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創作に役立つ用語辞典「化石」

化石とは、生物の死体がゆっくり時間をかけて石化したもののこと。しかし、かつては地中から掘り出されたものはなんでも化石と呼ばれていた。

化石(英語でFossil)という言葉は、ラテン語の"掘る(Fodere)"、"掘られた(Fossilis)"が由来となっており、元々は"なんでも化石"だったという。

やがて骨や歯など、生物の体の一部を思わせる特殊な発掘物だけが化石と呼ばれるようになる。これは16世紀、鉱物学が確立されるきっかけとなった著書『De Re Metalica』を記したドイツの医師Georg Bauer(ラテン名、Georgius Agricola)の指摘による。

もっともこの時点では化石がなんであるかはまだわかっておらず「神が生物を創造する練習をした跡」とか「悪魔が神の真似をして生物を作り出そうとした失敗作」、「(ノアの箱舟の)大洪水で溺れた動物の死骸」などと考えられることもあった。

現在のように、石化した太古の生物の死体を指すようになったのは17世紀のことで、これはデンマークの地質学者Nicolaus Stenoの主張が始まり。この考えは徐々に浸透し、進化論が支持される根拠のひとつとなっている。

もっとも創作、特に現代を舞台としない作品において大切なのは、事実として化石がなんであるかよりも前述したように「いかに誤解されていたか」の方かもしれない。歴史から学べることは事実だけでなく、創作においては誤りも活かし、作品の厚みにつなげることができる。

現在、一般的に受けいられているダーウィンの進化論は19世紀前半のもので、アグリコラやステノの指摘より2、3世紀もあとのこと。化石の正体に限らず、生物の由来は長きに渡って"想像の余地"があった。

今回のタイトル画像は、オンラインRPG運営システム『タクティクスタディオン』の追加素材データ"ボーンドラゴン"より。

※出展 『アイザック・アシモフの科学と発表の年表』

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