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サブスク主義は市場を破壊する!?【ゲーム編・前編】

もう余計な前置きは不要でしょう。サブスクどうなんだろねという話です。

先日、岡本吉起さん(元カプコンで、近年は『モンスト』の作者として知られる)が、ご自身のYouTubeチャンネルでゲームにおけるサブスクの懸念を話していたので拝見(9分10秒の動画、下に引用)。ドラマのサブスクなんかに比べてゲームは(現状は)合っていないと。ご自身も言われているようにちょっと心配症だなと思うところはあるものの、サブスク用ゲームは「サブスク向きの仕様」を考える必要があると提言されているのは、仰るとおりだなと思います。

ま、これはべつに難問というわけでもありませんし、ゲーム制作に関心がある人なら考えるの楽しいくらいですよね。サブスク向きのゲーム仕様。

ただ、ゲーム体験としてのプレイアビリティの最適化みたいな話とは別に、ゲームに限らずサブスク系サービス全般に「考慮すべき点」があることを考える必要がありそうです。

サブスク全般の問題とは?

ゲームに限らず映画・ドラマも同様ですが、サブスクというのは「敷地無限」のモール商売のようなものです。モール商売というのはご存じのとおり、PARCOとかイオン(イオンモール)のそれで、人が集まる場所をテナントに提供するかわりにテナントの売上げから上前を撥ねるもの(名目上は「場所代」だとしても同じことです)。誤解をおそれずにひとことで言えばヤクザです。

支払いの形態こそ異なるものの、場所を提供する(+ちょっと宣伝する)だけで運営側(プラットフォーマー)が儲かるところが同じです。ただ、現実世界では敷地面積が一定なので、テナントは限られた範囲の競争において自身の努力で売上げを向上できます。しかしネットサービスのサブスクは(サーバー費用はかかるとはいえ)いくらでもテナント(コンテンツまたはその提供者)を迎え入れることができてしまいます。

ところがユーザーが支払う代金は同じですから、大雑把に考えて、仮にテナントが2倍に増えた場合、ユーザー数も2倍にしなければ利益(運営側から分配される平均額)は減少します。プラットフォーマーはテナントが増えれば増えるほど有利になるのでどんどん増やそうとしますが、テナント自身はありがたくありません。

例えば。具体的なことはわかりませんが、どうもAmazon Primeは分配がかなり減少しているのか、コンテンツの流出が目立ちます。よそのサービスでは観られるのでサブスクへのコンテンツ提供をやめたわけではなく、Amazonで観せるのは(比較的)損ということが浮き彫りになってきています。

それでも「儲かるところへ移籍すればいい」というならまだいいのですが、映像作品に比べるとゲームはそう簡単ではありません。まだハードの制約があり、その垣根を超えるためのクラウドサービス(例えばGoogle Stadiaなど)もうまくいっているとは言い難い状況です。

なお映像作品は、一時のサブスク大流行のおかけでDVD&ブルーレイの円盤市場が著しく縮小してしまいましたから、サブスク以前に戻ることも困難です。ゲームのサブスクも、普及のタイミングを見誤ると既存市場を破壊するおそれがあります(ただし破壊された方が良いとの考えもあるはずです)。

やがては自立の道へ?

ところで映像サブスクの場合は提供者ごと、ディズニーやパラマウントなどに自立していく傾向があります。ゲームもやがてはスクエニサブスクとかカプコンサブスクとかに独立していくのが望ましいとは思います。ただそれは、任天堂やソニーなどの「大規模サブスク」の成功後になるでしょうし、それ以前に現状のゲーム市場だけが破壊されるのは避けた方が良いでしょう。

なお、出版サブスクで自立の道を維持しているので、カドカワは少し違う可能性を持っています。ゲームでのヒット作が多くありませんが。もっともヒット作が増えたところでハードの問題があるので、それが自立の道を阻むのもゲームならではの問題です。

ではどうしたら良いのか?

さて、近頃はあまり長い記事を書かないよう気を付けているので(ごめんなさい)次回に続きます。考えるべきことは、サブスクは「共同体」であるということです。

(つづく)


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