DX戦記~XありDX要素:ビジネスデザインの注意点
ちょっと前に、XありDXを目指すための能力を「根性論なし」で整理しました、そろそろもう少し深く触れてみたいと思います。
XありのDXの4つの能力とは
ビジネスデザイン能力=提供する価値を変え続ける能力
プロダクト/サービスデザイン=商品を変え続ける能力
プロセスデザイン=業務を変え続ける能力
ITリテラシー=情報技術の継続学習能力
詳しくは以下をご参照ください。
お詫び:ビジネスデザイン能力についてはここでは語らないです
これは世の中に山ほど理論なりフレームワークなりがあるので、割愛。
MBA本を読めば大量に、良質な学習を行うことができます。
ここで私が提示する価値は、少なくとも、日本語では語られていない私のノウハウであると考えていますので、Amazonや図書館で容易に手に入る情報をドヤ顔で書く気には、今はなれません。
多くの日本の経営者のビジネスデザインは「アーキテクチャ」によって制約されているという事実
長らくIT技術を軽視してきた教育を受けた日本の経営者は、日本に温存されている周回遅れのITアーキテクチャを基準にして考えます。
周回遅れのITアーキテクチャを基準にすると「コスト」が制約条件になる
前提とする情報技術のアーキテクチャが古いのは致命的問題で、いくらビジネスデザインが優秀であっても、想定するアーキテクチャが古臭いと、何をするにも「投資」が莫大になるので、それが制限となって実現できることが少なくなります。
分かりやすく極端な例えを出すと、以下のようになります。
通信手段として「モールス信号」を採用する:
現在のビジネスに関わる通信と同じ事をするなら、莫大な資金をかけて、モールス信号を数十万台・24時間稼働できる状態にする必要があります。文書ファイルサーバーとして「無防備な構内サーバー」を採用する:
年に数万円で使えるクラウドストレージと同じことをするのに、数十~数百万円の費用をかけ、ハードウェアとネットワークを調達し、保守人員を雇い、保守料を延々と支払う必要があります。
これ、日本企業の多くが今やってるので「例え」ではなかったか。
何が問題か?
これは、ビジネスが日本国内だけでおさまっている分には、かまわないでしょうが、今日の夕飯の食材の多国籍具合を見てわかる通り、否応なしに、最新のアーキテクチャを採用した国外勢と相対することになります。
そんな旧態依然としたアーキテクチャで、世界と渡り合うためには、低賃金の長時間労働で補っているのが日本のビジネスであり、それは労働生産性の国際比較を見ても明白です。
いくら、某アトキンソン氏が規模の経済の優位性を唱えようとも、規模がでかければ労働生産性が上がるのであれば、古代ローマ帝国の荘園はめちゃくちゃ労働生産性が高かったはずです。新しいアーキテクチャを用いて、より生産性の高いテクノロジーを作る方が重要事項でしょう。
頭の中を、新しいアーキテクチャに更新してビジネスデザインをするには
この記事を万が一にも読んだ経営者であれば、低賃金・長時間労働で従業員を働かせることを前提としたビジネスデザインは耐えられないと思います。
じゃあ、そんな善良な経営者、起業家は何をするべきかというと、3つのステップと、1つのアドバイスを伝えることが、私にはできます。
第1段階:情報システムのアーキテクチャという概念を知る
それほど難しい事ではありません。新入社員と机を並べて、ITパスポートあたりを取れば基本となるフレームワークのベースは理解できます。ただし、ITパスポート試験のためにアーキテクチャは、すでに古いと認識しておきましょう。
第2段階:英語でアメリカの大手テック企業のプレゼンから最新のアーキテクチャを学ぶスキルを手に入れる
日本語ではありません。日本語で行われるプレゼンの多くが、日本の低ITリテラシー経営者向けのものになっていて、旧態依然としたアーキテクチャを学ぶことができません。
英語のプレゼンを見ると、前提とするアーキテクチャをうかがい知ることができます。
そこでプレゼンされているサービスを使うには、どのようなプラットフォームが必要か、セキュリティが必要か。また、どのようなマネジメントが行われているか、という観点で見ていると、今のアーキテクチャが見えてくるようになります。
第3段階:ビジネスデザインを自信をもって描く
これは逆説的ですが、ここまで出来るようになっていれば、ビジネスデザインを自信をもって、大胆に描くと良いです。
なぜなら、目標を定めれば、手段を探すことは容易だからです。
この段階まで進んでいる人ならば、必死になって、自らが描くビジネスを実現するテクノロジーを作るために、最新のアーキテクチャーにあたっていくことが出来るでしょう。
と、ここまでで終わりたいのですが、どうしてもアドバイスしたいことがあります。
アドバイス:IT屋さんの選定は慎重に
IT屋さんは、自社の保有するアーキテクチャが何であれ売らねば従業員を養えないという、基本原則があります。
これは彼らのせいではありません、これが経営というものですので。
なので、RFI、RFPというのは重要なのです。
なので、経営者または起業家たるもの、その選別ができる程度のITリテラシーと情報収集の能力が求められるのです。
正直、先日とある上場企業の経営者から聞いた、自社AIソリューションの話には愕然としました。なぜなら、Copilot for Microsoft365でできる事と同じのことを、莫大な資金を投じてハイブリッドクラウドでLLMを構築し、ドヤ顔で語っていたからです。私はいたたまれなくなって席を外しました。
このような悲劇(喜劇?)を演じたくなければ、上記のステップを踏んでいく必要があるわけです。
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