奇跡の組織「セムコスタイルの5つの原則」を読んでみた Part1
■書籍の紹介
奇跡の組織 「最高の働き方」を導き出すセムコスタイルの5つの原則
著者:秦 卓民
■敷かれたレールの上を走ればいい時代が変わる
■「奇跡の経営」と呼ばれるセムコ社
■セムコスタイルとはなにか?
1.ルールや制度の廃止=コントロールをやめる
2.管理をやめる
3.ちょっとだけリタイア
4.新入社員が入社後1年間、社内業務を好きなだけ経験できる
5.給与額を自己決定
■敷かれたレールの上を走ればいい時代が変わる
2019年4月1日から、「働き方改革」の一部が施行され、日本の従来の働き方や価値観が変わろうとしています。
2019年度版の厚生労働省の定義によると「働き方改革」とは、働く人びとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革だそうだ。
選択肢が増えることで自由が手に入るかもしれない。しかし大きな落とし穴もあると思っています。それは責任も自分自身でとらないといけないということです。
例えば、働き方改革によって、残業時間は少なくなるかもしれませんが、その結果、残業代が減り給料が下がったという人たちもいます。
次の4月から施行される「同一労働同一賃金」では、正規雇用の従業員と非正規雇用の従業員との待遇や賃金格差をなくすという考えですが、雇用する側も雇用される側にもメリット・デメリットがあります。
今までの「終身雇用」「大企業神話」が崩れ始め、より多様な働き方の価値観が広まっていくにあたり、これまで以上に自分の選択に責任を持ち、行動しなければならないと思います。
しかし、今まで敷かれたレールの上をしっかりと走ってきた人ほど、どうすればいいのか分からなくなってしまったり、前に進めなくなってしまうかもしれません。
物事にはメリット・デメリットが必ずありますが、情報が少なければ選択の判断もできません。
とうことで、日本が働き方改革を始める30年前に実践していた、セムコ社の組織論の本を読んでみたので、まとめてみました。
■「奇跡の経営」と呼ばれるセムコ社
セムコ社とは、リカルド・セムラー(以下、リカルド)率いるコングロマリット企業です。従業員数は約3,000人程で、ブラジルの学生が「就職したい企業No.1」に選ぶ会社だそうです。
セムコ社のユニークな経営スタイルや働き方は、ハーバード大学でも研究テーマに挙げられているほどで、
・組織階層がなく、公式の組織図が存在しない
・ビジネスプランもなければ企業戦略、短期計画、長期計画といったものもない
・会社のゴールやミッションステートメント(企業理念)、長期予算がない
・決まったCEOが不在ということもよくある
・副社長やCIO、COOがいない
・標準作業を定めていないし、業務フローもない
・人事部がない
・キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がない
・レポートや経費の承認をする人がいない
・作業員を監視・監督しない
という信じがたい経営スタイルをしているのだとか。
しかも、単に働き方がユニークなわけではなく、「平均年間成長率が147%、離職率は2%」と、驚異的な数字を実現しています。
■セムコスタイルとはなにか?
1.ルールや制度の廃止=コントロールをやめる
多くの企業が注目したのが、高い成長率を長い間維持しながらも平均離職率が2%を切っているという点です。
高い成長率を維持するためには、当然、現場にも高い基準を求めることになります。その結果、現場が疲弊し離職につながることも少なくはありません。しかし、セムコ社の離職率から考えて、セムコ社の社員は働き方に満足しているといっていいでしょう。
どのようにして、成長率と社員の満足度という同時に手に入れるのが難しい2つの成果を可能にしているのでしょうか。
それが、”コントロールをやめる”というシンプルな原則を実践だそうです。
つまり、職場における従来のコントロールと階層的な組織構造を、民主的なものに置き換え続けたのです。それもありえないレベルで。セムコ社には、先にあげた、一般の組織に存在するルールや制度がほとんどないのです。
このように、ルールや制度をなくしたリカルドは、経営陣や社員を管理・統制する部門、一部の人が定めた就業規則・売上目標などに縛られることなく、社員が自らの才能にしたがって本当にやりたいことに集中できるよう、職場環境を整えていったのです。
そして、社員がやりがいを感じて生産的になると自ずと会社に利益と成長をもらたらすことを信じ、民主的アプローチで働き方を改革し続けました。
2.管理をやめる
