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ゆとり世代が育む、新世代のリーダーたち

ゆとり世代はビジネス界でさまざまな評価を受け、時にはマイナスな印象を抱かれてきました。しかし、この世代もやがては部下を持つ立場になり、「○○世代」と呼ばれる若手をマネジメントする日が来ます。
 
本記事では
・ゆとり世代はどのような特徴を持っているのか
・10年後に彼らがどのように次世代の新入社員を育て、マネジメントするか
について、予想も交えながら記載をしています。


ゆとり世代とは

2000年代初頭、日本では教育改革が実施されました。この時期に育った世代は「ゆとり世代」と呼ばれています。定義には諸説がありますが、一般的には1987年から2004年にかけて生まれた現在20歳から37歳の人々を指すことが多いです。
この教育改革の目的は、学習内容の圧縮と生徒の精神的余裕(ゆとり)を確保することにありました。

ゆとり世代の特徴

ゆとり世代は前述の教育改革によって、自由な思考を持ち、ワークライフバランスを大切にする傾向が強いとされています。
その他の傾向として、育ってきた生活環境を反映した結果、この世代は「地位や金銭への執着が少なく、安定した生活を求めがち」(※1)という意見があります。ゆとり世代が育ってきた時代を振り変えると、1990年初頭にバブル経済が崩壊し、1997年には金融危機、2000年には就職氷河期となりました。また、2011年の東日本大震災や直近のコロナ禍といった自然災害もあります。このような未来への期待を抱きにくいムードの中で育ったため、ゆとり世代は上昇志向を持ちにくく、安定志向の人が多い傾向にあるとされています。
また、学生時代からスマートフォンを中心に様々なデバイスに触れてきたため、デジタル技術に精通しており、新しいテクノロジーを取り入れることに対して抵抗が少ないという傾向があります。
なお、このような特徴によってテレワークやオンライン面談などに親しみやすく、変化を柔軟に受け入れているという特徴もあります。

ゆとり世代が10年後にマネジメントをする社員の特徴

そんな彼らも、将来的にはマネジメントをする立場になります。厚生労働省の調査(※2)によると、課長を任命されている会社員の平均年齢は48.8歳となっています。この調査は平均的な数値を示していますが、今後約10年で管理職に昇進するゆとり世代が増えていくことが予想されます。
ゆとり世代がマネジメントを担うようになった際に入社する新入社員(現在12歳前後)は、教育の観点から推測すると、ゆとり世代と比較してより高度なデジタル環境下で成長し、グローバルな価値観を持った人材であると予想されます。
背景としては2020年に小学生へのプログラミング教育が必修化されたことが挙げられます。彼らはAIやロボティクス、ビッグデータといったテクノロジーを生活の一部として受け入れ、これらを駆使して問題を解決する能力に長けていると予想されます。
また、2020年から小学3年生以上に英語の授業が必修化されました。これにより、早期に海外の文化に触れて、多様な価値観を持つ人が増えていくでしょう。
上記のような理由から、10年後に入社する新入社員は情報化とグローバル化の進展により、多様性を尊重する価値観を持って社会に出てくるでしょう。ゆとり世代はこれらの特徴を生かしたマネジメントをする必要があります。

ゆとり世代が挑戦するマネジメント

10年後、ゆとり世代がマネジメントをする新入社員は、高度なデジタル環境とグローバルな価値観を背景に育った人たちです。ゆとり世代には新入社員の特性を理解し、彼らの能力を最大限に引き出す役割が期待されます。
ゆとり世代が10年後にマネジメントをする際のキーは「柔軟性」と「理解」にあります。
現在は人工知能(AI)や仮想現実(VR)を活用した様々な取り組みが進んでいますが、10年前はそのようなテクノロジーが今ほど普及するとは多くの人が予想をしていませんでした。今後10年間で、現在では全く想像できないようなテクノロジーが登場している可能性があります。将来、入社してくる新入社員はそのようなテクノロジーに対する抵抗が少なく、むしろ積極的に活用していくことが考えられます。ゆとり世代は彼らの能力を十分に発揮するために、新しいテクノロジーを理解し、最適な環境整備を実施することが必要でしょう。
また、ゆとり世代はワークライフバランスの重要性を理解しているため、新入社員に対しても、仕事と私生活の調和を重視する文化を築き上げることが予想されます。今までの固定概念に囚われることなく、新入社員がのびのびと働ける労働環境を柔軟に整備することで、新入社員が自らの能力を存分に発揮し、結果として組織全体のイノベーションと生産性の向上に寄与するでしょう。

この記事のまとめ

現在、管理職の中には「今どきの若い人は何を考えているかよくわからない」と悩んでいる人も多いですが、将来的にゆとり世代も同様の立場になる可能性があります。その際には、これまでの管理職が行ってきたように自身と異なる価値観を柔軟に受け入れる必要があります。このような状況を見据えて、ゆとり世代はマネジメント理論やリーダーシップについて積極的に学ぶ必要があります。同時に、現在の経営層、管理職層はゆとり世代がそうした学びを得る機会を積極的に提供することが有効です。

参考資料

※1 平賀充記「イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ」、PHPビジネス新書、2022年3月29日、25ページ
※2 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概要」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/dl/13.pdf)

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