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キャリア形成ってなんだよ

こんにちは。人材マネジメント研究所です。

本当は、「キャリア形成への支援を通して日本の労働生産性を向上させる」といったnoteにしようと思いましたが、そもそもキャリアって何かについて話しておきたいことがあるなと思って、先にそういった話をします。

「キャリア形成」といった言葉を、何気なく修士論文で使っていた。
日本型雇用慣行(メンバーシップ型)における無限定正社員で年齢が上がるにつれて職責・賃金が上がっていくことを是としていた。

そこから離れた既婚女性は、社会が離れないように支援していかなければならないと。

でも、もうそんなの遅くない?

男性だって正社員で働き続ける選択肢がmustなわけじゃないし、そもそもその「キャリア」はいつから是になったのだ。

女性だって正社員で働き続けることをしたくなくてしていないわけじゃない(不本意非正規なパターンだってある)し、それがキャリア形成に結びつかないと誰が決めたのだろうか。

なにが問題なのかを考えると、キャリア形成うんぬんができないということではなく、「望む働き方で望む職務で社会で活躍できない。さまざまな社会的要因で。」ということではないのか。

キャリア形成とはそれすなわち正社員で働き続け高い名声・地位・賃金を得ることになってしまっているような気がする。

「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書(厚生労働省, 2002)をみると、以下のように議論されている。

「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。

 「職業能力」との関連で考えると、「職業能力」は「キャリア」を積んだ結果として蓄積されたものであるのに対し、「キャリア」は職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念であるとも言える。

 「キャリア形成」とは、このような「キャリア」の概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくこと、すなわち、「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していくこと」と捉えることが適当と考えられる。

 また、こうした「キャリア形成」のプロセスを、個人の側から観ると、動機、価値観、能力を自ら問いながら、職業を通して自己実現を図っていくプロセスとして考えられる。

そうやって、あーだこーだ話した後に、正社員雇用においてどうのこうのとキャリアについて話しているのだ。

いいんだけどさ、労働市場から逸脱したらキャリア形成はできないのか?
自分に任せられた責務を果たしているだけなのに、なぜキャリアブレイクといわれるのか?

労働市場内にいないとキャリア足りえないというこの一面性を非常に問題視している。

さまざまなキャリアがあっていいはずだ。
正社員で週5働くことだけが、キャリア形成に資するものではないはずだ。

なんだけど、あまりにも選択肢が少なすぎる。フルタイム正社員をずっと続けていないと、「キャリア形成」していないと、労働市場では評価されていない。

その人には得意な職務があるはずで、何かしらはできるはずなのだけれど。
というか、就業意欲がある人材を取らないほどこの日本の人口減少の問題は優しいわけではない。

キャリア形成、特にキャリアということばそのものに、多様な意味が包含される社会、スキル・学習意欲があればキャリア形成(=正社員長期就業)が必須ではなくなる社会が来ることを、心から願っています。


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