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第7話 ソックリさんが育つ

人材育成についてちょっと立ち止まって考えたことをお伝えしています。
毎回、一つのトピック(話題・話のタネ)を取り上げてご紹介する方式にしています。
皆さんの経験と照らして、
あるいは身近なところに似たようなことがないかを思い起こしながらお読みいただけると幸いです。

今はコロナで会食もままならない状況ですが、
昔はクライアントの方とよく食事に行きました。

特に20代、30代の頃は、
夜の食事の際にクライアントの方から諸事情、裏話等を教えていただき、その業界、会社、業務の理解を深めることができました。
そして、会社や上司、あるいは部下に対する
不満や批判を聞くこともよくありました。

23歳でコンサルティング会社に入ったので、
クライアント先の関係者は、ほとんどが年上の方でした。
ある方は、係長の時に出会って、
しばらく会わないうちに課長に昇進していました。
久しぶりに食事に誘っていただき、空白を埋めるかのようにお互いの状況を伝え合いました。

そして、課長のお話を伺っているうちに、私は気づいてしまったのです。

その課長が係長時代に
痛烈に批判していた
その時の上司とソックリになっていることに。

気づいただけで済ませれば良かったのですが、
お酒が入っていたこともあり、
〇〇さん、前の□□課長と同じことを言ってますねぇ。
と口がすべりました。
〇〇さんは、「それを言うなよ・・・」という表情。

その後また別の話になり、盛り上がって別れたのですが、
後日、別の課長の前で
「この前は伊藤さんに言われちゃてさぁ・・・」と暴露されました(苦笑)。

その後、コンサルタントとして経験を積む中で、
会社員は、入社して数年経つと、先輩に似てくるものだ、とつくづく思うようになりました。

要するに、会社の組織風土・企業文化に染まるわけですね。
(しかし、当事者はそのことになかなか気づかない!)

伝統的大企業ほど、その傾向が強いと感じています。
確かに、会社の文化や組織習慣になじむことも、人の成長の一側面と言えるでしょう。

ただ、前述の課長さんの場合には、また別の要素が加わります。


それは、
その立場に立ってみないと分からないことがある。
ということだろうと思います。

下から見ると上司の方針、考え、指示、立ち居振る舞いが「おかしい」と思っても、
実際その立場に立ってみて、初めて考えや行動の理由が理解できる、
自分もそうしてしまう,
ということは、ありがちなことだろうと思います。

そして、人材育成の観点から大切なことは、
これらのことをしっかり「自覚」することだろうと思います。

組織風土や企業文化は、環境の変化に応じて
何を捨て、何を残すか・・・その選択が重要です。
しかし、自覚がなければ、
先輩から何を受け継ぎ、何を変化させるか、その区別がつけられない。
人材の成長という観点でも自覚が重要と思います。

コンサルタントという第三者が関わる効用には
社内にいることで気づきにくい事柄の「自覚」を促すという面もあります。

皆さんの周りには、ソックリさんはいらっしゃいますか?

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