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医師が薬ではなくアプリを処方する?!ITを活用しアプリの医療機器化を目指す【SUSMED株式会社】

最終更新日:2024/4/16

当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。


資金調達額の推移

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2021年11月19日に東京証券取引所マザーズ市場への上場が承認され、2021年12月24日に上場を果たしている。

企業概要

サスメドは、「Sustainable Medicine」の略である。
「持続可能な医療」の実現を理念に掲げている。

設立日:2015年2月23日
住所 :東京都中央区日本橋本町三丁目7番2号MFPR日本橋本町ビル 10階
資本金:1億円(2021年6月)

事業概要

薬を使わずプログラムによって睡眠障害を治療することを目指し、不眠症治療用アプリの研究開発を行っている。
そのほか、データから自動的に機械学習の予測モデルを構築することで医療データ・健診データ・レセプトデータへの適用が可能なAI自動分析システムや、ブロックチェーン・機械学習でモニタリングを高度化し医薬品・医療機器開発を効率化することが可能な臨床開発支援システムを提供している。

ビジネスモデル図解

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例えば、睡眠障害を抱える患者は、日中から「今日も眠れないのでは」という不安を抱えていることなど、患者自身の「認知」や日常の行動が睡眠障害の一因となっている。
治療アプリを活用することで、患者が毎日の就寝時間や起床時間、日中の不安事項や一日の過ごし方などを記録できる。その記録をアプリが分析し、患者一人ひとりに合わせた生活の改善策の提案が可能になる。

事業における強み

・ニーズが顕在化しており、確実に売上が見込める
サスメドの治療アプリがターゲットとしているのは、症状に困って医療機関を受診している患者たちである。そのため、ヘルスケアアプリとは違ってニーズが顕在化している。また、ターゲットが定まっているため、確実に売上が見込めると考えられる。

市場規模

【市場規模のトレンド】
サスメドが提供している治療アプリのターゲットの一部である腎臓病患者を対象として、市場を選定した結果、1兆7,000億円以上と見積もった。
・日本国内における腎臓病患者:1,330万人
⇒腎臓病が進行すると、透析が必要となる。
・日本国内における透析に係る医療費:1兆7,000億円、総医療費の4%
(日本国内の透析患者数:34万人以上、透析にかかる医療費:患者一人あたり年間500万円から計算)
⇒ターゲット人数が安定して多いこと、透析の代替物として予防策の必要性が高い状況であることをふまえると、市場の拡大が見込めると考えられる。

【ベンチマークとなる企業】
CureApp

【事業についての考察】
サスメドの治療アプリが対象としている疾患は非常に幅広く、睡眠障害や乳がん、腎臓病からADHDにまで多岐に渡っている。ターゲットとなる患者数が多いことが強みであるだろう。また、患者向けだけでなく、研究機関向けのプラットフォームも展開しており、売上拡大が期待される。

マネタイズに関して

【事業全体の収益性】
BtoB

【キャッシュポイントの額と頻度】
治療アプリ事業では、まだ治療アプリが販売されていないため不明瞭だが、患者の受診時に材料加算として対価を得るものと考えられる。
医療プラットフォーム事業では、サービス適用時に対価を得ると思われる。
料金に関しては、具体的には記載されていなかった。

【固定費】
人件費、研究開発費など

【変動費】
不明

経営層

代表取締役社長 上野 太郎

2006年4月 都立広尾病院研修医
2009年4月 日本学術振興会特別研究員DC1
2012年3月 熊本大学大学院医学系研究科博士課程修了
2013年4月 日本学術振興会特別研究員PD
2014年10月 公益財団法人神経研究所付属晴和病院医師(現任)
2015年7月 サスメド合同会社創業代表社員
2016年2月 サスメド株式会社設立代表取締役社長(現任)
2016年4月 公益財団法人東京都医学総合研究所主席研究員 東邦大学講師
2021年2月 XNef株式会社社外取締役(現任)

取締役 市川 太祐 ※退任済み

2005年4月 九州大学病院研修医
2006年4月 ヘルスケア・コミッティー(現SOMPOヘルスサポート)株式会社入社
2017年1月 当社入社
2017年8月 当社取締役(現任)
2018年3月 東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了

取締役 COO 矢島 祐介

2007年4月 大和証券エスエムビーシー株式会社入社
2013年5月 エムスリー株式会社入社
2017年10月 丸の内キャピタル株式会社入社
2018年7月 株式会社大貴社外取締役就任
2019年9月 株式会社大貴社外取締役退任
2019年10月 当社入社
2020年2月 当社執行役員
2021年5月 当社取締役COO(現任)

取締役 CTO 本橋 智光

2009年4月 新日鉄ソリューションズ株式会社(現:日鉄ソリューションズ株式会社)入社
2016年7月 株式会社リクルートライフスタイル入社
2017年1月 株式会社リクルートコミュニケーションズ出向
2017年11月 当社入社
2019年9月 当社取締役CTO(現任)

