人事の破壊的変革-世界で勝てる人事になるために-

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■著書の紹介
最強の人事をつくる 人事変革の教科書
著書:小野 隆/福村 直哉/岡田 幸士

■はじめに

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これからの人事は、企業が世界で戦っていくための中核的な役割を担うことはもちろん、世界そのものを変えていく存在になる

確かにこれまでの人事は、採用や教育、給与計算、労務といった定期的に発生する業務や課題の解決が中心的な役割であった。しかしこれからの人事は、従業員一人ひとりが仕事を通じて得る経験や人生の幸福感を向上していくとともに、経営に不可欠な人と組織づくりにより深く関与する存在となる。こうした人事の役割変革は欧米などではすでに多くの企業で推し進められているだけでなく、さらに一歩進んで人事が社会課題の解決を担う存在として認識され始めている。
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本書の一番最初に書いてある文章です。

私を含め、多くの人は日々の業務での小さな目的は分かっていると思います。

例えば人事であれば、
採用の目的=良い人材を採用し、組織力を強化する。
教育の目的=社内の人が成果を出せるようにする。
みたいな感じですかね。

でも1つひとつの目的しかなくそれが繋がっていないと
採用がとまった。どう教育したらいいか分からない。何をしたらいいのか分からない。とどんどん不安になり具体的な指示や業務タスクがないと身動きが取れなくなってしまいます。

でも、もし自分の目的を
従業員一人ひとりが仕事を通じて得る経験や人生の幸福感を向上していくとともに、経営に不可欠な人と組織づくりにより深く関与する存在
とおいていたら、たとえ採用がとまっても、具体的な指示がなくても、目的達成のためにどうすればいいのか考えられるでしょう。

人事だけではなく、総務や労務などバックオフィス部門はとくに目に見える定量的な成果や会社売上の直接的な成果が少ない分、この目的をしっかり自分のなかで強く持っていないといけないかもしれません。

人事は組織にどんな影響を与えることができるのか考えるために本書を選定しました。

■人事が影響を与える”3つの領域”

1)人事は「従業員一人ひとりの世界」に影響を与える

まず、人事が影響を与える1つめの領域は「従業員」です。
2018年から2019年にかけて世界の人事リーダーたちが最も重要視しているキーワードの1つに「ヒューマン・エクスペリエンス」という概念があります。これは、「エンプロイー・エクスペリエンス」という、「従業員が所属する企業や組織の中で得る経験・価値」という概念を進化させたものとも言えます。つまり、「エンプロイー・エクスペリエンス」は主に職務の性質や職場環境といった「会社・組織」目線での満足感を中心とした概念であるのに対して、「ヒューマン・エクスペリエンス」は自身の心に抱く志の実現といった「個人・人間」目線での充実度までを捉えた概念です。

こうした一人ひとりを動かす力の源泉を理解して、目の前の仕事と結びつけることは、継続的な成長と努力を支えるものとなります。このような概念あはこれから重要視される一方で、もちろん足元で起きている課題にも目を向けなくてはいけません。

日本においても、健康経営や働き方改革・休み方改革など従業員の私生活の領域まで踏み込んだ取り組みが増えてきていることはその一端とも言えます。こうした取り組みは元々、メンタルヘルス対策や人件費抑制といった「守りの思想」で考える企業も多いです。しかし、近年ワークライフバランスや充実感などを重視しているミレニアム世代の台頭に伴い、彼ら・彼女らのモチベーション向上やリテンションを行うため「攻めの思想」で施策を検討しなくてはいけません。

従業員の「幸福度」は生産性や創造性に大きく影響しており、幸福度が高い従業員は、そうでない従業員と比較して、平均で31%、売上が37%、創造性が3倍高いという結果もでているそうです。

幸福度を高めるための、組織文化醸成やインセンティブシステムの導入、各自の強みを発揮できるような配置の仕組みを構築することは人事として着手できる領域です。

2)人事は「経営の世界」に影響を与える

人事が影響を与える領域の2つめは「経営」です。
「人事はより経営に貢献していくべきである」という提言は、何十年間にもわたって聞かれてきたフレーズですが、具体的にはどういう状態を指すのでしょうか。

本書では、人事の成熟度を4つのレベルに区分し、企業のパフォーマンスに対するその成熟度の関係性を分析しています。

まず、人事の成熟度は、例えばタレントマネジメントという機能に対して、「発展途上の状態」から「先進的なリーディングカンパニーとして充たしているべき状態」までをいくつかのレベルで定義し、その充足度を診断しています。そしてその成熟度を人事の全機能で診断した結果に基づき、人事全体としての成熟度を測定しています。

人事の成熟度は、
Level1:受動的に作業をしている
Level2:サイロ的に機能している
Level3:影響力を発揮している
Level4:先進的かつ一人ひとりに適したサービスを提供している

という風に定義されています。

グローバル全体で調査した結果、半数に近い41%の人事がLevel1に属していて、Level4に至る人事はわずか12%にしか満たなかったそうです。

では、こうした人事の機能成熟度は起業のパフォーマンスにどのような影響を与えているのでしょうか。

人事の機能成熟度がLevel1であった企業とLevel4であった企業の各種指標を比較すると、人事のLevelが高い場合、市場の変化に適応し、新しい製品やサービスの導入を迅速に行うことができ、なおかつ生産性高く競争力を高めることができるそうです。

