんでした。

現場と一緒に「なぜその人材が必要なのか」を突き詰める


山東:各部門との対話はできても、実際の採用活動に巻き込むのは難しいと思うのですが、キャリア採用計画MTGの実施に向けて工夫されたことはありますか?

土屋:各部門が採用に対する当事者意識を持てるよう、キャリア採用計画MTGの前に、キャリア採用実行部門向け「キャリア採用方針説明会」を実施しました。

そこでまず伝えたのは人事側の熱意と覚悟、そして、部門が本気でキャリア採用に臨まねば、部門の事業戦略が実現できない、つまり、業績は出せないという強いメッセージです。

山東:なるほど、事業戦略は部門が本気で採用に取り組まないと実現できないという危機感を醸成したのですね。

土屋:そうですね。加えて、キャリア採用計画MTG前に「採用計画シート」を記載してもらうという宿題も出しました。すると、熱量のある部門とそうではない部門のバラつきはすぐに見えてきます。前者はスピード感と熱量を持って対応できますが、後者は意識改革のために何が必要かを考えながら、浸透させていきました。

山東:実際、キャリア採用計画MTGではどのような話をされるのでしょうか。

土屋 採用背景や理由、採用ポジションにおける求める人材要件を明確にしてたうえで、採用実行計画や役割分担を決めていくのですが、特に重要なのが「なぜ、その人材が必要なのか」を突き詰めることです。必要な組織能力を高めるうえでどのような人材GAPを抱えているのか、部門の要員計画や人員計画と連動させながら、求める人材の「Why」を突き詰めていき、共通認識を持つことがとても大切でした。

山東:スキルの話よりも組織の課題から話し合うのですね。

土屋:そうです。部門が考える採用理由やポジション、求める人材要件などを、人事や経営の観点から質問して深掘りし、目線を合わせていきました。
ただ、人材要件やターゲットを定めても、市場に存在しなければ活動は前に進まないので、「求める人材がどの程度市場に存在するか」を確認するために、ビズリーチの画面を一緒に見ながら対話を進めていきましたね。

山東:各部門で採用にコミットする担当者はどのように決めましたか?

土屋:キャリア採用に本気で取り組もうとしている部署は、最初から担当者をアサインしてくれました。一方、担当者がいない部署は、人事が入り込んでキーマンになりそうな人を巻き込んでいますよ。

経営と人事、現場の危機感と課題が、全社採用の入り口に

山東:現場を巻き込んだ採用活動への変革は、最初から人事主導でやられたのでしょうか。それともトップダウンで始まったのでしょうか?

土屋:経営、現場、人事の3者それぞれが危機感を持っていたんです。経営がKV2027を策定し、既存事業以外にも新しい柱を作ると決めたのは、未来に向けて危機感があったから。その戦略を実現するために、現場は新しい能力と組織変容が必要となり、人事も組織能力を高めるためには“待ち”の姿勢ではいけなくなったのです。

この状況を打破する要因となったのは、人事が経営企画との連携を強めたこと。経営戦略を起点とした採用活動が必要だという共通認識が持てたことで、人事と経営企画、現場の3者で採用活動を進められるようになりました。

山東:それぞれの課題や危機感が、全社を巻き込む採用活動へとつながったのですね。

土屋:そうですね。これまでとは異なる事業領域に挑戦し、事業ポートフォリオを変革していくとなれば、従来の採用・育成の方法では必要な組織能力獲得のための時間軸が合わず、戦略実行のスピードにブレーキをかけてしまうかもしれない。

だから、覚悟を持って採用体制を一気に変え、外部から必要な経験やスキルを持つ人材を採用し、社内の意識や行動変容につなげてきたのです。結果、最近では候補者とのタッチポイントを部門が主体的に作るようになりました。

現場が主体的にタレントリストを見てスカウトを送り、面談や面接を人事と一緒に対応していく。一緒に働く仲間を探すのは本来ワクワクすることなので、採用に現場を巻き込めたのは良い波紋になっているのだと思います。

一連の採用改革を通じて実感したのは、「恐れずに対話する」ことがいかに重要かということです。対話をすれば組織の本質的な課題がわかるので、そこに足りないピースを埋めていけば、もっとワクワクする事業につながっていくはず。時間はかかりますが、“知る”ことを疎かにしないのが、変革のトリガーになると思っています。

おわりに

今回土屋さんがおっしゃっていた、「一緒に働く仲間を探すのは本来ワクワクすること」という言葉、とても印象的で、とても重要なことだと思いました。

「現場を巻き込むこと」に対して課題やハードルなどネガティブな側面を考えることが多かったのですが、たしかに本来はワクワクすることですよね。基本に立ち返れたように感じます。

「ワクワクすることを一緒にやろう!」というメッセージや姿勢を現場に伝えていくことも非常に重要ですよね。ハーモスラボもそういったメッセージングのお手伝いができたら良いなと思いました🤔(コラボできそうなアイデアありましたらぜひ教えてください!✍️)

引き続きハーモスラボをよろしくお願いいたします🙌

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