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【二次創作】初心者向け、ストーリーの作り方

文章の書き方、表現方法について書いているこちらのコラムですが、今回は趣向をかえて「ストーリーづくり」について考えていこうと思います。
二次創作をしたいけど一歩が踏み出せていない!という方の中には、「ストーリーが思いつかない……」「うまく物語あつくれない……」という方もいらっしゃると思います。そんな方の参考になればと思い、「初心者向け」の「ストーリーの作り方」について書いていきます。

【1】長編は「短編」の積み上げ

漫画でも小説でも「1話」「2話」、あるいは「一章」「二章」という区切りがありますよね。このような「区切り」は「一つの物語が始まり、終わったこと」を表しています。長編という大きな物語の中に「章」という小さな物語があるイメージですね。
このように、小さな物語、即ち短編を積み上げ、繰り返していくことで長編はつくられています。二次創作であれば、2000文字~6000文字くらいを「1話」あるいは「一章」として、それを積み上げていけば良いでしょう。
気をつけることは、だらだらと場面を展開させるのではなく、「章」ごとに何らかの「はじまり」と「終わり」を描くこと。何かが始まり、そして一定の結論がでることを意識して書くようにするとすっきりと仕上げることができます。

【2】「結末」を決めておく

最初に「世界観」があり、それをどんどん拡大させ、「〇〇だったらどうなるだろう?」「きっと××だからこうしよう!」と仮説と実行を重ねていくという小説の書き方もあります。ただし、これは上級者向けの書き方です。初心者におすすめなのは、そして「推しのこんなところが見たい!」を実現する二次創作にぴったりなのは、「結末」をあらかじめ決めておいて書く方法です。
カップリング小説であれば、「二人が結婚する」「一緒に暮らすことになる」とか「告白する」「お互いの気持ちを確かめ合って付き合うことになる」とか、そういうことですね。「セックスをする」がゴールになる場合ももちろんありです。
はじめに「結末」、即ち「物語の目的」を決めておいて、そこに至るまでのストーリーを考えていくようにすると創作しやすいです。

【3】原作の時間軸にあてはめる

「物語の目的」を達成するにあたって、原作のどの時期が一番実現しやすいかを考えます。原作の時間軸に二次創作が重なっていると、読み手側もストーリーがイメージしやすく、共感を得られる可能性がぐっと高まります。
カップリング小説の場合、おそらく書き手側にも「ここ!」というお気に入りのタイミングがあるのではないでしょうか。もしも思いつかない場合は、原作において「小さな物語(章)が始まる前」か「一巡したタイミング」がおすすめです。たとえば、以下のような感じです。

・スポーツもの:大事な試合の前や後
・バトル・戦争もの:戦いがはじまる前や終わった後
・事件もの:事件が起きる前や後

原作上で「大きなイベント」が発生する前や後なので、場面のイメージがしやすいです。このことは、読者を物語に引き込みやすいという点でもメリットがあります。

【4】原作で隙間が見つからなければ、「季節」や「時間」をテーマにする

原作の時間軸に二次創作が入り込む余地がなさそうな場合、あるいは思いつかないという場合は、「季節」や「時間」の力を借りましょう。季節や時間の何が良いかというと、書き手と読み手に「共通のイメージがある」という点です。年末なら「終わり、区切りっぽい雰囲気」、年始なら「はじまりっぽい感じ」、春のあたたかさ、夏の暑さ、昼下がりののんびりしたイメージ、夜の賑やかさ、あるいはほっとする雰囲気……そういう誰もがもっているであろうイメージを読者と物語の架け橋にする感じですね。
物語の冒頭で、今がどんな季節かどんな時間帯かを描写してからストーリーを展開するとスムーズに読んでもらいやすいです。

【5】起承転結を考える

起:場面、設定の紹介
承:物語が動き出す、展開する
転:物語が加速する / 事件やイベントが発生する
結:「物語の目的」にたどりつく

物語には「メリハリ」が大事です。だらだらと場面を描くだけでは読者は飽きてしまうし、書き手も飽きてしまいがちです。そして「メリハリ」をつくりだすのが、「起承転結」です。
「シンデレラ」にあてはめて、解説します。

起:継母と姉にいじめられて暮らしている
承:魔法使いの助けをかりて舞踏会に行く
転:急いで帰る途中で靴をおとす
結:王子様がシンデレラをさがしにきて、ハッピーエンド

「起」は場面の設定・説明の段階なので、物語はそれほど進みません。二次創作をしていると、「早くこの場面を書きたい!」という気持ちがつい湧いてしまいますが、ここはじっと我慢。読者が場面を理解できるように、しっかりと設定・説明をしておきましょう。「承」で物語が前進し、「転」で結末にいたる準備を整えます。事件やイベントが起きなくてもOK、「気持ちをつよく自覚する」などのように「物語が加速する」場面を「転」にもってきても良いと思います。そして、あらかじめ決めておいた「結」にたどりつけば、無事に物語が完結します。

【6】最初の1~2話はすごく大事

読者に「読みたい」と思ってもらえるためには、物語の「はじまり」は本当に大事です。そして、魅力的であることはもちろん、「わかりやすい」「読者に伝わること」ことも大事なので、ぜひ意識してください。
一次創作の場合、世界観やキャラの属性、性格も説明しないといけないので、1~2話では足りないかもしれません。しかし、二次創作であれば、書き手と読み手の間には共通の認識があります。物語のはじまりでは、「いつ」「どこ」の話なのか、「キャラの関係性」はどういう設定なのかを特に意識して書くと良いでしょう。

【7】読んでもらいやすい「物語」とは

二次創作は自由!とは、いつも書いていることです。その上で、あえてポイントをあげるとするなら、以下のような点でしょう。

・原作の延長線のような世界観
・キャラ設定が原作とブレていない
・作者の自己投影、ご都合主義になっていない

「原作の延長線のような世界観」とは、原作の隙間を上手に埋めていたり、原作のストーリーの先のIFを描いたような物語のことです。二次創作の場合、読者の目的は「原作のキャラ」です。パロディや原作の時間軸から離れた設定(大人キャラの子供時代など)の場合、どうしても原作からの距離は遠くなってしまいます。いわゆる「界隈」にパロディの共通認識がある場合などをのぞいて「それっぽい」「しっくりくる」と読者に思わせるのは、作者により高いスキルが必要になります。
「キャラ設定が原作とブレていない」、これは言葉の通りです。二次創作を読む読者の目的は、上記でも述べた通り、ほとんどの場合「原作のキャラ」です。厳しい性格のキャラを優しく描く、嫌われ者を愛されキャラにする、という創作をすることは作者の自由ですが、読者を納得させられるかどうかは作者の腕次第になると思います。
二次絵や漫画であれば「視覚」がキャラを認識させてくれるので性格の改変は比較的受け入れられやすいですが、小説だとかなり難易度が上がります。
「作者の自己投影」、これは物語が作者からは身近になる反面、読者からは遠ざかってしまう。作者と近い属性やメンタリティの読者であれば共感されるかもしれませんが、それ以外の読者との距離を埋めるのは難しくなるはずです。
キャラの幸せを願う気持ちは誰しも同じですが、「ご都合主義」は読者をおいてけぼりにしがちです。なぜそうなったのかという「背景」が抜けているからです。逆に「背景」を書くことで物語に説得力をもたせていれば、それはもうご都合主義ではありません。素晴らしい物語だと読む人にも感じてもらえるはずです。

ありがとうございます。 好きを形に!たのしく同人活動!を目標にがんばります!