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フィードバックをするときに気をつけてほしい2つのポイント

本日は、「フィードバック」をする際の注意について投稿していきます。

以下のような点でフィードバックにお困りな方へおすすめの記事です。

・部下にフィードバックしても思ったように改善されない
・フィードバックすればするほど、逆に部下のパフォーマンスが下がる
・他にも業務があり、マネージャーだけでフィードバックするのは大変...!!

1.フィードバックとは

対象となる人に対して、現状をより良い方向へと軌道修正していくために、良い点・改善点を指摘することです。対面にて口頭で行うこともあれば、テキストベースでコメントをしたり、評価面談の際に評価スコアとフィードバックをつけて定量的に良い点・改善点を指摘することもあります。

フィードバックには、大きく2つのメリットがあります。

■メリット
• 自らの課題を認識し、改善に向けて取り組むことができる
• 仕事への意欲を高め、仕事のパフォーマンスを上げる


人が成長するためには、強みを伸ばし、弱みを克服するor弱みを強みに変える必要があります。しかし、自分自身を正しく認識することは難しい事が多いです。
実際に、自己評価と他者からの評価が異なることはよくあります。
そこで、より正確に今の状態を認識し、改善に向けたアクションを考えるために、他者からフィードバックをもらうのが有効な手です。
また、良いフィードバックは、本人のやりたいこと・やるべきことを明確にし、ワークエンゲージメントを高める効果が期待できます。その結果、仕事のパフォーマンス向上にも繋げる事ができると考えています。

2.フィードバックの目的

フィードバックと聞くと、上司から部下に対する「評価面談」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、フィードバックの対象は目的に応じて異なります。
組織内におけるフィードバックは、大きく以下3つの対象に分けられます。

①上司から部下へのフィードバック
1つ目は、上司から部下に対して行うフィードバックです。
普段の業務に対する日常的なフィードバックや、評価面談におけるフィードバックなどが挙げられます。この目的は「部下の行動を軌道修正し、成長を促すこと」にあります。

② 部下から上司へのフィードバック
2つ目は、部下から上司に対するフィードバックです。
日常的なコミュニケーションでは、上司自身がフィードバックを受ける機会は少なくなります。
しかし、マネジメントを改善していくためには、上司も自らを正しく認識する必要があります。
上司に対する定期的なフィードバックを行うことで、チームをより良い状態に近づけることができます。

また、上司が部下からのフィードバックを受け入れ「お互いにフィードバックできる関係性」を作り、健全なフィードバックを言える環境ができると
チーム内に心理的安全性が生まれ、チームのパフォーマンス向上も期待できます。

③ メンバー同士によるフィードバック
3つ目は、メンバー同士のフィードバックです。「360度フィードバック(※)」がこれにあたります。360度フィードバックの目的のひとつは多面的な視点から事実情報を集め、評価の材料にすることです。
特に最近バリューや定性面の評価を実施する際には、マネージャーが評価をするのではなく、普段から業務をしているメンバーからのフィードバックの方が事実に基づいた的確なフィードバックが出来ると判断し、「360度フィードバック」を採用する企業が増えてきています。

また、一緒に働くメンバーからフィードバックをもらうことで、新しい気づきを得られたり、組織に対するエンゲージメントを高める効果も期待できます。

3.フィードバックをするときに気をつける2つのポイント

①フィードバックの根拠となる「事実」を具体的に話す
フィードバックで大切なのは、「根拠」となる「事実」を基にフィードバックを行うことです。

よくあるNG例として、「印象論」での抽象的なフィードバックがあります。
今までの印象や目立った行動に引きずられないようにするため、意識的に事実を収集することが大切です。 

NGなフィードバック例
「主体的な行動が少なく、いつも受け身の姿勢が多いです。もっと主体的に行動してください」

NGポイント
「受け身の姿勢」などフィードバックが抽象的で、事実情報が含まれたフィードバックになっていません。いつ・どのような場面で受け身だったのか事実を基に伝えことがポイントです。

②人格や性格ではなく、「行動」に対してフィードバックする
2点目は人格ではなく「行動」に対してフィードバックをすることです。
フィードバックの基本は、相手を思いやることにあります。
相手の「人格」ではなく、あくまで「行動」に対して感じたことや、評価を伝えることが大切です。 

NGなフィードバック例
①いつもせかせかしていて、全体的にケアレスミスが多いと思います。
②真面目すぎな一面があり、対応が固いので、もっとラフに対応してください。

NGポイント
「せかせか」「真面目すぎ」といった性格に対するフィードバックは、相手の人格を傷つけてしまいます。どういうミスをしたのか、という行動に対するフィードバックを行いましょう。

4.フィードバックのフレームワーク

①KPT
個人的に推奨するフィードバックのフレームワークです。汎用性が高く、
振り返りのフレームワークとしても活用されています。
以下の頭文字をとって、KPTと呼ばれています。

