新卒採用の決定版！上位校学生の約95％が利用し圧倒的支持を誇る就活サイトを運営する【株式会社ワンキャリア】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日：2024/4/16
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
資金調達額は記載されていないため、有価証券報告書の株式移動金額を記載している。
資金調達が行われた背景として、これまでのサービスを通じたデータをより良く活用し、学生と企業の採用をより良くするプラットフォームの開発を目指すためであると言及されている。
（参照：PR TIMESのワンキャリア記事）
企業概要
学生利用率No.1の就活サイトである「ONE CAREER」をはじめ、転職サイト「ONE CAREER PLUS」や人事向けサービス「ONE CAREER CLOUD」を運営する企業である。仕事選びに関するあらゆるデータを集めて見える化し、新しい就活・採用のあり方へ向けて取り組んでいる。
設立年月：2015年８月
住所 ：〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町20-1 渋谷インフォスタワー16階
資本金 ：1000千円
事業概要
■求職者向けサービス ①ONE CAREER：就活サイト 新卒向けに、インターンシップや本選考サービスを発信しているサービス。他にも企業が自社PRを行うONE CAREER LIVEの運営や、選考における学生の口コミを集めるなど、幅広いコンテンツが魅力的である。
②ONE CAREER PLUS：転職サイト
2021年6月にβ版でリリースされた転職サイト。
幅広い口コミでリアルな転職市場が見ることができるほか、選考対策などのコンテンツも設置されている。
■人事向けサービス
ONE CAREER CLOUD：新卒採用に特化したクラウド型サービス 学生の選考状況や自社評価などを一元化できるクラウドサービス。
客観的に自社分析を行うことができる優れたツールとなっている。
ビジネスモデル図解
事業における強み
1．盤石なプラットフォーム
Youtubeの専用アカウントにて、就活を取り上げた「ONE CAREER LIVE」という独自のライブ配信を行っている。認知度も高く、最近では大手テレビ会社とコラボしたライブ配信を行っている。
2．掲載企業数の質・量が共に高い
GAFAから日系大手、ベンチャーまで数多く掲載されている。加えて、各企業ごとに就活体験談が掲載されており、リアリティを持って企業研究を臨むことができる。
3．コネクション
先述した内容に少し被るが、ライブ配信における登壇者も様々で非常に内容の濃いコンテンツを楽しむことができる。実際に人事担当者のみならず、社長や芸能人など、様々である。
市場規模
【市場全体のトレンド】
2021年度の新卒市場は、前年度2020年度と比べて104.7％のやや増加傾向にある。
採用システムという観点では転換期を迎えており、イベント・セミナー市場がコロナによって厳しくなった一方で、ダイレクト・リクルーティングサービス市場の需要が増している。
今後の予測トレンドとしては、学生のオンライン化が定番化したことから、コロナ下同様のオンライン就活が増々普及する他、新卒採用も回復傾向に突入し、市場は一定拡大すると予測できる。
【ベンチマークとなる企業】
・マイナビ
・リクナビ
・エンカレッジ
【事業についての考察】 現状を紐解くと、ONE CAREERは既存の一般的な掲載サイトに囚われず、オウンドメディアからリアリティを追求したライブ配信まで、就活生ファーストの運用を行っている。
加えてターゲティングが高学歴層ということもあり、彼らに見合った具体的なコンテンツ作りや企業とマッチングできる仕組みが充実している。
転職市場に新たに参画したが、新卒で契約している数多くの企業データをもとに効率の良いビジネスモデル構築ができるのではないかと考察する。
マネタイズに関して
【事業内容】
BtoB
就活・転職媒体運営、人事向けクラウドサービス運営。
就活・転職媒体のエンドユーザーは求職者であるが、求職者側からはマネタイズしていない。
【キャッシュポイントの額と頻度】
具体的な記載はなかったが
・自社媒体への掲載料
・自社を通して採用された場合の仲介手数料
・自社を通してインターンシップ等何かしらの採用活動へ参加した人数分の仲介手数料
・クラウドの利用料
という4つのキャッシュポイントが考えられる。
【固定費】
人件費、サイト運営費
【変動費】
大規模ライブ配信やオンライン講演などにかかる諸経費
● 経営層
代表取締役社長 宮下尚之
2010年 Mars Japan Limited に入社
2010年 株式会社トライフを創業
2015年 株式会社ワンキャリアを創業
取締役副社長 長澤有紘
2011年 イトクロに入社
2014年 トライフに参画
2015年 ワンキャリアに参画、取締役COOに就任
取締役 北野唯我
2010年 株式会社博報堂に入社
2013年 同社退職後、米国・台湾留学
2015年 ボストン コンサルティング グループに入社
2016年 ワンキャリアに参画、執行役員に就任
2020年 同社取締役に就任
