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知る権利10月27日

写真週刊誌のスクープライターの
通称マイタケ君は、芸能人や政治家の
スクープを写真誌に売り込んで
生活しています。
新聞記者になりたかった彼ですが、
何度受けても合格できない難しい試験から
逃げていたのです。
一発当てれば、100万円位は手に入るのと、
生まれつきの好奇心で、
この世界にどっぷりと使っています。
何人かの芸能人や政治家は
彼のことを憎んでいます。
それも、勲章のようなものと
逆に彼は誇りに思っているようです。
先日は、ある新興宗教の集会に
もぐりこんで、謎の教祖様のプライベートを
スクープしようとしました。
その教祖様が噂の美人女優と高級ホテルに入る所を
カメラに収めたまでは良かったのですが
女性ボディガードにつかまり
カメラからフィルムを引き出され
使い物にならなくされてしまいました。
「何するんや。おっさんのスクープ撮ったのに」
「おっさんとは何ですか。先生と呼びなさい」
女性ボディガードも、どうやら信者らしかったです。
そのマイタケ君は、最近、あることで悩んでいます。
というのは、毎日、見知らぬ男女につけられて
いるのです。そんな状態が一ヶ月以上も
続くと気になってスクープどころで
なくなってしまいました。
「誰だよ。俺のことを調べてるのは…・」
しかたなく、半年以上帰っていない実家に
戻ったところ、お母さんから、数十枚の
写真を見せられました。
それは、マイタケ君の最近の仕事ぶりでした。
例の新興宗教のボディガードとの
いざこざも写されていました。他に
政治家や芸能人が困った顔をしている
様子や顔を隠して逃げているのに
追いかけてカメラのフラッシュを
浴びせるマイタケ君が映し出されていました。
中には、芸能人の家族や子供を追いかけている
写真もありました。
お母さんは
「どうですか。人に調べられる気持ちは。
偉い人のことをおっさん呼ばわりして。
怒られるのは当然です。
逃げている人や嫌がっている人に
フラッシュを浴びせるのが
あなたが言っている
知る権利とは、その程度ですか。」
マイタケ君を追いかけている男女は
彼のお母さんが、何年も定職につかず
フラフラしているマイタケ君を心配して
頼んだ調査会社の人でした。


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