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連載 セルフタッチング入門 第10回 基本のセルフケアその③〜やわらかな手の平を育む

 セルフタッチングの実践編その③です。セルフタッチングの実際を動画付きでお伝えしていきます。
今回は、手の質感をより心地よいものに育む「やわらかな手の平」のつくりかたを紹介いたします。
 中川さんがリードする、ワーク動画もあわせて視聴ください。

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Image: iStock

わたしに触れる、コロナ時代のタッチケア

セルフタッチング入門


第10回 基本のセルフケアその③〜やわらかな手の平を育む
文●中川れい子


私たちには“やわらかな手”がある。

前回9回ではセルフタッチングの実践編として、セルフケアの効果を高める基本をお伝えしました。それは以下の通りです。

場をととのえること
楽な姿勢になること(グラウンディング)
ゆっくりと呼吸をすること

今回はその続きとして、「やわらかで、あたたかな手の平を育むこと」をお伝えします。
そもそもセルフタッチングの成り立ちが、施術者の手の質感をより心地よいものに育むために始まったという、基本に立ち返りたいと思います。

あたたかくてやわらかで、触れる対象を繊細に感じ取り、包み込むような手の平は、二足歩行を選んだ人類に与えられたギフトなのかもしれません。かつては手をやさしくあてることだけで、家族を癒すのがあたりまえの日常でした。でも現代人の私達は、そんな素晴らしい手の平をもつことを忘れてしまいがちです。

2021年、とある国立大学で看護学を専攻する学生の皆さんに、出張講座で「タッチケア」についてお伝えしていた時のことです。その時は、デモとして10分ぐらいの短いセルフタッチングを体験していただきました。すると、講座が終わってから一人の学生さんが私に駆け寄ってきて、目を輝かせて、驚いたようにこうおっしゃってくださいました。

「こんなに自分の手の平がやわらかくて、密着感があるなんて、びっくりしました!」

セルフタッチングを通じて、手の平がやわらかくて心地よい質感になったことは、とても良かったです。そして何より、看護の道を歩む学生さんが、ご自身の手の平の質感に気づいてくださったことが、私はとてもうれしかったのです。

看護師とは、大勢の患者に触れていくお仕事です。そうした方が、自分の手があたたかく、やわらかく、心地よさを伝える手であることに気づいてくださったら、どれほど日々の看護に自信がもてることでしょう。

かつては、医療や看護を「手あて」と呼んでいました。ナイチンゲールは、看護学のカリキュラムにマッサージを導入し、その影響を受けた日本の看護学校も、戦前まではマッサージを教えていたといいます。しかし最近では科学的な知識を多く学ばねばいけなくなり、看護の基本である「手の癒し」に注目がいかなくなってしまったようです。

もちろん看護師だけではなく、介護士、いえ子育てや家族のケアにあたるすべての方にとって、ご自身の手は大切な宝となるでしょう。本来、人の手はあたたかくてやわらかくて、心地の良いものです。まずは、そのことを思い出してみましょう。もし固くカサついているところがあれば、やさしく保湿クリームを塗り、手入れをする習慣をつけましょう。自分の手を大切にすることは、自分の心を大切にしていくことにとても似ているのです。

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