Googleからの出資も!CXプラットフォーム国内最大手【株式会社プレイド】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日:2024/4/5
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
⇒累計資金調達額は約290億円
IPO時企業評価額は約517億円(公募価格1,600円基準)と、今年マザーズ上場するスタートアップで最大規模を誇る。
上場後の株主構成に占める海外比率は約4割と、海外投資家を中心に会社を運営する意思が伺える。
企業概要
事業概要
顧客体験(以下:CX)プラットフォーム「KARTE」の開発や運営を行っている。KARTEは共同創業者・柴山直樹氏がプロダクト開発を担当し、2015年3月にリリースした。これは、ウェブサイトやアプリを利用するユーザー行動をリアルタイムで解析してデータで可視化するプラットフォームである。
その他にも、CX特化型メディア「XD(クロスディー)」の企画・運営や、EC特化型メディア「Shopping Tribe」の企画・運営も行っている。
ビジネスモデルの図解
事業における強み
1. 多分野でユーザーからの高い評価を受ける「KARTE」
・ITreview Grid Award 2021 Spring、10部門で「Leader」を受賞
Web接客部門 / DMP(データマネジメントプラットフォーム)部門 / CDP(カスタマーデータプラットフォーム)部門 / Webチャット部門 / アプリ解析部門 / カゴ落ち対策部門 / レコメンドエンジン部門/ プッシュ通知部門 / アクセス解析・アトリビューション部門 / ABテスト部
・ITreview Best Software in Japan 2020「TOP50」に選出
2. CX(顧客体験)プラットフォーム市場シェア3年連続1位
CXプラットフォーム市場:ベンダー別売上金額シェアで3年連続1位(2018年度〜2020年度予測)
(出典:ITR「ITR Market View;メール/Webマーケティング市場2021」)
市場規模
【市場規模の推定】
・CX関連ソフトウェア市場:4,888億1,800万円(前年比成長率8.0%)
・CRM(Customer Relationship Management)アプリケーション市場
:1,871億7,300万円(前年比成長率6.7%)
プレイドの2020年度売上高は52億円であり、CX関連ソフトウェア市場における市場占有率は1%、国内CRMアプリケーション市場における市場占有率は2.8%と市場拡大余地が大きい。
【市場全体のトレンド】
2020年の国内CX関連ソフトウェアおよび、国内CRMアプリケーション市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による顧客のNext Normal化の進行により、非接触ソリューションの必要性およびユーザー企業におけるCX向上への取組機運によって、共に高い成長率で推移した。
2021年以降も2020年で顧客に浸透したデジタルとリアルを最適に組み合わせたハイブリッドな顧客行動や、CXを競争力強化のための重要な項目と位置付けるユーザー企業の増加は継続し、堅調に推移していくと予測されている。
【ベンチマークとなる企業】
SO Technologies株式会社
株式会社ギブリー
マネタイズに関して
【キャッシュポイントの額と頻度】
・ARRが51.69億円である(2021/3月末時点)。サブスクリプション売上高比率が95%であり、「KARTE」の月額料金が収益の大半を占めている。
・主要サービスの契約期間は原則単年(12ヶ月)契約であり、料金体系としては、毎月一定のプロダクト利用料を得る月額課金型(サブスクリプションモデル)を採用している。
・契約件数が752件(2021/3月末時点)であるため、契約単価平均は57万2800円/月となる。
【固定費】
人件費、広告費
【変動費】
不明
経営層
代表取締役CEO:倉橋 健太
取締役CPO:柴山 直樹
取締役:高柳 慶太郎
社外取締役:平野 正雄
常勤監査役:後藤 圭史
スキルマトリクス
ミッション
ミッション
データによって人の価値を最大化する
プレイドはデータの民主化を進めることで、価値の創出とその流通にイノベーションを起こします。
あらゆる人にとってデータを価値に変え、インターネットにおけるインフラを構築します。
ビジネスミッション
個客中心のサービス体験をあたりまえに
技術ミッション
世界中のあらゆるサイトのユーザーをデータベース化する
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:有
・媒体 :自社HP
・採用職種:エンジニア、デザイナー、ビジネス、アクセラレーター
・求める人物像:
・複数のクライアントとのリレーション構築・維持をすることができる
・表層ではなく本質的な課題を発見し、クライアントや社内を巻き込みながら解決へ導くことができる
・未経験領域でも自ら学習し、キャッチアップできる
・自分の領域に縛られず、柔軟に対応できる
・ラフでもスピードを重視して動ける
・過去の経験にとらわれず、積極的にunlearningできる
【等級・配置】
記載なし
【評価制度】
記載なし
【報酬】
記載なし
【教育】
記載なし
【その他、福利厚生など】
・交通費全額支給(月2.5万円を上限とする)
・各種社会保険完備
インターン生による考察
事業に関して
CXという点に着目して分析をおこなうプラットフォームとしては最大級であり、先行者としてマーケットをけん引している。他のSaaSと同様に技術的な差別化が難しいと思われるが、顧客基盤を基に、ブラッシュアップをしていくことで他の同様のサービスとの差別化を測ることができると考える。
ガバナンスに関して
常勤監査役の後藤圭史氏が従業員として2015月1日から2019年12月まで約5年間在籍していたことや、社外監査役の山並憲司は2009年9月から2012年10月まで楽天株式会社に在籍していたことは、代表取締役の倉橋健太氏が楽天株式会社に在籍していた時期と一部重なる。この事実から、取締役の独立性の観点より疑問の声が出る可能性が考えられる。
「同社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方には、経営の透明性、効率性、健全性を確保・強化させていく必要があると認識している」と記載されているため、この点に関しての積極的な情報開示を求める。
人事制度に関して
効率的なサーバー利用やアップセルによって売上総利益率が上昇しているが、コロナ禍で世界経済が先行き不透明となったことが影響し、前年に比べて新規者数が減少、解約者数が増加している。このことを懸念して新規採用を抑制していたため従業員数がほとんど変わっておらず、今後は採用強化をするとの記載があるも、仮に解約率が今後上昇してしまうようであれば、組織規模拡大が遅れる可能性がある。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査担当:SHO
さいごに
スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら
弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから
【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。