社外取締役 高木新平
2010年 株式会社博報堂に入社
2015年 NEWPEACE Inc. を創業、代表に就任
2017年 NOWクリエイティブアドバイザー（現任）
2018年 一般社団法人Public Meets Innovation理事（現任）
2019年 シックスカレー設立、代表取締役社長(現任)
2019年 NEWS合同会社共同代表(現任)
2019年 ワンキャリア 社外取締役に就任
常勤監査役 木村 智明
2011年3月有限責任監査法人トーマツ入所
2020年1月木村智明公認会計士・税理士事務所設立、代表(現任)
2020年1月株式会社ワンキャリア監査役(現任)
監査役 美澤 臣一
1984年4月西武建設㈱入社
1989年4月大和証券㈱(現㈱大和証券グループ本社)入社
1997年7月ディー・ブレイン証券㈱設立、代表取締役社長
1999年7月トランス・コスモス㈱入社
2000年6月同社取締役
2005年4月同社専務取締役CFO
2006年5月コ・クリエーションパートナーズ㈱設立代表取締役(現任)
2008年9月㈱マクロミル社外取締役
2009年7月㈱フロンティアインターナショナル社外監査役(現任)
2011年7月㈱ザッパラス社外取締役(現任)
2015年6月Kudan㈱社外取締役
2016年3月JIG-SAW㈱社外取締役監査等委員(現任)
2019年12月株式会社ワンキャリア社外監査役(現任)
2020年6月Kudan㈱社外取締役監査等委員(現任)
監査役 高橋 治
2003年4月日本エス・エイチ・エル㈱入社
2010年11月最高裁判所司法研修所入所
2012年1月弁護士登録
2012年1月㈱小松製作所入社
2015年5月バイドゥ㈱入社
2019年9月シティライツ法律事務所入所(現任)
2020年4月株式会社ワンキャリア社外監査役(現任)
スキルマトリクス
⇒リスクテイク経験に優れた人材が多い。しかし、監査役以外の取締役にリスクマネジメントスキル保有者は見受けられない。監査役による監督機能の実効性にもよるが、結果的に執行と監督がうまく分離されているともいえる。
今後もライブ配信などを用いて既存の就活サイトの枠組みを超えて成長していくワンキャリアにとって、経営陣のリスクテイク経験は頼りになる可能性が高い。
※スキルマトリクス図とは取締役の素養・経験及び取締役会におけるバランスを一覧表にまとめたものである。各社で開示されているガバナンス内容を元に僭越ながら推測させていただいた。要求水準・選定定義に関しては企業により差が生じるため、ここではCGCで求められている水準・選定定義を基に設定した。
ミッション・バリュー
Our Mission
人の数だけ、キャリアをつくる。
コアバリュー
・エンドユーザーファースト
・本質的・長期的思考
・個の強みの模索
・挑戦と応援
・誠実さ
人事制度設計
【基本情報】
・全従業員 約60名 ※2021年2月5日時点
・役員人数 10名
・平均年齢 28.5歳
・勤務時間 フレックス制 コアタイム11-16時
・休日 完全週休2日制（土日祝休み）、特別休暇（年末年始休暇、夏季休暇3日間）、年次有給休暇（入社6か月後から10日～20日付与）、慶弔休暇
【採用】
・新卒採用 有
・中途採用 有
・媒体 自社運営就活サイト、自社HP、Wantedlyなど
・採用職種 ビジネス職、エンジニア職、デザイナー職、番組制作ディレクター職など
【等級・配置】
記載なし
【評価】
半年をワンサイクルとして目標達成、コアバリューの体現という2視点から評価。
今期振り返り後、取締役面談を経て昇給する。
【報酬】
・月給25万円以上（45時間分のみなし残業代含む）
賃金例
営業事務 理論年収300万円～
基本給/月 18万4000円以上＋固定残業代/月 6万6000円以上
・福利厚生：交通費支給（上限2万円）、社会保険完備、育児支援制度、出張手当、副業OK
【教育】
・各種研修（基本的なOAスキル研修～マネジメントなど）
・CD-time（育成・キャリア形成にコミットする1on1）
・書籍購入補助制度
インターン生による考察
ワンキャリアさえあれば他の就活サイトを使用しなくても良いといえるほど情報が豊富であると感じている。これは、圧倒的な使いやすさと企業に対する学生の口コミなどを閲覧できる安心感が学生利用率No.1の要因だと考えられる。
また、既存の就活サイトとは違い多番組同時並行の大規模企業説明会や大量の過去ESを閲覧できる点なども学生人気の高い要因であるといえる。
新卒市場で知名度を得た今、転職サイトや人事向けクラウドの事業にその知名度をどう結び付けて成長していくのかまだまだ目が離せない。
今後はWebメディアの立ち上げと拡大、そして採用領域のデータを活用した提携などを通してHRプラットフォームとして成長していくという目標を掲げているため、事業の変化に合わせて採用や組織面の課題も新たに出てくるだろう。
さいごに
スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら
弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから
【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。