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「あの会社に入社したい!」をつくる方法
■書籍
ブランディングが9割
著者:乙幡 満男
■ブランディングとはなにか
中身がまったく同じで、価格も同じ。一方はよく知っている、イメージのいいブランドの商品で、もう一方はよく知らない、ブランドのない商品。
この2つが並んでいる場合、あなたはどちらを買うでしょうか?
よほどのことがなければ、9割の人が前者を選ぶと思います。
安心できるとか信頼できるなど、理由はいろいろあると思いますが、いずれにしても、前者を選んだのは、ブランドのある方に「価値」があると認めたからではないでしょうか。
では、この「価値」とはいったい何なのか
そこに、ブランドを築くうえでの秘密があるそうです。
「人は見た目が9割」と言う人がいますが、もともと中身が良かったのが上手に伝わっていなかったところ、デザインを変え、ブランドを変えたら売上が上昇したということは「ブランディングが9割」といってもいいはずです。
ブランドにとって重要なことは、ブランディング活動を通じて、「価値」の部分をつくり、維持し、高めていくことです。
では、ブランドとは何かというと、企業とお客さんとの接点を通して、お客さんに評価され、お客さんの頭の中に蓄積されていく価値のことです。
ブランドは、企業側とお客さんとの接点を通じ、五感によって体験することでしか感じることができません。
そのため企業側は、商品や売り場、オンライン上のコミュニケーション、店頭での接客など、様々なお客さんとの接点(=タッチポイント)において、ブランドの特徴やお客さんへの提供価値などを、一貫性を持って伝えて行く必要があります。
企業側の視点で見ると、ブランドとは価値観を含んだ概念であり、無形資産でもあります。(ブランド=無形資産)
ブランドコンサルティング会社の世界最大手、インターブランド社は、ブランドを「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義しています。
資産であるからには、ブランドとは将来的に会社に利益をもらたらすものだと言えます。
企業、商品、サービス、、、これらではこのブランドの価値について書籍等がありますが、私は、採用市場でもこのブランディングはとても重要なものだと感じています。
名前も知らない企業より、大手企業やニュースなどで取り上げられている企業に求職者が集まりやすいのは、それだけその会社に価値を感じ、そこに自分も混ざりたいという思いが働くからだと思います。
■「自分たちの強み」を見つける〈自社の特徴〉
ブランディングにおいて大事なのは、シンプルに、極力、基本に忠実に行うことだそうです。
状況により思い通りにいかないことが出てきても、可能な限りブランディングのルールや流れ通りに行うことを心がけると成功する確率がぐんと上がるそうです。
戦う市場を決め、目的を定め、ターゲットとするお客さんに、様々なタッチポイント(顧客との接点)を通じて、最高の価値を届けることが大事になります。
本書では、ブランディング活動を次の3つのステップに分けて説明しています。
ステップ1:ブランドの現状分析
ステップ2:ブランドのコアとなる概念づくり
ステップ3:概念をもとにブランド戦略を実行する
これがブランディング活動の全体の流れとなります。
ここからは採用に置き換えて考えてみたいと思います。
まずはブランドの現状分析です。現在自分のいる位置がどこなのかという「現実」と、どこに行きたいのかという「理想(目指す姿)」を、「自社」「顧客」「競合」の3つの視点で、できるだけ正確に把握していきます。
ここで大事なのが、課題は何か、どうすればそれを克服してブランドの価値を高めることができるのかを分析し、どうすべきかを考え、実行していくことです。
この高い理想を求め、理想と現実のギャップを埋め、課題を解決し、価値を高めていくことがブランディング活動です。
そして、「自社」「顧客」「競合」の3つの視点をもとに、「どうすれば勝てるか」という戦略を立てていきます。「自社」「顧客」「競合」それぞれ独立して見るのではなく、「自社の強み」を生かし、「顧客のホンネ」を探り、「競合と差別化」できるところを探していきます。
そしてもう一つ重要なことは、企業としての使命を果たすための存在かどうか、一翼を担っているかどうかということです。
マネジメントの父、ピーター・ドラッガーは『ドラッカー5つの質問』の最初の問いで、「われわれのミッションは何か」を聞いています。
「ミッション」とは任務や使命のことを言います。使命とは「命を使うこと」、つまりブランドとして「命を懸けて果たさなければならない任務」のことです。「何のために?」を問うことが、ブランドにおいてとても重要なのです。
なぜかというと、人間同様、信念のないブランドにはなかなか共感してもらうことはできないからです。
「こうすれば勝てる」というところを見つけるために、まずやるべきことは「自社の強み」の分析です。
今後、採用強化委員会で採用ブランディング活動もしていきたいと思いますが、まずはじめにここをやっていきます。
闇雲に「うちの強みは?」と聞きても話がまとまらないと思うので、
・自社にある資源(リソース)から「自社ならではの強み」「他社に負けないところ」を挙げる
→事業、立地、技術力、営業力、などなど
・自社の歴史から考える
→リスプラでは、創業期からさまざまな組織論をいれているのでこれも強みになるはず
また、自社でいくら議論しても自社の良さに気づけないこともあるため、「盲点の窓」(ジョハリの窓)として、
