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人材マネジメント入門

■著書
人材マネジメント入門 「理論と実践」の100のツボ
著者:坪谷 邦生

■はじめに

本書は、人事コンサルタントの坪谷さんが人材マネジメントを体系的にわかりやすく理解できるようにと、人材マネジメントの基礎知識を10のカテゴリにわけ、全100つのポイントをまとめている本です。

採用コンセプトを考えるとき、どんな人がほしいだろうか、どんな組織になっていくのがいいのだろうか考えていましたが、もう少し採用の根本を知ろうと思い本書を選択しております。

本書は、

Chapter1.人材マネジメント
Chapter2.人事評価
Chapter3.賃金・退職金
Chapter4.働きがい
Chapter5.等級
Chapter6.採用
Chapter7.異動・代謝
Chapter8.人材開発
Chapter9.組織開発
Chapter10.働く人

上記の構成でそれぞれのポイントが記述されていますが、今回は「Chapter6.採用」をメインでレポートを書かせていただきました。

■組織パフォーマンスを最大にするためのリソースフロー

リソースフローとは、採用(入社)から異動、代謝(退職)まで、企業における人材の流れです。人材マネジメントの目的は「人を生かすことで、短期・長期の組織パフォーマンスを最大化すること」ですが、組織パフォーマンスを最大化するためには、どんな人が入社して、どんな場所で活躍して、どうやって退職していくこと最適なのか。それをこのリソースフローで考えます。

リソースフローは人員計画からスタートします。どのような人材がどれだけ必要か(需要)、おっしてどれだけの人材を用意することができるのか(供給)を予測して、計画をたてます。そして実行し、見直し、また計画に反映するサイクルを回していきます。その中では、人材が足りない(需要>供給)、人材が余る(需要<供給)という事態が常に起き、次のような対応が迫られることになります。

人材が足りないときは「採用を促進する」「既存の人材を育成する」「仕事量を減らす」、人材が余っているときは「退職を促進する」「定着を抑制する」「仕事量を増やす」です。

理屈では、その通りですがこれは機械の導入や廃棄の話ではなく、扱っているのは生きている「人間」です。そんな簡単に言われても、、、と思ってしまいます。ここに人材マネジメントの難しさがあります。
働く人は、どのようにして起業のリソースフローという波に乗ればいいのか、企業は、働く人をリソースではなく「人間」として扱うために、どうあればいいのかを考えなくてはなりません。

■理想の人員構成の考え方とは?

人員計画は、戦略的に組織成果を上げるための理想の人員構成を考えるところから始まります。その構成を考える方法として「人材ポートフォリオ」があります。

人材ポートフォリオでは組織への「貢献の仕方」によって人材を複数のグループに分類します。この分類する軸を何にするかは、人材マネジメントの一貫性を実現する上でとても重要です。人材を判断する基準である等級と連動して設計するのがいいそうです。組織によってその分類方法は異なりますが、先に本書に乗っていた汎用的な例を紹介します。

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横軸の「創造」は、新しいビジネスモデルや戦略上重要な商品や技術を考え生み出すことで貢献する人材です。対して「運用」は、既存の仕組みを効率的に維持・運用することで貢献する人材です。

縦軸の「組織成果の最大化」は組織目標(売上・利益・イノベーションなど)を達成することで貢献する人材です。対して「個人成果の最大化」は、個人の出すアウトプットで貢献する人材です。

この2軸の組み合わせで「エグゼクティブ」「マネージャー」「スペシャリスト」「オペレーター」の4タイプに分かれています。

この人材タイプごとに、何人・何%必要なのか、理想の人員構成を検討します。そして構成が決まったら、そこを目指して現状とのギャップを埋めるための人員計画を立てます。

人員計画を作成するにあたり、まず理想の人員構成を既存社員に照らし、そのギャップを把握します。そしてそれを埋めるために「採用」によってどれだけ増員する(できる)のか「異動」による内部での推移はどれくらいあるのか、「代謝」はどれくらいあるのか(促進するのか)を、予測して作成します。

採用人数は、理論的には人員計画によって計画値が決まります。しかし、実態としては、現場から「人が足りない」「人が欲しい」という要望が人事に上がってきます。この声を積み上げていくと実現不可能な数値に膨らんでしまうため、最終的には「経営判断」で確定する企業が多いようです。

■採用を効果的に進めるポイント

採用はリソースフローの入口です。組織能力を規定し、企業の競争力を左右する重要な領域です。優秀な人材を採用できなければ、異動や育成や評価や報酬でどんなに工夫しても、それは徒労に終わってしまいます。

採用は、一般的に「採用要件の設定」「母集団の形成」「選考(適正検査・面接)」「内定・入社」のプロセスからなり、採用チームが現場を巻き込みながら進めていきます。

採用を実行する採用担当者は、応募者が初めに接点を持つことになる、その組織の「顔」です。一体感のある組織作りで有名な海兵隊では、応募者が「こういう人になりたい」と思える優秀な人材を採用担当者に任命する文化があるそうです。また曽和利光『人事と採用のセオリー』は、こう警鐘をならしています。

採用担当者や人事担当者は、心根が優しく、受容性の高いタイプが多くなります。そして人間は自分と同じタイプを高く評価するために、受容性の高いタイプばかりを採用してしまいがちです。実際、採用担当者のタイプの偏りによって、多くの企業で構成員が同質化しています。

採用担当者は、現場を巻き込みながら、多様な能力や性格を持った人材による採用チームを構成する必要があります。

近年では、業務の専門化とスピード重視の観点から、採用権限を現場に移譲していくことが増えているそうです。例えば、中途採用については現場で実施し、人事部門は一切かかわらないという企業も少なくありません。

また、組織をあげて人材獲得に取り組む採用プロセスは、組織活性化のまたとない機会となります。自組織の目的のために必要な人材を考え、組織の良さを自ら応募者に繰り返し語り、魅力づけして入社してもらうことに苦心する中で、現場の一人ひとりの主体性が発揮され、組織は活発になっていきます。

こちらについては、自分が会社説明会や採用に関わるようになりとても感じたところです。会社のことを話すには会社のことを誰よりも知らないといけないし、どんなところに魅力を感じているのか応募者に話すことで、自分でも気づいてなかった魅力や課題が見つかり、今まで以上に組織について考えます。

仕事と同じで、ふってきたからやる、与えられたからやる、のではなく、自分も組織を作っている一人であると認識してもらうためには、採用委員会はとてもいい場所だと思っています。

ただ、そうはいってもメンバーが社歴の浅い人も多いのでコンセプトや採用要件など軸となる部分は人事で考え、応募者と接する「顔」となる部分を委員会メンバーに積極的にやってほしいと考えています。

■まとめ

先日、採用コンサルの方に相談する機会があったので、今の現状を話しましたが、今後採用市場ではますますスキルが高い(優秀層)はダイレクトリクルーティングしないと取れなくなると言われました。逆に30代・40代で伝手がなく媒体等でしか次の就職先を探している人やばくない?と言われ、確かにその通りだなと感じました。

ただ、優秀層ほど自分を高められる、成長できる場所に入社しようとするとっも言われ、採用だけではなく・内部のレベルが採用できる人のレベルにも繋がってくると感じました。

グレード制度も進めているので、今後はそちらともからめ、今リスプラではどういう人材が何%いるのか、今後の組織を作っていくにはどんな人材が足りないのかを定量的にもみて採用できるようにしていきたいと思います。




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