日本最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」運営【株式会社クリーマ】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日:2024/4/5
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
⇒累計資金調達額は約24億円
最初の資金調達から5年で上場している
企業概要
事業概要
クリエイターのエンパワーメントを目的とする各種事業の展開している。
・ハンドメイドマーケットプレイス事業(Creemaの企画・開発・運営)
・クラフトイベント事業(ハンドメイドインジャパンフェス等の企画・制作・運営)
・クラウドファンディング事業(Creema SPRINGS)
・セレクトショップ事業(Creema Store)
・アライアンス事業(地方創生 / PR支援サービス)などが主たる事業
ビジネスモデルの図解
事業における強み
1. 本格的なクリエイターコミュニティの形成
本業として作家活動を行うクリエイターや、これから本格的に作家としての活動を志望しているクリエイター等、プロ志向のクリエイターによるコミュニティが形成されている。
品質の高いプロ志向のクリエイターの作品が多く集まるため、運営するマーケットプレイスでは高品質な作品を求める生活者(ユーザー)の安定的な集客が可能となっており、これが感度の高い良質なコミュニティの構築に繋がり、サービスにおける明確な独自性・競争優位性となっている。
市場規模
該当市場として、ハンドメイドマーケット市場を選定した。
【市場規模の推定】
国内クラフト市場:約8,906億円(2014年)
ハンドメイトサイト市場(流通総額)35億円(2014年)
⇒78億円(2015年推計)に拡大。
※『ホビー白書2015年版』参照。
【市場全体のトレンド】
ネットを介した個人間の取引が盛んになり、ネット市場への抵抗感がなくなってきている中で、市販品にはない魅力が消費者を引き付けているのだろう。
【ベンチマークとなる企業】
GMOペパボ
iichi株式会社
マネタイズに関して
【キャッシュポイントの額と頻度】
クリーマのサービス別売り上げ構成比は、新型コロナウイルス感染症の影響により、マーケットプレイス事業が74%、プラットフォーム事業が21%、イベント・ストア事業が4%、新サービス群が1%となっている。
・マーケットプレイス事業:成約手数料の10%
・プラットフォーム事業:外部広告、内部広告(額と頻度は不明)
・イベント・ストア事業:イベント(チケット料金、出展料、追加オプション)、ストア(商品売上)
【固定費】
人件費、システム関連費用、プロモーション費用
【変動費】
不明
経営層
代表取締役社長:丸林 耕太郎
取締役:大橋 優輝
イベント・ストア・ビジネスアライアンスディビジョン ゼネラルマネジャー
取締役:唐木 信太朗
常勤監査役:谷口 明彦
スキルマトリクス
⇒創業者である丸林耕太郎氏と創業期に入社されている大橋優輝氏の2名が社内の役員である。また丸林氏と同時期に(株)セプテーニ、(株)セプテーニクロスゲートに在籍していた唐木信太朗氏が社外取締役を務めており、同社が規模の拡大を目指す限り、独立性の観点で市場では懸念材料とされる可能性がある。
ミッション・ビジョン
企業理念
「まるくて大きな時代をつくろう」
ミッション
愛ある事業で、人を、世の中を、元気にすること
ビジョン
21世紀をリードする新しい一大コングロマリット
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:有
・媒体 :自社HP
・採用職種:エンジニア、経営企画、経理・財務、クリエイターコンサルタント、プロダクトマネージャー、マーケティングディレクター、広報PRディレクター、アシスタントディレクター、イベントディレクター、店舗スタッフ、カスタマーサポート
【等級・配置】
記載なし
【評価制度】
記載なし
【報酬】
・報酬水準:約433万円
決算説明資料より、FY22、1Qの連結販管費内の人件費÷従業員数(従業員とは、役員を除く正社員・契約社員・アルバイトの合計)で出した概算、福利厚生費などはおそらく含まれていない
【教育】
・セミナー/勉強会/書籍購入費会社負担
【その他、福利厚生など】
・社会保険完備
・交通費全額支給
・ストックオプション制度
・3 駅ルール住宅手当
・Windows/Mac 選択可
・定期健康診断、産業医健康相談
・育児休業制度
・服装/髪型/髪色自由
インターン生による考察
同じハンドメイド向けのマーケットプレイス「minne」を運営する、ベンチマークとなる企業として取り上げたGMOペパボの平均年収は609万円であった。GMOペパボと同社と比較すると、福利厚生などはそれほど考慮されておらず、人数や人件費も概算であるとはいえ年収が大きく差がついてしまっている状況である。
決算説明資料にも採用に関する記載はなく、従業員数は1年間横ばいとなっており、同社が今後規模拡大を目指したときに、給与の観点で意図しない人材の流動性が高まる可能性が考えられる。
また市場を見ると、ハンドメイドの市場そのものが大きくなっている現在は業界と共に成長しているが、市場規模の限界が見えてきたときにどのように類似サービスと差別化していくかがカギになると考える。
現在の段階で売上構成比率が1%だった新サービスがマーケットプレイス事業に並ぶことができるように、事業開発経験者などを多く採用し、果敢にリスクテイクすることが今後も安定して成長するために必要になるのではないだろう。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査担当:SHO
さいごに
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【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。