勝つだけが正義じゃない!

こんにちは!人事のちーちゃんです('ω')ノ

引続き『孫子』についてまとめていきますね!
今日は、勝つだけが正義じゃない!について。

◇目の前の敵に捕らわれない

前回、孫子は「やり直しの利かない一発勝負になりかねないのが戦争。だからこそ重大事」というお話をしましたが、

勝つために、常に考え戦略を立てることが重要です。

しかし、この「勝つために」というのは一戦一戦すべて勝つ!という意味ではなさそうです。

それを示すのが次の言葉。

それ兵を鈍らし鋭を挫き、力を屈し貸をつくさば、則ち諸侯、その弊に乗じて起こらん。智者ありといえども、その後を善くすることを能わず
ー長期戦になれば軍は疲弊し、士気は衰え、戦力は底をつき、財政危機に見舞われれば、その隙に乗じて、他の諸国が攻め込んでこよう。こうなっては、どんな知恵者がいても、事態を収捨することができないー

目の前の敵以外にも、ライバルが多数いる状況ということです。
だからこそ、下手に一対一の泥沼の戦いに陥ると、戦力や国力を消耗して、たとえ勝ったとしても第三者に漁夫の利をさらわれかねません。

特にこの時代は楚、斉、晋など「春秋十二列国」と呼ばれる強国が覇を競っていました。つまり、たとえ勝ったとしても、体力や資源がボロボロにならないようにしておかないと、生き残れないということです。

そしてこれに関連するよく知られた名言が、

百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するのは善の善なるものなり
ー百回戦って百回勝ったとしてもそれは最善の策とはいえない。戦わないで敵を屈服させることこそが最善の策なのだー

私たちはどうしても目の前の敵に捕らわれてしまいがちです。
ライバルがいたとして、どうやって勝つか。そして勝負に全力で挑むでしょう。

それが、その1回だけでよければそれでいいと思いますが、トーナメント戦とかだったら結構大変ですよね。体力残しておかないと、決勝いくころには疲れ切って、負けてしまいます。

しかも、敵は毎回自分と同じ戦力とは限りません。
10対10かもしれないし、1対10かもしれない。

そして人生も同じです。今勝てば人生安泰ではありません。いかに長期戦を戦い抜けるかが重要です。

しかし、そうはいっても目の前の戦場がある場合どうすればいいのでしょうか?

孫子は相手の力関係に鑑み、3つのパターンに分けて考えていました。

1.ライバルの方が弱い場合
2.敵が同じくらいの力の場合
3.ライバルの方が強い場合

この3つのパターンでみてみましょう。

◇相手を味方に引き入れる

1.ライバルの方が弱い場合 こうなります。

必ず全きを以って天下に争う
ー相手を傷めつけず、無傷のまま味方に引き入れて、天下に覇をとなえるー

自分の方が強いわけなので、その国力を背景とした外交や威嚇によって相手を味方に引き入れたり、傘下に収めたりして、「戦わずして人の兵を屈するのは善の善なるものなり」を実現しようというわけです。

これがうまく続けられれば、国力は増え続け、やがて自分より強大なライバルに肩を並べたり、あわよくば追い越すことも可能になります。

現代でいうと、例えばM&Aですかね。

まぁ裏では戦いが起こっている場合もあるかもしれませんが、複数のビジネスを統合していき、より良いサービスを提供できるようになり市場でも強くなっていくと思います。

私が所属している会社も、2019年に同業種の企業を買収しました。

同業だったので、まったく新しい事業はきませんでしたが、買収した企業がもともとやっていた、サービスを引継ぎ、新たな価値提供ができるように試み中です。

戦って買収したわけではないので、大きな損失はなく今まで以上の市場価値を生み出せます。

敵を叩き潰すのではなく、うまく味方に引き入れるのも戦略の一つと覚えておきましょう。

◇勝算がなければ戦わない

続いて、2.敵が同じくらいの力の場合 です。

上兵は謀を伐つ
ー最高の戦い方は、事前に敵の意図を見破ってこれを封じることであるー

その次は交わりを伐つ
ー次善の策は、敵の同盟関係を分断して孤立させることであるー

もちろん、先述している戦わずして勝つができればいいのですが、力関係があまり差がない状態で、一方がおめおめ屈してくれることはまずないでしょう。次善の策として、
「相手の戦うエネルギーが小さいうちに摘み取ってしまいなさい」
「相手が戦うエネルギーをこちらに向けてきても、それをうまくかわしてやりなさい」

という教えをくみ出すことができます。

例えば、こういうことってないですか?

職場でことあるごとにライバル視?敵対視?してくる人がいるとしましょう。飲み会でもプロジェクトでもなんでも勝とうとしてくる。
いわゆるマウンティングをとってくる状態です。

そんな人と毎回自分も競っていたら、疲れてしまいますよね。
(というかウザったいですよね・・・(笑))

なので、相手が勝負を挑んできても、うまくかわすのです。

相手「え~私はこれやったよ~」
自分「すごいね~」

こんな感じでかわしておけばいいのです。

そして、ここぞという時は全力で勝負に挑み勝利する。
そのときに向けて虎視眈々と力を蓄えておく
のです。

マウンティングが横行する社会で意外とこれは重要です。
私はついイラっとしちゃうので・・・。

◇弱者はどう生き残るのか

最後は、3.ライバルの方が強い場合 です。

勝兵は鎰を以って銖を称るがごとく、敗兵は銖を以って鎰を称るがごとし
ー敵と味方の戦力の差が、五百対一もあれば、必ず勝つ。逆であれば、必ず負けるー

極端な比喩ではありますが、戦力差があるのに戦ってしまえば、負けるのが当たり前です。

少なければ、則ちよくこれを逃れ、若からざれば、則ちよくこれを避く
ー劣勢の兵力なら退却し、勝算がなければ戦わないー

逃げるか、戦わない算段をして生き残りをはかりなさいということです。
勝負を前にして逃げることが美学とは言い難く、やりたくないと思うかもしれません。

しかし長期的にみたときに、そんなこと言って再起不能になるよりは、ズルいと思われても、逃げるという選択肢をとったほうがいいときもあります。

中小企業が大手の系列に入ったり、会社で派閥や権力者に庇護してもらったり現実世界でだってあることです。

ドラえもんでいうならスネ夫的な感じです。
目の前の戦いに勝つことだけが正義ではありません。

自分の目的を達成するためには、今どうするのが最善かを考えることが大切です。

しかし、こうした振る舞いをうまく実践するためには、相手の力を正確に比べられるかが何より重要です。

ここを見誤ったら戦うか・逃げるか・外交で引き入れるか判断がつきません。

第二章では、相手の力の比べ方について言及してきますね!

今日はここまで(´_ゝ`)