リカルドは、家族と過ごす質の高い時間こそが最優先事項と考え、仕事の時間とプライベートの時間をうまく融合させた新しい生き方「クオリティ・オブ・ライフ」を提唱しました。
社員が会社の利益と自らの幸せのバランスを探求していくことが成果につながることを証明するため、社員が自分たちで新しい勤務制度をつくることを強く推奨しています。
また、社員たちは、オフィスという固定の場所で働くのではなく、サテライトオフィスや自宅、カフェや公園など作業効率が上がる場所やリラックスできる場所で仕事をしているそうです。
1990年のアメリカでは、自宅やオフィス以外の場所で仕事をする人は約400万人でしたが、20年後の2010年には、その数が10倍以上に増えており、日本が今まさに国をあげて取り組んでいる「働き方改革」をセムコ社は30年前に実践していたことがわかります。
社員はいつでも好きな時に出社し、どこで仕事をしてもかまわない。
この分散型のオフィスがもたらす最大のメリットは、社員が「会社が自分をたちを管理していない」と強く感じることです。代わりに、社員は自分たちの時間を自らの責任において管理します。
セムコ社が改革の過程で行った一番大きいことは、このように社員を信頼して「コントロール」をやめたこと、つまり管理をやめたことでした。
3.ちょっとだけリタイア
多くの人が、「将来のために今は一生懸命働き、今したいと思っていることは退職後に楽しもう」と考えています。
若いときは、肉体的には一番元気ですが、金銭的・時間的余裕がなかったりするため、多くの人が退職後にと考えるのでしょう。
しかり、年をとるにつれて優先順位も変わってくるので、若いころに思い描いていた夢が実現しないことも多いです。
そのようなジレンマの中で、社員が自分たちの夢を今すぐ追いかけられる環境を会社が準備することができたとしたら、どんなに素晴らしいことかという考えから、
セムコ社では、社員が個人的な目標と夢に取り組むための有給休暇を毎週1日取得できるようにしています。社員はその休みを使って、退職後にしようと思っていた活動をします。新しいスキルを身につけたり、書籍を執筆するためのリサーチにつかったり、旅行にいったり、、
精神的・身体的に自分を成長させようとするのだそうです。
このシステムが画期的なのは、社員が自分たちの夢や目標を追いかけられる環境を、会社が積極的にサポートする姿勢を見えているところです。
4.新入社員が入社後1年間、社内業務を好きなだけ経験できる
社員が天職を見つけられるようなプログラムをいくつも実施していますが、その1つに「ロスト・イン・スペース」というものがあります。
新入社員が自分のやりたい仕事がまだ分かっていないという前提にたって考案されたもので、入社してからの1年間、社内の業務を好きなだけ経験することができるプログラムだそう。
これは、新入社員にとってメリットがあるのはもちろんのこと、彼らを受け入れる部署にとっても、「新入社員からみても魅力的なチームになろう」という土壌が自然に形成されるメリットがあるようです。
5.給与額を自己決定
セムコ社では、自分の給与に関して、「なぜその額なのか」という理由を合理的に説明できる限りにおいて、自分の給与を決められるシステムです。
このシステムは、「生産性」と「企業カルチャー」に強烈なインパクトを与えます。
このシステムにおいて重要なことは、単純に各自の給与を市場レベルに合わせて上げ下げするだけのものにしてしまってはいけないということです。
市場環境だけをベースに給与を合意するのではなく、ファイナンスについても考慮に入れておく必要があります。
経営者としても、社員の給与を上げたい気持ちはあるでしょう。しかし、中長期の視点にたって組織を率いる場合、予測よりも利益が多く出たときは、先を見越して内部留保に回すケースなどもあります。
経営者と社員の双方が気持ちよく合意するためにも、市場環境の現状とファイナンスについて、会社は社員に学びの場を提供することを心がける必要です。
■まとめ
本書でまとめられていた、セムコスタイルの5つをまとめましたがどう思いましたか?どれもこれも、取り入れられたら理想かもしれませんが、このスタイルだけを取り入れようとしたら、おそらく大爆死してしまう可能性が高いです。
もし今すぐにルールや管理をなくし、給与は社員のいい値になったら
瞬間的には、社員のモチベーションは上がるかもしれませんが、業績は悪化してしまうかもしれません。
このスタイルを入れ、セコム社のように成長率をアップさせ、離職率を下げるためには、次回紹介する5つの原則を知らないといけないので、
次回はそれをご紹介したいと思いますので楽しみにしててください!
ここまで読んでいただきありがとうございました!