K:keep=良かったこと(今後も続けること)
P:problem=課題/改善点(今後はやめること)
T:try=次のアクション


<K:KEEP>
KEEPでは、プロジェクトや業務を遂行するうえで、スムーズにできたこと、工夫したこと、顧客に評価されたことなど、今後も継続すべきことを具体的に話します。

良い部分に目を向けることになるKEEPから始めると、チームの雰囲気も前向きになりやすくなります。良かった点がどのように成果や評価に結びついたか、なども挙げておくと良いでしょう。KEEPで出された事案でも、実はProblem事案であることもあります。KEEPの事案は、そこに内包された問題を見落としてしまいがちでなので客観的にメンバーのKEEPを分析することがポイントです。

<P:Problem>
Problemでは業務の問題点や課題点を話します。責任追及の場ではないので、悪かった点で挙げるべきは人ではなく事柄です。より良い方向へ向かうための大事なプロセスであるため、チームの他の人の顔色をうかがったり、気を使ったりすることなく、誰もが忌憚のない意見を出し合える雰囲気作りが大切です。客観的な事実に着目して、何が原因で起きたのかを分析していきます。

<T:Try>
Problemで出た問題点の原因を解明したら、そこから解決策を探り、どうすべきだったか、今後はどうすべきか、を決めて話します。
また、KEEPで出した良かった点についても、さらなる改善ができないかを考えます。「次は頑張ろう」といった根性論ではなく、やることを具体的に書き出すことがポイントです。
Tryで書き出したアクションの達成度は、次回のKPTで検証します。達成度が低い場合は、何が問題かを見極め、その原因を定義し、対策を決める必要があります。問題が先延ばしにされると、業務に支障が発生したり、メンバーの意欲やエンゲージメントが低下する原因になります。

②FEEDモデル
FEEDモデルは最も基本的なフレームワークです。
以下の頭文字をとって、FEEDモデルと呼ばれています。

F:Fact=事実
E:Example=例
E:Effect=影響
D:Different=代替案

<F:Fact>
フィードバックを送る際には、「事実」(=Fact)に基づくことが大切だとお伝えしました。そのため、フィードバックを伝える際に、まず事実の確認から始めます。具体的には、
• 「その人が何をしたのか」
• 「その人の振る舞いはどのようなものだったのか」
• 「その人はなんと発言したのか」
などを最初に確認します。大切なことは、感情を切り口とするのではなく、最初に相互で事実確認を行うことです。

<E:Example>
次に、なぜその事実を「例」(=Example)として選んだのかを伝えます。言い換えると「なぜその事実について語るのか」を伝えるということです。送り手の意図をしっかりと相手に伝えます。

<E:Effect>
その人の行動・振る舞い・発言がどのような「影響」(=Effect)を及ぼしたのかを伝えます。その人の強みや、改善点を具体的に伝える効果を期待できます。

<D:Different>
最後は、「代替案」(=Different)を提案します。具体的には、「他にどのような行動をとることができるか」を提案します。
上記のポイント(FEED)を抑えると、以下のようなフィードバックをすることができます。 

■FEEDの事例
Fact
-「〇〇にて、XXをしてくれたよね。」
Example
-「〇〇にて、XXをしてくれたけど、やり方を改善できると思うから、声をかけたんだ。」
Effect
-「〇〇にて、XXをしてくれた事は嬉しかったけれど、締め切りまでギリギリになってしまったよね。やり方を改善できると思うから、声をかけたんだ。」
Different
「〇〇にて、XXをしてくれた事は嬉しかったけれど、締め切りギリギリになってしまったよね。次に取り組むときは、XXが半分完成した時点で、一度僕に確認してもらってもいいかな?」

③DESIモデル
伝える相手が怒っている、不満を持っている。など伝える前提の状況が「伝わりにくい立場」にある場合に有効的なフィードバックです。
以下の頭文字をとって、DESIモデルと呼ばれています。

D:Describe=状況の説明をする
E:Express=自分の意見を話す
S:Specify=具体的な提案をする
I:Inform=生じる結果やメリットを伝える

<D:Describe>
共通認識の確認を行います。
「〇〇ということでしたよね」と小さなYESをもらいます。

<E:Express>
自分が思っている事や事実に対して感じたことを伝えます。
「私は〇〇に対して〇〇と感じました」
「〇〇という数字は低いパフォーマンスだと思っている」など

<S:Specify>
相手の行動ベースで何をどうしてほしいかを提案します。
※「できるだけ」「なるはや」など抽象的な表現はNG
「〇〇さんは高い資料作成スキルを持っているので、全社新人育成マニュアルを作成してもらえませんか?」など

<I:Inform>
提案のメリットもしくは、デメリットを伝える
※おどすのではなく、判断材料を渡すと考える
「〇〇さんが資料作成をやってくれたらクオリティの高いものを期限通りに本部に提出することができ、会社からのA店の評価も上がります」など

