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添乗とはという話①

どうも、ハツホです。

先日から添乗員とはなんぞやという話をネタに、色々な体験談を世に放流するべくnoteを開設したわけだが、それでは早速事件簿を、と思ったとき、添乗員の実態についてあまりに知られていないなということがどうしてもひっかかった。

旅慣れしているお客さんでも、実際添乗員がどういう流れで仕事を行っているかということはほとんど知らないだろう。お客さんに見える部分というのは文字通り旅行中のみで、それ以外の時間添乗員が何をしているのか、なんてことはよくわからない。わたしも今の職場で営業職の人がオフィス以外で何をしているか知らないのと同じように。

今回は、添乗員が旅行に出ているとき以外に何をしているか、また旅行中にどんな仕事をしているか、かいつまんで書き起こしてみようと思う。なお、以降本アカウントではコロナ禍前の業界水準で体験談を書き記していくのでご了承願いたい。

添乗の構成について

まず添乗と一口にいうが、中身は3つで構成されている。

添乗業務は「打合せ」「添乗本番」「精算」の3段階

添乗をするのには、まず会社から担当添乗のスケジュール(旅程に準ずる)が開示される。大体1週間~3週間前くらいにひと月分が発表される。そして添乗前に「打合せ」業務をし、添乗本番、実際の旅行に出掛け、添乗後「精算」業務を行うという流れ。最低でも1つの添乗に3日必要となる。打合せ、添乗、精算。あとはこの繰り返しだ。

ちなみに、旅行の企画には関わらず、添乗実務だけを専門に仕事をする人を業界内で「プロ添」と呼んだりする。プロの添乗員、略してプロ添だ。ほとんどの添乗員は実はこのプロ添である。わたしもそうだった。

そんなプロ添だが、スケジュール帳を覗くとすごく忙しそうに見える。旅行に同行するからには、まずその日数分が埋まる。旅程日数にもよるが、大抵月の20日くらいは外に出ている。そして旅行の前後に必ず打合せと精算が入るため、この段階で、カレンダーの中から休みを数えた方が早い。

なお、旅行業界(特にプロ添)に週休の概念はない。旅行は土日が関係ないし、定休日なんてものもない。しかも1ヶ月のスケジュールは直前に開示されたりする。文字通り不定休となるので、友達と気軽にランチなんて夢のまた夢なのである…。

プロ添に週休制度はないが、会社自体は土日が休みだ。打合せと精算は事務所で行うが、土日は会社が閉まっているので行えない。となると、土日を避けて打合せ・精算をしないとならなくなる。

スケジュールを例に起こしてみる

例えば日、月、火曜日の日程の旅行に同行する場合。打合せは前日に行うのが基本だが、土日は会社が休み。なので金曜日に打合せをする。そして精算は帰着後なるべく早い段階で行うのが望ましいため、遅くても次の金曜日にはしておきたい。だが次の添乗の旅程が木曜日からなら、今回の精算は水曜日にしないといけない。次の添乗のスケジュールも勘案しながら事務作業の日程を調整していく必要がある。

さて、今あえて変な書き方をしたが、今回の添乗の精算を水曜に行うと、次の添乗の打合せの日程がない。どういうことか、つまり事務作業は一日にまとめられがちなスケジューリングが組まれている。そしてこの事務作業というのが中々厄介なのである。

打合せ

まず添乗を行うに当たって大変重要なのが打合せだ。添乗員は自分が行く添乗の内容について、ここで詳細に知ることになる。旅程や立ち寄り先の確認、お客さんの情報、ホテルやバスの契約内容、緒注意点などなどを確認する作業だ。あるいはお客さんに配布する資料などを作成、印刷したりする。余談だがツアーなどで配られる配布物は、大概添乗員本人が作っているのである、大事に扱ってあげてほしい…。

わたしが仕事していた会社では、打合せ資料がセットになっていて、中身は行程書、顧客名簿、貴重品(現金、切符など)、食事やホテルの手配書、観光地などの資料といったものだ。どれも添乗する上で非常に大事な資料なので、目を通すだけで30分はほしい。

打合せは添乗前日に行うことが多い。貴重品や個人情報など、取り扱い注意情報を長く手元に置いておくのが望ましくないことや、そもそも参加人員など顧客データが前日まで変動することがあったり、ホテルの部屋の割り当てがまだ出ていないとか、あまり早くに打合せをしても意味がないということもある。

打合せ内容は主に各所への電話連絡

添乗員が行うのはあくまで最終確認だ。予約や調整といった作業は、前段階で事務方から行われている。添乗員は手配情報をもとに、正しく手配が出来ているか、予約段階から人員変更がないかどうか、また食事場所やホテルには、何時くらいに到着しそうかという情報や、到着前にどこから連絡をいれたらいいかなどを確認しておく。添乗員の要望を伝えることも重要だし、お客さんに足の悪い方がいると情報を持っていたらそういう配慮をお願いすることも忘れない。

また、添乗員だって初めて行く観光地がもちろんある。そんなときバスから名所までのルートなど、わからないことだらけの情報を、現地のお土産屋さんに質問してみたりと、とにかく各所に電話しまくる。

電話が終われば企画担当者(営業担当)と打合せをする。企画者として何をお客さんにPRしてきてほしいのかとか、その他の注意点をヒアリング。

添乗の基本は確認、確認、また確認

ここから更に、お客さん宅へ挨拶電話を入れたり、小物(参加バッチや配布物)の作成をしたり、ツアーなら新幹線、飛行機、バスの席割やホテルの部屋割りを考えたりと、やることは膨大で、いつのまにか日が暮れている。

2泊3日の日程くらいなら、どうにか終わる。これが4泊とか5泊とか、日数が増えるごとに打合せ時間は当然長引くことになる。

これは余談だが、業界用語では添乗に「乗る」という言い方をする。また数える単位は「本」だ。「このツアーは新商品で、わたしが1本目(最初)に乗る」というような言い方をする。

打合せの時に1本の添乗だけを抱えているなら、通常はそんなに悲観的な気分にはならない。だが先述したとおり、精算業務を抱えているとそれだけで時間は圧迫される。更にちょうど今日みたいな連休が絡んできたりすると、一日でこなさなければならない打合せが2本になったりする。同じツアーが2本ならやれないことはないが、違うツアー2本と言われたら、その日の睡眠時間は覚悟する他なくなる。2本精算2本打ちなんてなった日には…これは連休について言及する回まで取っておこう…思い出すだに胃が痛い。

さてそんな激務ともいうべき打合せを終えたら、ようやく添乗だ。あくまで打合せは前段階で、添乗が本番と言えよう。ただしわたしの場合、この時点で魂はもう抜けている。個人的には打合せで添乗の7割は終わったと思っている。

ともあれ打合せが終わったら、まずはさっさと寝よう。添乗員の朝は早いのだ。

添乗

さて、本番。団体旅行といえば観光バスが思い浮かぶが、いきなり観光バスに乗り込むところから添乗スタート、というわけにはいかない。そこに行き着くまでに、まだまだ、やることが目白押しだ。

長くなったので、添乗と精算については次回のnoteで。

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。


トップ写真撮影地:白川郷(岐阜県)

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