PRパーソンとメディアの新たな共創関係

一週間前のことだが、PR Table社のオンラインセミナー「Withコロナ時代のPRについて話そう」を視聴した。
このテーマ自体にはあまりピンと来なかったのだが、最近は仕事一色の生活が続いていたので、角度の異なる話に触れたいと思ったからだ。

テーマにある「Withコロナ時代」と「PR」がどのように結びつくのか、はじめはよく分からなかった。それよりも僕としては実務でコロナに伴う会社の取り組みを適時適切に発信することに目下取り組んできたので、「危機管理広報」の観点と、他の企業や一般視聴者にとってヒントになる取り組みや考え方を発信したいという「課題提起・提案」という観点でコロナに向き合ってきた。

前段はここまでとして、セミナーで特に印象的だった言葉を紹介したい。

「Withコロナ時代では、PRパーソンがメディアと積極的に一緒にコンテンツを作っていくべきだ」

なぜこうなるかと言うと、外出自粛が続き、企業も個人も活動が制限される。すると当然ながらメディアの取材対象となるモノゴトが無くなる。また取材活動そのものが、訪問ができない中では非常に限定的となる。報道すべきものが無くなってくるのだ。

PRパーソンの立場からするとどうか。所属組織が活動制限している状況では、確かにPRするネタも無いかもしれない。
だが、それが限界なのか。PRというのは、何も新商品やイベントのお知らせをするということだけではない。商品やソリューション、あるいは組織自体と、一般の人たちとの関係デザインこそが仕事だ。

このような社会的な危機の時代に、企業という組織は何ができるのか。
どの企業にも企業理念はあるだろう。そしておそらく、企業活動を通じて何らかの形で社会に貢献すること、価値を生み出すことが掲げられているはずだ。

こうした社会の状況において、企業という組織だからこそできる社会貢献の形があるはずだ。企業メセナ的な意味ではなく、事業のための設備や組織があるからこそ生み出せる価値があるはずだ。あるいは、課題提起をすることだけでも価値がある。課題の提起とはニーズの公表であり、ニーズが見つかればソリューションを生み出せるというシーズを持った人たちもいるはずだ。

企業が社会から望まれる存在であること、●●さんがこの地域にあって良かったと思ってもらえるような企業であること。それは非常に誇らしいことであり、そうあるべく試行錯誤して、社会に貢献するべきだ。

そして、こうした社会志向を企業に持たせることはPRパーソンの役割だ。いま、企業だからこそできることは何か、それを考えて企画する。本質的に意義のあること、社会にとって価値のあることを考え、生み出し、届けていくこと。PRパーソンの仕事である。

また、社会一般の方々にとって価値のある情報をお届けすることが、メディアの仕事である。
したがって、PRパーソンとメディアは共に、いまだからこそ人々に届けられる価値ある取り組み、情報は何だろうかと考え、創出するという共通の目的を持っている。
社会が暗い雰囲気、危機的な状況にあるいまの時代ほど、PRパーソンにもメディアにも、社会にとっての価値をこれだけ意識しやすい状況は珍しいだろう。

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