5.フィードバック方法を社内に浸透させる運用のポイント

① フィードバック全体の設計をする

「今、組織で足りていないコミュニケーショは何か」を考えて、フィードバック全体の設計を行います。

評価面談、360度フィードバック、マネジメントに対するフィードバックといったものすべてを一気に取り入れるのではなく、目的に応じて「いつ」「誰が」「どんな場で」「誰に」フィードバックするのか、必要なものを選択することが全体設計するうえで重要なポイントになります。

フィードバックは日常的に行われるものですが、制度として運用する上では、意図的に機会を作らないと生まれないコミュニケーションは何か、を視点に設計すると良いでしょう。

たとえば、チーム内で目標へのコミュニケーションが不足していて、連携が取りにくくなり、業務の進捗が遅れる。とすると、こういった話は改めてお互いに期待値の摺合せや役割の明確化必要になるので、その機会として
チーム内で「期待している成果」と「成果の進捗摺合せ」する場を月に1回作る、といった形で設計します。

■ポイント整理
①組織内で足りていないコミュニケーションを洗い出す(問題発見)
②コミュニケーションが足りない事で発生している課題を設定する(課題設定)
③課題を解決した理想の状態を定義する(ゴール設定)
④「いつ」「誰が」「どんな場で」「誰に」の観点でアクションを決める(アクションプラン設計)

② 適切な頻度と量でフィードバックする仕組みを設計する
次に、全体設計をする上で大事なポイントが、フィードバックの頻度とボリュームです。理由は現場に負荷のかかりすぎる仕組みは、継続することが難しくなるためです。

例えば評価フィードバック面談は、評価者の負荷が大きいため、四半期もしくは半期などで設計したり、360度フィードバックであればライトな形式で毎月実施する。など

共通するポイントは「事実情報をもとにフィードバックできるか」が大切なポイントです。

よくあるケースがフィードバックの機会が半期ごとの評価面談だけで、期初の目標を忘れていたり、意識が薄れていることがよくあります。そのため、1on1でログを残しておく、月次で簡単なフィードバックを行う、といった運用プロセスをつくり運用することが社内に定着させる時のポイントです。

特に、月次で上司から部下に簡単なフィードバックを行うことは、評価の事実情報を集め、正しくフィードバックすることは部下のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるために効果的です。

③事実情報を集める仕組みを作る
マネージャーだけにすべてを任せず、事実情報を集める仕組みを、制度として作ることが大切です。
以下のような手段のうち、自社に合った方法を組み合わせると良いでしょう

• 月次フィードバックを運用し、メンバーに「良かった事・課題点・課題解決に向けたアクション」を書いてもらう
• 1on1のログを残せるシートを用意し、話した内容を記録する
• ピアボーナスやリアルタイムフィードバックする文化を取り入れて、360度の視点から良い行動に対する情報を溜めておく
• 360度フィードバックを行い、マネージャー以外からもメンバーの事実情報を収集する

④ 評価者の「伝えるスキル」を高める
評価者の「伝えるスキル」も、評価の納得感を向上させるには重要です。これについては、先述した以下のポイントや、フレームワークを意識すると効果的です。

• フィードバックの「根拠」を明示する
• 性格ではなく「行動の事実」に対してフィードバックをする
• 具体的で次のアクションに活かせる内容にする
• 耳の痛いようなこともきちんと伝える
また、評価者同士で模擬フィードバックを行うなど、スキル向上を目的とした研修を取り入れてみるのも効果的です

⑤ 評価項目に自社のあるべき姿を反映させ、適切な項目数を設定する
人事評価の目的は、会社が考える「あるべき姿」に従業員を近づけ、企業の方向性を統一し、パフォーマンスを促進することです。
組織状態と評価項目の間にGAPがあると、従業員のエンゲージメント低下の原因になります。行動指針(バリュー)や求める期待スキルを評価項目に反映することで、企業が考える「あるべき姿」に向けたパフォーマンスの発揮を期待できます。

また、評価項目の数が多すぎても、1つひとつの評価フィードバックが薄くなってしまいがちです。項目は必要最低限(3〜6項目程度)にして、本人の成長に繋がるフィードバックを「フィードバックのフレームワーク」に乗っ取り整理して伝えることが大事です。

⑥評価者がフィードバックの目的を理解する
評価面談は、ただ「メンバーに評価を伝えるだけの場」ではなく、これまでの行動を振り返り、良い点・改善点について話すことで、メンバーの成長を支援することが目的です。一方的な「通知面談」にならないよう、フィードバックを通じたメンバーとの対話を大切することがポイントです。 一方的な「通知面談」にならないよう、フィードバックを通じたメンバーとの対話を大切することがポイントです。 


さいごに

最後まで見ていただきありがとうございます!
今後も組織作りやマネジメントに活きる知見を発信していきますのでよろしくお願いします!
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