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【資格】行政書士 その2 公務員になる前の取得

1 公務員試験対策になるか。

僕は市役所の試験を1つ受験しただけなので、国家公務員と行政書士試験を比較するのは難しい。市役所(行政)上級と比較すれば、法律科目の出題範囲は重複している。僕は市役所試験の法律科目は一切勉強しなかったので、行政書士に受かるレベルの知識があれば十分だ。オーバーキルだ。

では、地方公務員になりたい学生は、大学生のうちに行政書士を取るべきだろうか?僕は、のめり込まない程度なら、それも有効だと思う。国家試験の雰囲気を味わうのも良い経験になるだろうし。
逆にいえば、試験を受けて合格発表までフワフワして公務員試験の勉強が手につかないとか、合格したら気が抜けたみたいな性格の学生は、手を出さないほうがいい。

もう少しいうと、現在の行政書士は、地方公務員の法律科目よりレベルが高い。この対策を真面目に取り組むと、地方公務員志望には不必要なレベルの論点まで学ぶことになる。そこまでして取得する必要はないだろう。双方に手を出していずれも不合格というのは最悪なので、優先順位を意識するのがいいと思う。

2 転職者は取得すると初任給に影響がある場合がある。

(1) 自分の話

僕は新卒採用ではない。国家試験の仮面浪人をしながら、やむを得ず学生時代に取得した行政書士の登録をした。幸い書士会の支部長に目をかけていただき、或る行政書士試験対策講座の仕事を斡旋された。その後も、何かにつけて仕事をいただいた。が、これらと塾講師を掛け持ちしてようやく食べていけるレベルだったので、将来設計は難しかった。そして、方々への相談の結果、やむなく公務員に転身した。

(2) 給与表と前歴換算

公務員の給与は、「給与表」というもので算定される。仮に採用時に適用される表が1級1号だとすると、通常の公務員は1年目1-1、2年目1-5,3年目1-9と昇給していく(双六のように表を進んで行く)。
ここで同学年の人々より2年遅く採用されて1-1から始まるとすると、彼らより給与が安いということになる。

そこで中途採用については、前歴を踏まえて、1年目の給与表1-1じゃなく、2年目、3年目の給与表から適用しましょうみたいな制度がある。自治体によって「前歴換算」などと呼ぶ。
前歴期間(公務員以外の経歴期間)の何割を「公務員として勤務したもの」と見做すかという考え方をして、例えば「他の自治体に勤務していた者・・・100/100」みたいに定まっている。

つまり、3年間、他の自治体に勤務した者が(IターンやUターンで)違う自治体へ転職したら、その自治体でも3年働いていたものと見做して、4年目の給与表が適用されるというルールだ。そうすると、同い年の公務員と同じ給与表が適用されることになる。

で、僕は、前歴換算の結果、同世代の大卒とほぼ同じ給与となった。

なお、公務員を17年とか20年とか続けると行政書士登録できる。であれば、逆に行政書士の経験があって公務員になれば、公務員20年目の給与となっても良さそうなのだが、そうではなかった。前歴換算の上限は100/100であるようだ。無論、行政書士兼仮面浪人だった僕は十分報われたと思っている。この意味で、行政書士の資格は、僕には十分役立った。

(3) 資格だけでは意味がない

もっとも、注意しなければならないのは、僕の場合は幸い実務経験があったから前歴に参入された訳だ。「無職だ。公務員を狙うので、行政書士登録だけして、仕事はしない」という場合は、僕のように前歴換算される保障はない。そもそも中途採用なら常識として職務経歴書を提出する訳で、ここに虚偽は書けない。

ということで、転職でこの資格が使えるとすれば、資格取得→その資格を活かして総務で許認可事務や法務をしてました、みたいな場合だろうか。

以上、転職を考えている方の参考になれば幸いだ。

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