・求職者に、どうやってリスプラを知ったか、どこか魅力に感じたか、など聞いてみる。
・入社してまもない人にも聞いてみる(他社と比べてどうか)
・ネット上の口コミから情報を得る
を行い、情報をまとめようと思います。
先日の面接で、自社サイト応募だった方にどうやってリスプラのことを知ったのか?と聞いたところ、「たまたまTwitterでマーケティングの情報収集をしていたら、社長のツイートをみてそこからTwitterでみるようになった。なので人事のちーちゃんも知っています。」と言われたり、
媒体応募の方に、リスプラは媒体で知りましたか?と聞いたところ「御社が事例として掲載されている本を読み、すごく興味をもっていた。そのときにたまたま媒体で求人を出しているのを見つけてすぐに応募した」と言われたりしました。
実際の求職者はどんな何をみているのか、どんなところに魅力を感じたのか知れればそこが自社の強みにもなると思います。
また、「信念のないブランドにはなかなか共感してもらうことはできない」とありましたが、人事だけではなく社員同士でも自社の強みはなにか?を考えることで、自分たちのミッションや強みを認識し、ロイヤリティ強化にも繋がるのではないかと考えました。
■「顧客のホンネ」を探す〈インサイト〉
次に、本書ではブランドのターゲットについてが述べられていますが、ここが採用にとってとても難しいところかと思います。
本書で「売りたい人」がターゲットではない。とありますが広告でも、ターゲットは企業が「売りたい人」ではなく、「買いたい人」、つまり、「価値に対価を支払っていただく方」という視点で考えることが必要と記述されていました。
もちろん、買いたい人=採用されたい人を考えることも大切ですが、採用においては売りたい人=採用したい人をできるだけ多く集めたいところが本音です。
ブランディングのどの本にも、ペルソン設定するとありますが、採用においては買いたい人ではなく、売りたい人からペルソナを考えていきたいと思います。
そして、ターゲットを特定できたら、今後は、そのお客さんが自らは語らない心の奥底にある「ホンネ」を探っていくことが大切だそうです。
人間の奥底にある「ホンネ」が何なのかを解き明かしていきます。お客さん自身も気づいていないような、心の奥底にあるホンネを、「インサイト」と言います。
インサイトとは、(ブランドを選択する際の)お客さんの洞察や深い理解のことで、「購買意欲を後押しするボタン」とも言われています。
インサイトは表面上ではわからないので、タマネギの皮を剥くように、「なぜうちの会社に応募したのか(入社しようと思ったのか)」「なぜそこが魅力的に感じたのか」など、「なぜ」をなんどか繰り返していくことによって中心に辿りつく、ときには本人も気づかない「隠れた真実」です。
この深堀りは面接でも必要になってくるので、普段から相手の洞察や深い理解をすることを意識していきます。
また、カスタマージャーニーマップを作成する際もそうですが、購買前後の行動を予想することも大切になります。ここも自社社員に聞いたり面接にきた方に聞いたりすることはもちろん、転職者座談会的なものを開催して、ホンネを聞ける場を設けてもいいと思いました。
こちらも委員会のときに提案してみようと思います。
■競合との最大の違いはなにか〈差別化/ポジションニング〉
最後に、数あるブランドの中からお客さんに選んでもらうためには、自社のブランドが競合のブランドとは違うということを分かってもらう必要がありますが、その違いを考える上で重要なのが、自分たちのブランドの立ち位置を見きわめることです。
自分たちは競合と比較したとき、「どの位置にいるのか」「どれくらい規模が違い、どのように戦うのが最適なのか」をなるべく正確に客観的に把握シなければなりません。
そして採用で陥りやすいのが、採用競合を考える際、同業種での差別化を考えがちですが、特に新卒採用では同業種にとらわれることなく企業全体で自社の採用競合がどこになるのかを考える必要があります。
よほど、Web代理店に入りたい!と思っている人以外は転職や就活の際はなんとなく事業選びの軸があっても様々な企業を見ているからです。
本書では、競合との違いを考えるために、「コトラーの競争地位戦略」をあげています。
「コトラーの競争地位戦略」とは、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー教授が、マーケティングシェアの大小に着目して、企業の競争上の地位を「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロワー」の4つに分類し、それぞれの地位に応じた戦略を選ぶことが重要だと説いたものです。
こうして、自社がどの立ち位置にいるのかを把握し、次に競合との戦いに勝つためには、競合との違いを明確にする必要があります。競合ブランドと自社ブランドの「違い」を明確に出していくことを、差別化とよびます。
言い換えれば、差別化とは、「競合が真似できないような、自社にしかできない独自のユニークさがお客さんに魅力的な価値と認められること」です。
■まとめ
先週の採用ブランディングの本では、コンセプトが重要とありましたが、コンセプトを決めるためにも、まず「自社の強み」「求職者のホンネ」「競合との差別化」を洗い出しどこで戦っていくか、どんな見せ方をしていくのか決めるのがいいと思いました。
7月8月で今後の採用コンセプトを決め、そこから一貫性をもった本書でいうブランディング活動を通して、「価値」をつくり、維持、高め採用強化をしていきたいと思います。