取締役 小原 隆幸

2001年4月 株式会社船井総合研究所入社
2006年1月 大和証券エスエムビーシー株式会社入社
2013年7月 ロンドンビジネススクール修了(経営学修士)
2015年3月 株式会社アイスタイル入社
株式会社コスメネクスト出向
2015年7月 株式会社コスメネクスト取締役就任
2018年9月 株式会社Touchcard社外取締役就任
2019年5月 安益株式会社代表取締役就任
2020年7月 当社入社執行役員
2020年12月 株式会社Touchcard社外取締役退任
安益株式会社代表取締役退任
2021年5月 当社取締役(現任)

社外取締役 加賀邦明

1975年4月 三菱化成工業株式会社(現三菱ケミカル株式会社)入社
2006年6月 株式会社三菱ケミカルホールディングス執行役員ヘルスケア戦略室長
2010年6月 田辺三菱製薬株式会社代表取締役常務執行役員国際事業部長(社長補佐・海外総括担当)
2012年4月 同社代表取締役専務執行役員研究本部長兼国際事業部長(社長補佐・海外総括、内部統制・コンプライアンス推進部担当)チーフ・コンプライアンス・オフィサー
2014年4月 株式会社生命科学インスティテュート代表取締役社長
兼田辺三菱製薬株式会社取締役
兼株式会社地球快適化インスティテュート取締役
2015年2月 株式会社地球快適化インスティテュート代表取締役社長
2018年6月 そーせいグループ株式会社取締役(現任)
2019年12月 株式会社アドバイザリー・カンパニー顧問
2021年1月 当社社外取締役(現任)

常勤監査役 秋嶋由子

1979年4月 株式会社鈴乃屋入社
1991年1月 株式会社国土建設入社
1995年3月 エノテカ株式会社入社
2002年6月 同社取締役
2004年6月 同社監査役
2011年6月 同社総務部長兼人事部長兼コンプライアンス室長
2018年7月 同社定年により退職
2019年9月 当社社外監査役(現任)


スキルマトリクス

スキルマトリクス1
スキルマトリクス2

【ガバナンスについての考察】
代表取締役社長をはじめ、大学院等での研究経験を積んだ人材がいることは、専門性の高い事業を牽引していく上でサスメドの強みとなると考えられる。
一方、事業成長スキルを保有する人材は少ない。今後の事業拡大を見据えると、リスクテイク経験やマーケティング・事業開発経験、M&A・投資融資・ファイナンス経験に精通している人材を獲得することが重要となると考えられる。

※スキルマトリクス図とは取締役の素養・経験及び取締役会におけるバランスを一覧表にまとめたものである。各社で開示されているガバナンス内容を元に僭越ながら推測させていただいた。要求水準・選定定義に関しては企業により差が生じるため、ここではCGCで求められている水準・選定定義を基に設定した。

MISSION・VISION・VALUE

MISSION
患者・医療システムへの貢献
VISION
持続可能な医療
VALUE
サイエンスと専門性の融合
現代の医療を取り巻く課題に対して、独⾃の視点と技術⼒を発揮し、これからの社会のスタンダードとなる「持続可能な医療」の実現を目指している。

行動指針
・常に社会的意義を考える
・本質的な成果にこだわる
・プロフェッショナルとして尊重する
・成長を楽しむ
・客観的に考え、主体的に動く

人事制度設計

【基本情報】
・全従業員  21名 ※2021年9月
・役員人数  9人
・平均年齢  36.9歳
・勤務時間  フレックスタイム制:平日5:00〜22:00の間で1日8時間勤務が基本
・休日    土日、祝日、年末年始、年次有給休暇、慶弔休暇、その他

【採用】
・職種別採用 有
・媒体    自社HP、Greenなどの採用媒体
・募集職種  エンジニアリング、臨床開発、ビジネス、データ分析、デザイン、コーポレート
・求める人物像 持続可能な医療の実現に対する熱意、そのほか職種によって差異あり

【等級・配置】
記載なし

【評価】
記載なし

【報酬】
・平均年収 696万円

【教育】
記載なし

【その他】
社会保険完備、交通費全額支給(社内規定に準ずる)、フリードリンク

インターン生による考察

サスメドは設立からわずか6年で上場を果たしており、従業員も21名と比較的少ないことから、専門性が高い人材や持続可能な医療の実現に対する熱意に満ちた人材が集結していると予想される。また、採用要件から、入社時点での高度な専門性や実務経験が求められていることも読み取れる。
一方で、今回調査した限りでは、教育制度やスキル獲得に関する記載は見つけられなかった。入社後も継続して従業員のスキルアップを支援するような環境を整備したり、モチベーションを担保するために等級制度や評価制度を導入したりすることが、サスメドにとって事業拡大の一助となる可能性が考えられる。

※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。

最後に

スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら

弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから

【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。