特に、キーワードになるのが迅速性(アジリティ)です。近年ビジネスの世界では複雑性・不確実性の高まりが叫ばれていますが、そういった環境下において、変化に対していかに迅速に対応していくのかがビジネスの成否を分かるといっても過言ではありません。その中で、人事がビジネスの変化に即して、組織・人材の迅速な変化を起こすことができる能力を持っているどうかが重要になります。

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High-Impact HR Operating Model - Deloitte
※水色:Level4 紺色:Level1
マーケット変化対応に関する迅速性:2.5倍
競合とのコンペで勝った割合:1.4倍
と人事の機能成熟度のLevelで大きな差がでています。

3)人事は「社会」に影響を与える

これまで見てきた人事が「従業員一人ひとりに与える影響」や、「経営に与える影響」は、日本においてもなじみが薄い概念ではないように思います。一方、ここで話す「社会に与える影響」は企業レベルにおいてはCSVなどの概念で提唱されてきたものの、人事という一部門としてどう関わるのかはあまり議論されてきませんでした。

世界や日本で起こっている社会課題にはどのようなものが存在するのでしょう。本書ではSDGs(持続可能な開発目標)の考え方に基づいて整理されている。

SDGsとは、国連加盟193カ国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた目標で「誰一人取り残されることない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目的としています。

ここで人事に関連の深いものとして「教育」があります。もちろん、職務上の教育はこれまでも人事として実施している企業はたくさんあります。

しかし、終身雇用が困難になりつつある現代においては、従業員が自社だけでなく、他の企業においても活躍できるような教育が求められます。

そのためには従業員に「自らキャリアを切り開いていく」という意識を持ってもらい、自律的な学習を常に行ってもらう必要があります。

「エンプロイアビリティ(雇用される能力)」といった言葉も近年注目を浴びていますが、どこでも能力を発揮し、活躍できる人材を作ることができる企業が、今後選ばれるようになってきます。

■これからの人事に求められるもの(マインド)

マインドセットについては、こちらのレポートでも記載しましたが、
マインドセットとは、仕事をする上での行動を決めるものでもあります。

ドラッガーは「成果をあげる人とあげない人も差は才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの違いである。」と語っていますが、この「習慣的な姿勢」をもつ必要があります。

そして、今後人事に求められるマインドとして、
1.アジャイル志向
2.バリュー意識
3.やり抜く意識
4.クリティカルシンキング

があげられています。

1.アジャイル志向
大胆な仮説を立てて、失敗してでも実行してフィードバックを受けて改善することを実践しようとする、または歓迎するマインド。今の人事は失敗を許容されない状況に置かれている(と思っている)ためにこのマインドが弱い傾向にある。
2.バリュー意識
自らの提供価値を言語化し、また周囲やカスタマーからのフィードバックを受けて改善しようとするマインド。これは必須。
3.やり抜く意識
思考の地道なプロセスを丁寧に歩み、最終的なアウトプットを出し切るまでやり抜くマインド。
4.クリティカルシンキング
主体的な課題設定と論理的思考を両方を持ち合わせた思考

特に、私が強く意識しなければいけないのが、「最後までやり抜く」意識です。

役割・職務が決まっていればタスクも明確になるため、たとえその量が膨大であっても、ゴールが見えやすく、モチベーションを維持しやすいです。しかし、今後はそもそもどこまでやればゴールなのかを明確にしなければなりません。また、状況が変わればゴールも変わります。そのため、先の見えないレースを走っているような気分になることもあります。というか今まさにここです。そのときに必要なのがこの「やり抜く意識」です。

1つひとつの小さな目的も持つのはもちろんですが、
従業員一人ひとりが仕事を通じて得る経験や人生の幸福感を向上していくとともに、経営に不可欠な人と組織づくりにより深く関与する存在
この目的を忘れず今何ができるのかを常に考えていきたいと思います。

■これからの人事に求められるもの(役割・知識・スキル)

本書では、人事のプロフェッショナルは、各役割を担う人材としてそれぞれ定義されるため、役割区分に従い知識・スキルが整理されています。

1、CHRO(チーフ・ヒューマン・リリース・オフィサー)
2.HRBP(HRビジネスパートナー)
3.CoE(コミュニティ・オブ・エキスパティーズ)を担う人事プロフェッショナル
4.HR Ops(HRオペレーションズ)を担う人事プロフェッショナル


ちょっとこれはまだ私には早いのでこのレポートでは割愛させていただきます。

■まとめ

人事は、採用する人でも、給与計算する人でも、研修する人でもありません。従業員一人ひとりが仕事を通じて得る経験や人生の幸福感を向上していくとともに、経営に不可欠な人と組織づくりにより深く関与する存在として
組織に必要不可欠なポジションです。

しかし、その価値を創るのは自分自身なのでまずはもっと会社や従業員のことを知り何ができるのか考えていくことが重要です。

・会社の売上(どこのチームがどれだけ売上を上げているのか、下がっているのか)
・どんな案件があるのか、誰が担当しているのか
・従業員の一人ひとりの私生活・志向・キャリアプラン


人事に異動してから、売上を見るのは人件費率の計算をするときだけになってしまったので、更新のタイミングで毎週確認する。
どんな案件があるのか、もっと案件グループに入らせてもらう。

社員の中長期的な育成計画を実行していく上で、上記も行っていきたいと思います。